【選択的夫婦別姓制度】女性に「結婚で姓を変えなくてよい選択肢」を。
これまで夫婦別姓の議論には賛否両論さまざまな意見が出てきています。最近では、希望の党が衆院選で掲げる公約の素案に、自民党と異なる「寛容な改革保守」を強調するため夫婦別姓の容認を加えることも検討しているそうです。
⇒希望、公約素案に消費増税凍結 夫婦別姓の容認も検討 9月30日(土)朝日新聞
そこで、今回は南部真知子さんの実体験を通して、選択的夫婦別姓制度の必要性について検証していきます。
南部さんは鳥取市で三人姉妹の末っ子として生まれました。父親は先祖伝来の多少の田畑もあるので子どもに継がせたいと考えていましたが、生まれた三人目が女子であったことは相当のショックであったと思われるそうです。しかし、父親はその想いを見せることなく、三人の娘を慈育してくれたといいます。そして、女性だからこそ職をもって生涯自立しろと、幼い頃から学ぶ姿勢を根付かせてくれたことに南部さんは感謝して生きてきました。
南部さんは弁護士志望でしたが諸事情で大卒と同時に兵庫県庁に入庁しました。ほぼ10年間働き、その間に南部姓の人と結婚し、そう抵抗もなく南部の姓に変えたのです。南部さん自身としては「南部真知子」として社会で生きてきたものとして、もとの姓に変えたいとは考えていません。
ただ、女性が生き生きと活躍する「名実ともに自立して生きる」うえで、結婚時に姓を選択できる自由があることが女性の人権を全うし、且つ日本の全体的未来のために必須だと確信しているそうです。
最近、南部さんは友人からこんな話を聞きました。Xさんといいますが、たいへん由緒ある家系だそうです。その曾祖父に一人っ子の祖父、またその子の父親が一人っ子、そして自分も一人っ子の男性。Xさんの子が生まれる時に、祖父や父親がどんなに男の子を望んだか、ひとえにXの姓を継がせたかったから。果たして生まれたのが娘三人でした。姓が残せない…女の子。Xさんは父親として落胆のためしばらく病院に顔を出せなかったそうです。
たかが姓、されどほとんど結婚を機に捨てなければならない女性側の姓。「現実に、選べない女の姓」は、このように生まれた女の子を素直に祝福できないほどに、人権にかかわる大きな問題ではないでしょうか。
最高裁は数年前、民法は結婚で女の姓も選べると規定しているから平等と判断しました。しかし、現実には96%ほどが男性側の姓になります。これでは実質的に民法は男女平等を担保していません。
南部さんが望むこと、それは女の子に「結婚で姓を変えなくてよい選択肢」も手にしてこの世に生まれさせたい。それだけなのです。改姓する自由は今のままで。
「実家の名前を継承したい姉妹の会」(略称:姉妹の会)では、実家の名前を継承したいと願う女性たちの声を国会議員に届ける活動をしていて、ウェブサイトでは当事者の方々の声を集めています。このサイトでは、親の名前を継ぎたいと思うことは悪くないんだよ、自然なことなんだよ、というメッセージも発信しています。
また、この会は「姉妹の会」という名称ですが、一人娘さんや、男性(女の子しかいない家の父親、一人娘さんとお付き合いをしている男性など)の声も集めています。
姉妹の会のサイトに寄せられた当事者の声を読むと、夫婦別姓制度の導入を望んでいる方たちがたくさんいらっしゃいます。そろそろ夫婦別姓制度の実現に向けて進み出しても良いのではないでしょうか。