モンチ、利益残すも道半ばで永遠の都に別れ 「ローマとスペインは融合せず」?
「オファーを受けたのは、ここなら自分が『モンチ』でいられるからだ」
2017年の春、セビージャでの手腕を買われたラモン・ロドリゲス・ベルデホ、通称モンチは、ローマのスポーツディレクターに就任した。契約は2021年まで。さらに1年の延長オプションがついた。
だが、それから2年と経たずして、モンチは永遠の都を去ることになった。3月8日、ローマは契約解消でモンチと互いに合意したことを発表した。
ローマは前日、エウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督を解任している。一蓮托生を強調していたモンチは、以前から報じられていたように、指揮官とともにチームから離れることを選んだ。
◆利益は出したが手腕には批判
モンチは「収支を回復させるためではなく、勝つために来た」と話していた。だが、『コッリエレ・デッラ・セーラ』のルカ・ヴァルディセッリ記者は、実際には何も勝ち取ることがなく、収支を挽回させたが、大物放出でファンとの間に亀裂を生んだと伝えている。
3月9日付『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、モンチが補強に要した金額が2億6470万ユーロ(約330億7000万円)で、売却額は3億3365万ユーロ(約416億9000万円)だったと紹介。差益が約6900万ユーロ(約86億2000万円)だったと報じている。(いずれもレンタル料含む)
ただ、上記のモンチ自身の言葉にあるように、差益を出したからといってサポーターを納得させることはできない。モハメド・サラーやアリソンを手放し、ラジャ・ナインゴランやケヴィン・ストロートマンといった人気選手も売り払うことになった。一方で、大金を投じたパトリック・シックやハビエル・パストーレは、ここまで期待外れに終わっている。
『コッリエレ・デッロ・スポルト』のロベルト・マイダ記者は、ジェンギズ・ウンデルを見出し、安価で獲得したベテランのアレクサンダル・コラロフを活躍させたことを評価。想定外のヒットだったとしながらも、二コロ・ザニオーロもブレイクするなど、認めるべき功績もあるとした。
だが、同記者はアリソンの代役がロビン・オルセンだったこと、パストーレを大金かつ長期契約で獲得したこと、マウコムを逃してからウィングを獲得せず、センターバックの補強をしなかったことを指摘。その以前にも、リヤド・マフレズを逃してから獲得したのがセンターフォワードのシックだったことや、負傷を抱えていたリック・カルスドルプを獲得したことを批判している。
さらに、マイダ記者は「何よりサポーターが許せなかったのは、約束を何度も守らなかったことだ」と指摘。アントニオ・リュディガーやアリソンの残留を強調しながら放出したことを例に挙げ、さらには自身も続投と長期契約を口にしながら退団したと、皮肉めいた調子で綴った。
◆「もう自分のクラブではなかった」?
モンチはなぜ、契約を半分以上も残して退団を決めたのか。マイダ記者は「もう自分のクラブではないと分かって舞台から去った」と伝えている。
財政状況が聞いていた以上に悪かったことや、自身が監督続投を保証した一方で、相談役のフランコ・バルディーニが別の監督にコンタクトを取るなど、ジェームズ・パロッタ会長に一任されていない状況から、モンチは自分が望むチーム運営ができないと考えるようになったようだ。
『コッリエレ・デッラ・セーラ』のルカ・ヴァルディセッリ記者も、「もはや『モンチ・メソッド』を続けられなかった」と指摘。ディ・フランチェスコ解任、クラウディオ・ラニエリ招へいが決まる前から、「すでにローマでは『モンチ』ができないと分かっていた」と記している。
◆ローマとスペインは合わない?
退団が決まり、モンチはSNSで「ローマを選ぶのにかかったのは1秒だった。ローマを忘れることなど不可能だ」と記した。
だが、ジャンカルロ・ドット記者は『コッリエレ・デッロ・スポルト』で「ローマにとっても彼を忘れることはできない」「『全力を尽くした』というが、結果を見れば、我々は一部だけしか満足できない」と批判している。
マイダ記者は「一つ確かなのは、ローマ、アメリカ、スペインの戦略的融合は機能しないということだ。アメリカ資本になって初めての監督だったルイス・エンリケに続き、著名なモンチも任期を終えずに望んでトリゴリアを去った」と記した。
L・エンリケに続くスペイン人ビッグネームの早期退陣には、ヴァルディセッリ記者も触れており、「L・エンリケはローマから離れ、バルセロナですべてを勝ち取った。同じことがモンチに起こるだろうか」と綴っている。
アーセナルやパリ・サンジェルマン、古巣セビージャなどが新天地候補と噂されるモンチは、L・エンリケのように「ローマ以後」で輝くことができるのか。そして、モンチ主導のプロジェクトと決別したローマは、どんな道を進むのだろうか。