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失敗がニュースになるほど上手い! ヘイデン・パーカー、ゴール成功の秘訣。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
移動時は「狼」のロゴ入りキャップを被る。(写真:アフロ)

 失敗がニュースになるのは一流の証だろう。この国においては、不振にあえぐ日本人メジャーリーガーや海外チームでレギュラー落ちしたサッカー日本代表選手などが、この隊列に入るのだろう。

 日本ラグビー界には、失敗が強豪国でニュースになる選手がいる。ヘイデン・パーカー。日本のプロクラブ、サンウルブズの一員として国際リーグのスーパーラグビーに参戦。ゴールキック38本連続成功というリーグ新記録を樹立した。

そしてレコードが途切れた7月7日、オーストラリアの「RUGBY.COM. AUhttp://www.rugby.com.au/news/2018/07/07/super-rugby-waratahs-sunwolves-five-things」で「パーカーは人間だった」と報じられたのだ。記事にはこうある。

「今季、38本連続でゴールを決めてスーパーラグビー記録を打ち立てるまでの間、ヘイデン・パーカーはキックロボットのようだった」(筆者翻訳)

 ゴールキックの上手さと同時に司令塔としての試合運びでも光ったパーカー。シーズン終了後の7月15日に共同取材に応じ、ゴールキックを決めるコツと今季の収穫を語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。 

――キック成功の秘訣。

「自分のキックのルーティーンがあり、同じことを自分に言い聞かせています。入る、入らないという結果は意識せず、毎回同じようにボールを蹴る。そうすると、結果は自ずとついてきます。練習あるのみです」

――7月7日のワラターズ戦で、ゴールキック成功の連続記録が途切れました。決め続けている途中、プレッシャーはなかったですか。

「チームメイトからも『どれだけ記録を伸ばせるんだ』といじられ、ややプレッシャーに感じていました。ただ、外したことでそのプレッシャーから解放されました」

――外したキック、普段のパーカー選手であれば決められたように映りました。

「風が強かったこともありますが、単純に、ミスでした」

――現地の新聞報道では、「パーカーも人間だった」と伝えられました。

「あれだけ連続で入ったのはまぐれ。また同じようにできるかと言えば、何とも言えません」

――シーズン全般について伺います。パーカー選手は以前、ハイランダーズの一員としてスーパーラグビーを戦っていました。来季のスーパーラグビーは、どこでプレーしますか。

「サンウルブズに戻ることを考えています。また楽しみにしています」

――サンウルブズでは、先発機会が多かったですね。試合にたくさん出たことでレベルを上げられたという実感はありますか。

「ハイランダーズでは先発で出る機会が少なかったのですが、ベンチスタートだと無理してプレーしたり、気負ったりすることがあります。ただサンウルブズでは、各週、出られるチャンスを与えてもらえた。自分の与えられた仕事に徹してやり通すことを意識できた。試合への入り方、試合の運び方がスムーズになりました。シーズン開始から考えれば成長したと思います。シーズン序盤は怪我をしてしまいましたが、途中から戻って来れて嬉しく思います」

――具体的にどこが成長できたか。

「試合に入りやすくなったことで余裕が出てきて、うまくいく場合、うまくいかない場合がどういう時かを肌で感じられるようになった。いつキックし、いつランするか、スピードがなくなった場合はコンテストキックを蹴る…そういったタイミングを直感できるようになりました」

 一定の動作の確立でゴールキックの成功率を高める手法は、国内外の多くの名手と共通する。大柄でなくとも高い技術で存在感を示すとあって、若手日本人選手にとっても見習うべき点が多いのではないか。

 来季もサンウルブズにいそうなパーカーは2015年、パナソニックに入って国内トップリーグを経験している。そしてこの夏から、再びトップリーグに挑む。神戸製鋼の一員として、新加入のニュージーランド代表112キャップ(代表戦出場数)のダン・カーターとスタンドオフの定位置を争う。

「いい学びのチャンスです。色々なアドバイスをもらって、これを機に成長したいと思っています」

 

 規定上、2019年のワールドカップ日本大会での日本代表入りは叶わない。もっとも、日本ラグビー界で花開いたタレントであるのは確かだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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