1軍で再認識した課題を胸に。中谷選手が完封阻止の7号ソロ!《8/15 阪神ファーム》
きのう15日にウエスタン・リーグの中日-阪神戦が行われたのは、富山県高岡市の市営高岡西部総合公園野球場『ボールパーク高岡』。ことし5月にオープンしたばかりで、両翼100メートル、中堅122メートル、ナイター照明完備、1万人収容の立派な球場です。内野は甲子園と同じく黒土だとか。内野席が一部せり出していて、両サイドのポール際へ飛んだ打球と、それを追いかける外野手が見えなくなるという造り。そのあたりの“結果”は塁審の方を見て判断しました!
写真でおわかりのように、球場のすぐ横を『あいの風とやま鉄道』が走っています。これまでもファウルボールの被害があったためフェンスを増設したらしい…というのは、お客様同士の会話で知った次第です。きのうの試合でも場外へ飛んで行ったファウルボールはありましたね。写真右の防球ネットが、今後さらに高くなっていくかも。
5回裏のグラウンド整備で、なぜかマウンドとホームベース部分にシートがかけられたのでビックリ。しばらくして理由がわかりました。普通はホースで水を撒くところ、見ればマウンド横あたりから勢いよく噴水みたいに噴き出しています。なんと、自動なんですねえ!よく鳴尾浜でも練習後、芝生にシュワシュワ~っと散水しているのを見ますけど、そんな優しいものではなく、かなりの量で相当な勢いでした。いわゆるスプリンクラーでしょうか。まあ手動のようにまんべんなくとはいかないものの、回転してきれいに1周していましたよ。
救援陣が好投し、中谷の1発
《ウエスタン公式戦》8月15日
中日-阪神 23回戦 (高岡)
阪神 000 000 001 = 1
中日 030 000 00X = 3
◆バッテリー
【阪神】●守屋(3敗)-榎田-藤原 / 小豆畑
【中日】○鈴木(1勝4敗)(6回)-朝倉(1回)-岸本(1回)-福谷(2/3回)-S祖父江(1勝2敗4S)(1/3回) / 赤田
◆本塁打 中谷7号ソロ(福谷)
◆二塁打 井領、ペレス、高橋周
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]指:柴田 (4-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .330
2]一二:西田 (4-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .217
3]遊:北條 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .261
4]左一:ペレ (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .329
5]中:中谷 (4-3-1 / 0-0 / 0 / 0) .314
6]二:森越 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .326
〃左:一二三 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .170
7]三:陽川 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .211
8]捕:小豆畑 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .224
〃打:緒方 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .225
9]右:横田 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .217
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率)
守屋 5回 73球 (7-0-3 / 3-2 / 5.01)
榎田 2回 32球 (0-3-1 / 0-0 / 1.75)
藤原 1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 4.00)
試合経過
三者凡退で立ち上がった先発・守屋ですが、2回に小笠原と古本に連打され、井領への死球で無死満塁の大ピンチ。藤澤は一ゴロで小笠原をホームでアウトにしたものの、なおも1死満塁で溝脇に押し出しの四球…。続く9番・赤田に右前タイムリーを浴びました。ここでライト横田の捕球エラーがあり、もう1点。1死一、三塁となって友永へ四球を与えるも、次の三ツ俣を二ゴロ併殺打に打ち取って終了。打者8人に3安打3四死球で3点を先取されています。
3回は簡単に2死を取ったあと、古本の内野安打と井領の二塁打で二、三塁としました。しかし藤澤を二ゴロに切って取り無失点。4回は赤田の中前打で1死一塁となり、続く友永が二ゴロ。これを華麗に逆シングルで捕った森越が、逆シングルのまま後方の北條にグラブトス!受けた北條がいい流れを継続して一塁へ送球。アウト!スタンドもベンチも、そして我々がいた記者席も拍手喝采のダブルプレーでした。
これでこの回も0点に抑えた守屋。5回は1死から高橋周の打球が左翼線へ落ちる二塁打となり、ペレスがもたついているのを見て三塁へ向かったところでタッチアウト、代打・工藤は中飛で無失点。自身プロ最長の5イニングを投げ、7安打3失点(自責2)で交代。ついで榎田が登板し、6回は連続三振などで三者凡退。7回は1死から赤田に四球を与えるも、友永の三振で小豆畑が盗塁を刺し併殺!3人で片づけました。8回は藤原が三者凡退です。
