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ANA、空を飛ばない機内でファースト・ビジネスクラス機内食が食べられるレストランを羽田で限定オープン

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
ファーストクラスの機内食が羽田空港に駐機中の機内で食べられる(ANA提供写真)

 ANAが3月31日(水)に羽田空港で普段は長距離国際線で使われている飛行機(ボーイング777-300ER型機)を使い、飛行はしないで駐機したままの状態で機内を国際線機内食レストラン「翼のレストランHANEDA~地上でファースト・ビジネスクラス体験~」として1日限定でオープンすることを3月8日に発表した。1日限定の機内食レストランでは、ANA国際線のファーストクラスとビジネスクラスの機内食をそれぞれの座席に座って食事を楽しめる企画となっている。

3月31日(水)の1日限定で昼の部と夜の部の2部制。シャンパンやワインなども提供される

 今回、3月31日(水)に昼の部(11:30~14:30)と夜の部(18:00~21:00)の2部制で国際線長距離路線で提供される機内食がそれぞれ提供される。機内での時間は約3時間を想定しており、ファーストクラス、ビジネスクラス共に、事前に注文した和食もしくは洋食(洋食の場合はお肉料理と魚料理から選べる)を動かない機内で堪能でき、ドリンクについてもファーストクラスで提供されているシャンパンやワインなども提供される(提供されるドリンクの銘柄などについては現在調整中とのこと)。

今回使用される飛行機と同型機のボーイング777-300ER型機(2019年筆者撮影)
今回使用される飛行機と同型機のボーイング777-300ER型機(2019年筆者撮影)

ファーストクラスの機内食の中身は?

 ファーストクラスは前菜前のアミューズから始まるが、洋食・和食共通で「ANAオリジナルスティック」「シーフードのタルタル」「富山湾産白えびの昆布〆」「フォアグラロール」を楽しんだ後、前菜(洋食はアペタイザー)、そしてメインディッシュとなる。

 メインディッシュは、洋食で肉を選んだ場合は「和牛フィレ肉のグリル神戸ワインマスタード風味」、魚を選んだ場合は「金目鯛のポワレ ズッキーニピューレと大阪産レモンのクリームソース」となる。和食の場合は、お造りでは「本鮪中とろ 細魚博多造り鯛昆布〆 土佐醤油」、主菜は「和牛蒸ししゃぶ 胡麻たれ掛け」などが提供される。

 そしてデザートは「桜モンブラン」「フォンダンショコラ」「抹茶マスカルポーネ」のいずれかを事前に選べるようになっている。

ファーストクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:和牛フィレ肉のグリル神戸ワインマスタード風味)写真提供:ANA 以下同じ
ファーストクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:和牛フィレ肉のグリル神戸ワインマスタード風味)写真提供:ANA 以下同じ

ファーストクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:金目鯛のポワレ ズッキーニピューレと大阪産レモンのクリームソース)
ファーストクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:金目鯛のポワレ ズッキーニピューレと大阪産レモンのクリームソース)

ファーストクラスの機内食イメージ(和食)
ファーストクラスの機内食イメージ(和食)

ビジネスクラスの機内食の中身は?

 ビジネスクラスもファーストクラス同様に前菜前のアミューズが提供され、「抹茶アーモンドパイスティック」「サーモン彩りテリーヌ アポカドサラダ」を楽しんだ後、前菜、メインディッシュと提供される。

 洋食のメインディッシュは、肉を選んだ場合は「牛フィレ肉のソテー レホールの香るオニオンコンポートのせ」、魚を選んだ場合は「メバルと海老のソテー クリーミーカレーソース」が味わえる。和食においては小鉢で「蒸し鶏の白酢掛け」「煮穴子 白滝真砂和え」、主菜で「銀鱈西京焼き 肉すい豆腐」が味わえる。

 デザートはANA国際線ビジネスクラスで人気のピエール・エルメ・パリの「エモーション フレーズ ピスターシュ」(ピスタチオのジュレ、イチゴのコンポート、ピスタチオ風味ダコワーズ、ピスタチオ風味ババロア)が堪能できるなど、海外旅行に出かけられない今において面白い試みと言ってもいいだろう。

ビジネスクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:牛フィレ肉のソテー レホールの香るオニオンコンポートのせ)
ビジネスクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:牛フィレ肉のソテー レホールの香るオニオンコンポートのせ)

ビジネスクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:メバルと海老のソテー クリーミーカレーソース)
ビジネスクラスの機内食イメージ(洋食メインディッシュ:メバルと海老のソテー クリーミーカレーソース)

ビジネスクラスの機内食イメージ(和食)
ビジネスクラスの機内食イメージ(和食)

ファーストクラスの機内食5万9800円、ビジネスクラスの機内食2万9800円は高額と思う人がほとんどであるが・・・

 気になる料金においては、ファーストクラスで5万9800円、ビジネスクラスで2万9800円の設定となっている。 ANAホームページ内の特設サイトから先着順で申し込み可能となっている。アルコール類の料金も含まれてはいるが、この料金設定は、間違いなく高いというイメージを持たれる人がほとんどだろう。

 この価格であれば、高級フレンチレストランや料亭などの和食のお店よりも高い価格になるが、この価格設定でも十分にマーケットとしては成立するだろう。というのも、普段なかなか乗ることができない国際線のファーストクラスやビジネスクラスの機内食を堪能したいということをメインの目的に利用したいと思う人もいるほか、ANAファンの中で少しでもコロナ禍で応援したいという気持ちから申し込む人も一定数おり、今回はファーストクラスとビジネスクラスの座席数限定となることから、割高感はあるが、ラウンジの利用(国内線ラウンジ)やアメニティーキットも提供されるなど、付加価値も含めて、間違いなくこの価格でも満席になる可能性が高いだろう。

今回の機内食レストランで使われるANA国際線ファーストクラスのシート
今回の機内食レストランで使われるANA国際線ファーストクラスのシート

今回の機内食レストランで使われるANA国際線ビジネスクラスのシート
今回の機内食レストランで使われるANA国際線ビジネスクラスのシート

ANAではA380型機を使った遊覧フライトは毎回応募殺到。成田発着に加えて、関西・中部発着でも4月に運航

 ANAでは昨年8月から総2階建て飛行機エアバスA380型機を使った遊覧チャーターフライトを複数回実施しており、毎回応募が殺到しており、抽選での予約受付となっている。

 3月の緊急事態宣言再延長期間に運航予定だった成田空港発着のフライトは新型コロナウイルスの緊急事態宣言延長によって中止となったが、新たに4月11日(日)に成田空港発着で運航されるほか、更に4月17日(土)・18日(日)は関西空港発着、24日(土)・25日(日)は中部空港(セントレア)発着で運航されることが決まった。ファーストクラスで10万2000円(関西発着は11万2000円)、ビジネスクラスで5万8000円~7万3000円、プレミアムエコノミーで3万9000円~5万4000円、エコノミークラスで3万4000円~4万9000円(ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスは発着空港、窓側・通路側などで料金が異なる)で販売される。

成田~ホノルル線に投入されている総2階建て飛行機エアバスA380型機「FLYING HONU」(2020年8月撮影)
成田~ホノルル線に投入されている総2階建て飛行機エアバスA380型機「FLYING HONU」(2020年8月撮影)

 このような形で国際線の大幅減便で機体運用に余裕のある国際線機を使った新たな収益を生み出すビジネスモデルが今、動き出している。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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