【コンサドーレの2017年前半戦総括】得点・失点パターンから浮かび上がる課題
3週間の中断期間を終え、いよいよ今週末から明治安田生命J1リーグの後半戦が本格的にスタートする。リーグ戦再開を待ち望んでいたサポーターも多いことだろう。
リーグ戦が再開される前に、我が北海道コンサドーレ札幌の前半戦の戦いぶりを振り返ってみたい。
残留圏15位につけているのは上出来
今季のコンサドーレは開幕前に野々村社長が「J1全体で強化費は17~18番目」と自ら述べていたが、いざ蓋を開けてみると、34節中18節を終えた段階で札幌は残留圏内の15位につけている。
クラブが掲げている今シーズンの目標はズバリ「J1残留」。つまり現時点ではその目標を達成できる位置にいるわけで、上出来の途中経過と言える。
札幌がJ1の舞台で戦った前々回の2008年、前回の2012年では34試合中たった4勝しかできずに、ぶっちぎりの最下位でJ2に降格した。
当時と比べれば、「J1残留争い」にしっかりと参加できている現状に、我々サポーターとしても非常に手応えを感じている。
ホームでは勝率5割だがアウェイで0勝
現在コンサドーレは34試合中18試合を終えて、4勝4分け10敗の勝ち点16。悪くない成績だ。
これをホームとアウェイで戦績を分けると、以下のようになる。
ホーム:8戦4勝2分け2敗 勝ち点14 9得点8失点
アウェイ:10戦0勝2分け8敗 勝ち点2 7得点20失点
ホームでは勝率5割だが、アウェイではまだ1勝もできていない。いわゆる「内弁慶」の状態だ。
特に失点にフォーカスを当てると、平均1失点のホームに対して、アウェイでは2倍の平均2失点。アウェイでいかに失点を防ぐかが、後半戦に向けて大きな課題となるだろう。
得点パターン:リスタートからのゴールが5割
札幌の武器は、何と言ってもセットプレーだ。今季J1全体では直接FKから計13ゴール決まっているが、そのうち札幌が4ゴールを占めている。
特にDF福森晃斗の左足は圧巻だ。今季既に直接FKを3本も決めている。18節大宮戦ではフリーキックを2本沈めていて、直接FKによる1試合2得点はJ1史上7人目、日本人選手に限ると史上3人目の快挙だった。
加えて、その福森の左足から繰り出されるセットプレーを起点に押し込むゴールが4本。つまり、リスタートから決めるパターンが半分を占めるのが札幌の特徴だ。
サイドからクロスを供給して、中で合わせて決めるゴールも4本あるが、第10節以降、その得点パターンが見られなくなっているのが気掛かりだ。
それに合わせる形で、チーム得点王(5得点)の都倉賢も10節以降ゴールを決められない状態が続いており、対戦相手のスカウティングが効いてきている証左とも言える。
失点パターン:流れの中から崩されるケースが57%
続いて失点パターンを見てみる。
特徴的なのが、流れの中から崩されて失点するケースが28失点中16失点にのぼり、全体の57%も占める点だ。5-3-2という守備的布陣を基本フォーメーションとしているのに、この数字はいただけない。
また、PKで3失点しているのも問題だ。
3週間あったこの中断期間で、守備戦術の再確認がされたことだろう。後半戦に向けて改善策が徹底されることを期待したい。
後半戦は前線の新戦力に期待
この夏、新たな戦力が2人、札幌に加入した。
元イングランド代表で昨季まで磐田に所属していた身長190cmの大型FWジェイ・ボスロイドと、「タイのメッシ」という異名を持つ現役タイ代表MF、チャナティップ・ソングラシンの2人だ。
都倉賢とジェイの「ツインタワー」を前線に配置することで、前半戦、相手のスカウティングによって苦しめられた都倉賢に対する徹底マークもいくらか分散されるはずだ。
更に身長160cmと小柄ながら、スピードに乗ったドリブルが最大の武器であるチャナティップが、札幌の攻撃をよりバリエーション豊かなものにしてくれるだろう。
特徴がまるで違う2人の新戦力が、勝負の後半戦でどのような活躍を見せてくれるのか、我々サポーターも期待して見守ることにしよう。