史上初? ソニー・インタラクティブのゲームソフト ライバル・任天堂のゲーム機で発売 なぜなのか
米大リーグで活躍中の大谷翔平選手がパッケージを飾った野球ゲーム「MLB The Show 22」がソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、マイクロソフト(MS)、任天堂の各ゲーム機で5日、発売されました。同作は、SIE傘下のゲーム開発会社(サンディエゴスタジオ)が手掛けています。……ということは、SIE製のゲームソフトが、ライバル・任天堂のゲーム機で発売されていることになります。
任天堂とソニーは、約30年前に家庭用ゲーム機を共同開発しましたが、諸事情あって「お蔵入り」。その後ソニーは単独でゲーム事業へ参入して任天堂をゲーム業界の“王者”から引きずり下ろしたこともあるなど、両社は長きにわたってライバル関係にあります。ところが、自社グループの開発ソフトをライバルに供給するという、「敵に塩を送る」ようなことが起きたのです。なぜでしょうか。
「MLB The Show 22」は、PS5とPS4、Xbox One、Xbox Series X/S、そしてニンテンドースイッチ向けのソフトです。ニンテンドースイッチの商品ページを見ると、メーカーは「SIE」ではなく「MLBAM」になっていますが、コピーライトを見ると「Sony Interactive Entertainment」とあります。
興味深いので、任天堂に「SIEグループのゲームソフトが任天堂のプラットフォームから出るのは初めて?」と質問しましたが、明確な回答はありませんでした。
対するSIEにも問い合わせると、海外のソフトまで含めると判然としないとしたうえで、日本では記憶にはなく、それ以上の回答は難しいとのことでした。私も調べる限りでは、該当作は出てきませんでした。そして米SIEに、自社グループで開発したソフトをなぜわざわざマルチプラットフォームにしたのかを質問してみました。
ーー「MLB The Show 22」を自社のゲーム機に限定せず、マルチプラットフォームで発売しようとした理由は。ソニーグループは、マルチプラットフォーム戦略を推進しているが、その一環か?
成功しているスポーツゲームのフランチャイズの大半は、マルチプラットフォームで展開されています。「The Show」シリーズはライセンス製品であり、MLBはプレイステーションだけでなくより多くのプレーヤーに体験者を拡大したいと考えていました。これは私達にとっても「The Show」シリーズを野球ゲームのプレミアブランドとしてさらに確立するため、またとない機会でした。
直接的には言及を避けていますが、マルチプラットフォーム展開は、米大リーグの要望ありき……というわけです。前年の「MLB The Show 21」も、Xbox Oneでも発売しているので、その延長線で考えると「ありえる」話なのでしょう。PS5とニンテンドースイッチでは、ゲーム機の性能にかなりの差があるのも確かなので、別に構わないのかもしれませんが……。それでもSIEグループ製作のソフトが任天堂のゲーム機で出るのは、やはり驚くべきこと。コンテンツ重視の経営戦略が昨今のトレンドとはいえ、時代の変化を感じます。
なお、今回の話をしたときにSIEの反応は落ち着いていました。というのもソニーグループ全体で見ると、ソニーミュージックや、アニプレックスの前例があり、既に任天堂のゲーム機にソフトを提供しているからですね。PS4やPS5で発売済みの人気ソフト「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」も、ニンテンドースイッチ用向けに6月9日発売されます。発売時期に差をつけたとはいえ、ヒットゲームの一つですから、こちらも思い切った戦略ですね。
そもそもソニーグループ内に「ライバル会社と取引不可」などの「縛り」がありそうなもの。しかしソニーグループ全体では、各社の判断を尊重する雰囲気があるそうです。そう言えば、任天堂以上にバチバチに(欧米で)やり合っているMSとさえ、手を結ぶこともあるわけですから……。
【参考リリース】ソニーとマイクロソフト、 戦略的提携に向け意向確認書を締結
「MLB The Show 22」は、テレビ中継のような臨場感が楽しめる本格派の野球ゲームです。大谷選手をはじめ、メジャーのスターたちが登場。初心者向けのモードも用意されています。ゲームのオープニングには、もちろん大谷選手が登場します。音声も文字も英語ですが、野球好きであれば野球用語なので理解しやすいのもポイントです。英語のトレーニングにもなるかもしれませんね。
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