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内閣官房参与の藤井聡氏が主張する「橋下化した世界」と「発達障害」の記事を読んで思ったこと。

明智カイト『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事
(写真:ロイター/アフロ)

橋下徹氏が7/9(日)にツイートした発言を読みました。

橋下徹氏 内閣官房参与藤井氏のこの発言、こういう文脈で発達障害を持ち出したら政治家なら完全にアウト。メディアからも猛批判を受ける。稲田さんの発言よりも問題。安倍政権は許すのか。しかも安倍さんを侮辱する対談相手に一言も言わない内閣参与。

出典:BLOGOS(橋下徹)

稲田防衛大臣の発言よりも問題なんてどんな内容なのかと気になってその記事を読んでみました。

該当する記事は以下のページでした。

「橋下化する日本」に未来はあるのか?代議制を否定する政治家の落とし穴

記事は2/8(水)に発信されたもので少し古いようですが、藤井聡氏(内閣官房参与)と適菜収氏(作家)が対談している記事の一つでした。

適菜収氏が以下のように発言して、

適菜収氏 その典型が安倍晋三です。「文句があるなら次の選挙で落とせばいい」と思っている。つまり、議会主義の根本がわかっていない。

出典:BEST TIMES

その回答として藤井聡氏は以下のように答えています。

藤井聡氏 子供はゼロからスタートします。が、橋下化した世界、全体主義化した世界では、ほとんどが大人になるにつれて劣化して、良し悪しのわからない分別のない人間になっていく。でもその中に、空気を読まない、(精神医学の世界では)「高機能広汎性発達障害」や「ASD」などと呼ばれる人たちがいる。彼らは、定義を広くとるとだいたい10人に一人くらいはいる。彼らの特徴は空気が読めない、あるいは気にしないこと。だから彼らは世界がどれだけ全体主義化、橋下化していても、「正しいこと」を言い続けてしまう。

出典:BEST TIMES

えー、なんで「高機能広汎性発達障害/ASDが世界を救う」みたいな話になってるの?というか「発達障害がどうのこうの」という以前にすでに対談という形にすらまとまっていない記事なんだからそもそもおかしいでしょ。

この藤井聡氏の発言には突っ込みどころが満載で、もはや「酷い」の一言しか出ません。

議論を進めるために「発達障害」とか持ち出すの止めて欲しい

最後に藤井聡氏は下記の発言で締めくくっています。

藤井聡氏 おおよそ今の官僚組織で出世するやつは、空気を読むのが上手い。僕は今、学者としてそういう組織に協力しているだけなので、出世は関係ありませんし、まったく空気を読む必要はない。それで「これ、間違えてますやん」とか「ひょっとして、アホですか?」という態度を取ることができる。でもそれをやっていると官僚組織の中では蛇蝎のごとく嫌われます。

出典:BEST TIMES

蛇蝎(だかつ)の意味は「へびとさそり。人が非常に忌み嫌うもののたとえ」だそうです。

まあ、確かに官僚の世界では「空気読む」「空気読まない」は出世にも影響してくるかもしれませんが、「全体主義がどうのこうの」と何の関係あるんでしょうか。官僚の世界の話と、全体主義の話がゴチャゴチャしていてよくわかりません。

しかも安倍首相をテーマに話を進めているのに、なぜかテーマと関係ない橋下徹氏の話題になっていて対談の内容が正しいか正しくないか以前に、対談記事として成り立っていないのではないでしょうか。また、この対談の流れこそが「俺の空気読んで話を進めろ」と言っているようなものです。

今回の記事に限らず全く他の場面でもよく見かけるのですが、議論や対話の中で相手を無理やり納得させたり、話の流れを上手く丸め込もうとするために例えば「あの人はアスペだから仕方ない(この発言自体ダメですが)」とか、「発達障害がどうのこうの」とかそういう発言はとても不快になります。マイノリティをネタにするようなことは止めて欲しいと思います。

『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

定期的な勉強会の開催などを通して市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動している。「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、などを務めている。

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