いまアフリカでは、アマゾンよりも森林火災が起きている
今ニュースはこぞって、ブラジルのアマゾンで起きている森林火災を取り上げています。今年初めから今月24日までのブラジルの火災件数は8万件を超え、2013年の観測開始以来、最悪の状態となっています。
しかし実のところ、現在最も多くの山火事が発生しているのはアマゾンではなく、アフリカなのです。
衛星に写る森林火災
上の写真はNASAのMODIS衛星が検知した「ホットスポット」と呼ばれる異常高温の場所で、森林火災の分布を表しています。アマゾン一帯よりも、アフリカ中部やマダガスカル島などに、より多くのホットスポットが見られます。
Weather Source社の分析によると、48時間で発生した森林火災の件数は、ブラジルが2,127件で世界3位であるのに対し、アンゴラが6,902件、コンゴ民主共和国が3,395件で、それぞれ世界1位と2位だったとのことです。単純に計算してみても、アンゴラとコンゴ民主共和国を合わせた地域では、ブラジルの約5倍の火災が発生していることになるのです。
火の大陸、アフリカ
ただこれは格段珍しいことではないようです。
ともいうのも、そもそもアフリカは「火の大陸(The Fire Continent)」との異名を持つほど、山火事が日常的に多い地域だからです。
統計によると、アフリカでは地球全体の山火事の2分の1から3分の2が発生し、その焼失面積は、赤道より南の地域だけでも、年間で1億3千万ヘクタールに及びます。これは日本の国土のおよそ3個分に匹敵する広さです。
アフリカに森林火災が多い理由
でもなぜ、アフリカには森林火災が多いのでしょうか。
それは、アフリカでは乾季に森林を燃やして、雨季に作物を栽培するという焼き畑が伝統的に行われているためです。その始まりは12,000年前にもさかのぼると言われています。さらに、こうした伝統に加えて近年は人口の増加により、食糧や燃料を確保するため、より広い範囲に火がつけられているのです。
今回多くの森林火災が起きているアフリカの中央部、特にコンゴ盆地一帯は、アマゾンに次いで世界第2位の大きさを持つ熱帯雨林です。
フランスのマクロン大統領も自身のツイッターに、アフリカの火災に対してもアマゾンと同じようにイニシアティブを立ち上げる可能性があると言及しています。
地球の環境保全が叫ばれる現在では、森林火災はもう一国内の問題ではなくなっています。