がんばれユニー! コストコ、セブン、イオンへの反撃策
●今朝の100円ニュース:小売り大競争時代(日本経済新聞)
東京・門前仲町の清澄通り沿いにコンビニ4軒がほぼ隣り合うように並び立つ場所があった。ファミリーマート、セブンイレブン、ローソンストア100、ミニピアゴの4店舗だ。
ミニピアゴとは、愛知県を地盤にするユニーグループのスーパー「ピアゴ」の小型版。大手コンビニほど多機能ではないが、野菜や肉などを少し買うのには便利だった。
過去形で書いたのは、先週末でミニピアゴが閉店してしまったからだ。セブンとファミマとの競争だけでも厳しかったところに、生鮮品も多く扱うローソンストア100が出店したことが致命傷になったのかもしれない。
本拠地の愛知県でもユニーグループは劣勢に立ち続けている。日経新聞の中部経済特集によると、県内ではグループ傘下のサークルKとサンクスが約3割というトップシェアを誇る。しかし、近年はセブンイレブンが激しい出店攻勢をかけており、数年以内にシェアが逆転する見込みだという。
ユニーグループの本業であるスーパーのアピタとピアゴは、外資のコストコや三重県発祥のイオンに押されている。愛知県常滑市に8月にオープンしたコストコは渋滞が起きるほどの大人気。イオンモールは愛知県内にすでに10施設もあり、週末になると家族連れが一日を過ごしに行く。車を運転してまとめ買いに行くのが好きな愛知県民には、自宅近くのアピタやピアゴよりも遠くても巨大なコストコやイオンモールのほうが魅力的なのだろう。
車の運転が苦手で、アピタ蒲郡店から徒歩数分のところに住んでいる僕はどうか。やはりアピタはあまり利用しない。徒歩15分以上かかるサンヨネ蒲郡店に行く。
サンヨネとは、品揃えの充実度と親しみやすい接客で人気を博している豊橋市発祥の食品スーパーだ。100年以上の歴史があるのに東三河地方で5店舗のみ。全国どころか県内全域への出店意思もない。チラシは一切配らない。19時には閉まってしまう(従業員の家庭生活を維持するため)。
他のスーパーと最も異なる点は、従業員とお客の顔つきだ。「自分もしくは自分の家族のことしか考えていない」という殺伐とした雰囲気ではなく、ほとんどの人が穏やかな表情で働いたり買い物をしている。サンヨネという場を共有することを楽しんでいるかのように。
企業組織としての特徴は、顧客の前に従業員を大事にしていること。まず、粗利の50%は従業員に還元される。バックヤードや休憩室を見学させてもらったことがあるが、明るく清潔で温かいのが印象的だった。従業員の平均年齢はなんと50歳。定年まで働き続けられる稀有な小売企業なのだ。ただし、年功序列ではなく、やる気の若手が管理職にどんどん抜擢されている。
大手企業の真似はせず、自分たちが信じること(「BIG」ではなく「GOOD」な会社でありたい、良識ある商品をお値打ち価格で提供する)を愚直に実行し続けているダサかわいいスーパー、サンヨネ。東三河地方の宝だと僕は思う。
僕はこのスーパーにせつなさを感じるほどの愛着を覚え、地元の友人たちと一緒に「サンヨネ勝手に宣伝局」というサークルを作った。サンヨネの商品について情報交換をして、より深くこのスーパーを楽しむことが目的だ。毎月の集まりには県内からサンヨネファンたちが来てくれて、「蒲郡店だけではなく高師店も面白い」「菓子部門のバイイング能力もあなどれない」などと熱い論議を繰り広げている。僕たちはみな、ダサかわいいサンヨネに恋しているのだ。
ユニーの話を忘れかけていた。外資や大手ほどの力はなく、かといって地域密着とも言えないユニー。巻き返し策である「サークルKフレッシュ」(生鮮食品を強化した新業態のコンビニ)が成功するとも思えない。どこかで聞いたことのあるサービスだからだ。
ダサくてもいい。業界の仲間から笑われてもいい。従業員と顧客にもう一度誠実に向き合い直し、ファンクラブができるほどの小売企業に生まれ変わるしかユニーが生き残る道はない気がする。