打線は1回2死から北條とペレスが連打しましたが得点なし。2回、3回は三者凡退。4回にペレスが右中間二塁打を放ち、中谷のセカンド内野安打で1死一、三塁のチャンス。しかし森越と陽川が三振に倒れて無失点。5回はまた三者凡退です。6回も西田が右前打して2死後に中谷の中前打で一、三塁となったんですが、続く森越の打球はホームベース前に…捕ゴロでした。先発・鈴木から6安打しながら0点に終わっています。
7回は朝倉に対して小豆畑の左前打のみ、8回は岸本から先頭の西田が四球を選ぶも、北條が三振、ペレスは二ゴロ併殺打で無得点。そして迎えた最終回、中日は4人目の福谷がマウンドへ上がります。その初球を先頭の中谷が打ってレフトへ!10日ぶりの第7号ホームランで1点を返しました。一二三は遊ゴロで1死、陽川が中前打を放ち、代打・緒方は二ゴロエラー、横田の遊ゴロで2死一、三塁となり、柴田は死球を選んで満塁!ここでピッチャーが祖父江に代わって、西田は遊ゴロで三者残塁。試合終了です。
プロ最長の5回にも「課題が山積み」
先発した守屋投手は「かわそうとして、うまくかわせず。真っ向勝負していけばいいのに弱気になってしまった」と2回のピッチングを悔やみました。「ベースカバーが遅れて“やっちゃった…”と。それを切り替えできなかったというのもあります」。以降は踏ん張って無失点。初先発だった5月1日の広島戦(由宇)の4回1/3が今までの最長ですが、それを超えて5回まで投げさせてもらえたのは大きかったでしょう?「それもいい経験になりました」
とはいえ「課題は山積みです」と守屋投手。「前回は立ち上がりがダメで、きょうは3人でいけたのに2回の先頭を出して、次の課題が見えてきました。そこからどう抑えていくかを次に向けて考えて練習していきたい」と話しています。
香田投手コーチは「“本当のコントロール”がまだないのは、本人もわかっている。ないなりにバッターを攻めていく、いうのが今回は表に出ていなかったかな。若さを出してバッターと勝負していく姿勢を、もっとね。勝負した中で勉強してくれと願って先発をさせているんだから。失敗してもいい、若者らしく躍動感のあるマウンドにしてほしい。結果を欲しがらず。5回まで?“投げさせてもらった”と言うべきですね」という守屋投手評でした。
ナイスリリースの榎田、藤原
2イニングを投げノーヒット、6人で片づけた榎田投手は「いい感じで投げられました。まだまだ低めのボールがよくないので、それでファウルを取れるくらいにできれば。高めのボールと同じように、威力のある低めを投げられるようにしたい」と言っていました。香田コーチは「早くトップを作って投げるというふうに変えてから、よくなりました。あとは細かいコントロール、クイックなどの課題はありますが、ボールの質はよくなっていますよ」とのこと。
また藤原投手は1週間ぶりの登板で「緊張しました!」と笑います。三者凡退で、しかも最速143キロが出るなど「よかったと思います。続けたい」と言いながらも反省の言葉が続きました。先頭の三ツ俣選手は空振り三振、続く高橋周選手が中飛だったのですが、2人とも2ボールにしてからの結果。「真っすぐ2球で2ボールを2人続けてしまったところ。そこ変化球なら…と。そういう配球を今後、意識していきたいと思います」。この点について香田コーチの解説は「2球投げて2球ともボールになった。2球bならどちらかストライクにならないと不利になる。ムダな四球を出さないためにもね」というものです。
中谷、“次”へ向けてのスタート
ちょうど10日ぶりの第7号を含む3安打の中谷選手。「ホームランはインコース甘めの真っすぐです」。14日に出場登録を抹消されて遠征参加となりました。その初戦でのヒットは大きいですね。いきなり3安打で。「それもですけど、課題を持って臨めたので、きょうはよかったと思います」。課題とは?「1球で仕留めるってことです。何球も甘い球は来ないので。そう思って試合に入りました」
なるほど振り返ってみて納得です。まず1打席目は左飛、2打席目はセカンド内野安打、3打席目は中前打、4打席目は左本塁打だったのですが、中前打とホームランはどちらも初球を打ったもの。前の2打席もストライクは最初から全部振ってファウルにしています。
それは今までもあった意識?「はい」。でも今回、1軍での打席で改めて感じたということ?「そうです。いいピッチャーになればなおさら、甘い球は何球も来ませんね」。抹消になったとはいえ、すぐまた呼んでもらえるはず。「わからないけど、上がれるように頑張ります!」。声も顔も生き生きとして元気でした。
古屋監督も「中谷、よかったねえ!落ちてきて次の試合は大事。1打席目は内野安打だけど、あとの2本はいい形で打っていた。もう一度、上へ上がらないと。いい結果出たからね」と目を細めています。
結局、この1点で完封負けを阻止するのが精いっぱいだった打線ですが、最後にやっぱり森越選手に聞いておきましょう。素晴らしいバックトス、というかグラブトスでした。「でも…それだけなんで」。うーんヒットはなかったですからねえ。そしてトスを受けて一塁へ送球し、併殺を完成させた北條選手は「ビックリしました!」と目を見開いて言います。それにしては落ち着いて捕っていたけど。何はともあれ、また鳴尾浜でも見たいプレーです。