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感情と戦わない、感情をコントロールしようとしない、感情をしっかり味わう。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今日は、「感情をコントロールしようとするな」というテーマでお話したいと思います。感情コントロールは大切です。ホントに大切です。でも簡単じゃぁないです。今日は、まず、真っ先にそのことをお伝えした次第です。

選択理論のグラッサー博士は、人間には4つの行動があるとおっしゃています。
1番目は行為、皆さんが呼んでいる、外から見てわかる行動のことです。
2番目は思考です。
3番目は感情です。
4番目は生理反応です。
この4つ全部足したものを、グラッサー博士は、全行動と呼んでいます。
1番目から4番目まで、だんだんコントロールするのが難しなってきます。

要するに、行為のコントロールが1番簡単で、
4番目の生理反応のコントロールが1番難しい…ということになります。

たとえば電車内で、あなたが女性の方から、ハイヒールで、思い切り足を踏んづけられたとしましょう。あなただって、報復として踏み返すという行動は止められるかと思いますが、痛みのあまりに脂汗が出るという生理反応は止められないかと思います。これが、行為のコントロールは容易、生理反応のコントロールは困難といわれる所以です。

3番目の感情コントロールは、生理反応の次に難しいと言われています。「悲しんではいけない」「腹を立ててはいけない」と思っても、「哀しい」という感情、「腹立たしい」感情というものは、そう簡単に消えるものではありません。

よって、私たちは、
感情のコントロールに力を注ぐのではなく、
行為のコントロール、思考のコントロールに力を注ぎましょう。

先ほどの例で言えば、電車内で足を踏まれた時、まずは踏み返さないようにしましょう、しっかり行為をコントロールしましょう。そうして、「女性の方はわざと自分の足を踏んだのではない、バランスを崩して、よろけて足を踏んだだけだ」と自分の思考をコントロールするようにしましょう。
そうすれば、「痛いな、この野郎!」という感情も収まってくるというものですし、やがては脂汗も止まるようになる筈です。

多くの方は、自分の感情をコントロールしようと躍起になり過ぎです。
だから、それに失敗して、挫折感を味わったり自己嫌悪に陥るのです。

コントロールすべきは、感情や生理反応ではなく、行為と思考であるということを理解しておきましょう。行為や思考をコントロールすれば、感情はあとからついてくる…ということを知っておきましょう。

私のカウンセリングルームには、お酒が好きで、アルコール依存症になってしまった人がご来室されることがあります。彼らに必要なのは、「お酒が好き」という感情をコントロールすることではなく、「お酒を飲まない」という行為のコントロールなのです。

あと、私は、心理カウンセラーとして、うつ病の方に「無理のない程度で、朝散歩するようにして下さい」と言うことがありますが、そうすると多くのうつ病患者さんはこう言います。「散歩する気になれないんですよね」と…。

私は、「散歩する気持ちになりなさい」と言っているのではありません。「朝、散歩に行く気持ちになれなくても、散歩したほうがいいですよ」と、行為について言及しているのです。そう、コントロールすべきは、感情ではなく行為です。

誤解のないように言っておきますが、私は「感情を粗末にしろ」と言っているのではありません。「感情と戦うな」「無理に感情をコントロールしようとするな」と言っているのです。

あと、おまけですが、感情はしっかり味わうと消失するように出来ています。哀しい時、しっかり哀しみを味わうと、感情は静かに消えていくものです。本当です。どうぞ、お試しください。

それと、扱いが厄介な怒り感情ですが、怒っている感情については、自分で「私は今、怒っているなあ」と感じ、受け容れ、味わっていいのですが、それを思考でもって正当化しようとしたり、暴力という行為として表現させてはいけません。そのことは強調して、お伝えしておきたいと思います。

というわけで、今日は以上です。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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