カリフォルニアを襲う大規模な山火事 その原因「悪魔の風」とは
今年アメリカは、かつてないほど自然災害に見舞われている、といっても過言ではないでしょう。
今夏には史上初めて2つの猛烈なハリケーンが上陸し、テキサスやフロリダ州で壊滅的な被害が出ました。一方で西部では乾燥・高温が続き、大規模な山火事が多発。政府が山火事の消火活動に費やした総額は20億ドルを超え、史上最高額に達しています。
現在もカリフォルニアでは北部と南部で山火事が起きていますが、とりわけ被害が大きいのが北部です。サンフランシスコから車で一時間ほどの所にある、ナパやソノマ郡で発生している火災では、これまでのところ17人が死亡したと伝えられています。
(ナパで発生している山火事の映像)
「ワインの国」の山火事
カリフォルニア北部で山火事が発生したのは8日(日)のことでした。同日夜には消防局も「驚異的」と漏らすほど、一気に火の勢いが増し、火災の面積は12時間で80平方キロメートル(東京ドーム1,700個分)も広がりました。州知事は非常事態宣言を発令、2万人が避難する事態となったのです。
火事が起きているナパやソノマ郡は「ワインの国(Wine country)」とも呼ばれるほど、世界的にも有名なワインの生産地です。広大なブドウ畑に、650ものワイナリーが立ち並び、カリフォルニアワイン全体の約13%が作られているといいます。
すでに9割のブドウの収穫が終わっているということですが、複数のワイナリーが消失したという情報も入ってきており、ワインへの影響も出ています。
(衛生画像にも山火事の煙が写っている)
原因は「悪魔の風」
山火事が広がった原因は何でしょうか。
それは「ディアブロ・ウィンド(悪魔の風)」と呼ばれる乾燥した強風です。火の気が一気に広がった8日(日)夜、ソノマ郡では湿度が10%以下まで下がり、また風速35メートルの風も観測されました。
「ディアブロ・ウィンド」とは、春と秋を中心に、カリフォルニア北部・サンフランシスコ周辺に吹く高温で乾燥した風です。アメリカ大盆地に発生した高気圧から吹き出した風が、シエラネバダ山を越え、フェーン現象を起こし、高温となって吹き降りるのです。
一方で、同様の理由から州南部ロサンゼルス周辺に吹き降りる風は「サンタアナ・ウィンド」と呼ばれています。
ちなみに「悪魔の風」という名前の由来は、風上に位置する「マウント・ディアブロ(悪魔の山)」から来ているそうです。
カリフォルニアワインに危機
カリフォルニアの山火事は年々増加の一途をたどっています。その一因が近年の気温上昇ですが、この気温変化がカリフォルニアのワイン事情に大きな影を落とす恐れがあるようです。
というのも、スタンフォード大学の研究によると、高級ワインの栽培に適したカリフォルニアの土地の面積が、2040年には今の半分にまで減る可能性があるのだといいます。現在、アメリカワインの9割を生産しているのがカリフォルニア州ですから、気候の変化に伴う影響が指摘されているのです。