【英会話】He wasn't successful って言ったら、首を振られた。なんで?
20年ほど仕事で英語を話していますが、Native English Speakerってホントに人とモノを区別するんだな と感じることがよくあります。
その人とその人の意見を区別したり、その人をお祝いする という言い方よりも、その人の慶事をお祝いする という言い方を好むんです。デカルトが「Je pense, donc je suis(私は考える、ゆえに私は存在する)」と言ったところから始まっているかどうかは判らないですが、精神とモノを厳密に分けるんですね。
そんな風に精神とモノを分ける考え方は、大学で現代思想(哲学)を修めたせいか私はそれほど違和感がないんですが、たまに足元を掬(すく)われることもある。
そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むと人とモノを切り分けて自然な英語を得られるお得なエッセイです。
彼はうまくいってなかったね。
最近はずいぶんと浸透してきましたが、出始めのころはなかなかうまくいかなかったもののひとつに電子書籍があります。20年ぐらい前でしょうか、大手のメーカーやAmazonなどがデヴァイスを売り始めていましたが、爆発的なヒットまではいかなかった記憶がある。
でも、わたしの知り合いのNative English Speakerたちは早かったですねぇ。Amazonのデヴァイスが発売されてすぐに購入して、見せびらかされました。
これで、いくらでも本が読めるぞ~ って威張ってた。なんで、日本人はまだ紙の本なんか読んでるんだ? とも言われましたっけ。そのときは、日本人は100%「Je pense, donc je suis(私は考える、ゆえに私は存在する)」と思ってないからだよ と答えておきました。おれらは精神さえあればいいっていう精神至上主義じゃないの って意味です。でも、その後、スマホでみんな本やマンガを読み始めたところを見ると、日本人も精神至上主義になってきているのかもとは思いますが。
それはともかく、なぜ、電子書籍の話を始めたかというと、私の知り合いの編集者に出端(でっぱ)なの電子書籍を担当したやつがいたんです。すんげえ苦労してた。今はそこでの苦労したおかげか、だいぶ偉くなってますけど。それをこの間、English man のRichに話したんです。
He was promoting e-books, but he wasn’t successful. (彼は電子書籍を進めていたけど、上手く行ってなかったね)
それを聞いたRich、さらっと首を振る。
枕を振ってあるので、みなさん、わたしの英語のどこがおかしいかもうお判りですね。
もちろん、問題は成功してないものの主語です。
うまくいってないのは、あくまで電子書籍事業。彼がうまくいってないわけじゃない Native English Speakerはこんなふうに切り分けて考えるんですねぇ。
私は、その友人がだいぶ苦労していたのを知っていたので、あいつうまくいってなかったなぁ ってだいぶ気持が入っちゃって一瞬切り分けられなかった。痛恨のシュートミスでした。
でも、これを書きながら気づきましたけど、ネガティヴなことに関しては、精神とモノを厳密に分ける英語の考え方はいいですね。うまくいってないのは、おまえじゃなくて、おまえの仕事だよ 自分を信じて気にすんな って励ませそうです。
Native English Speakerってどうしてこう前向きなのか? って不思議な時がありますが、実はこの辺に秘密があるのかもしれません。
と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。
おっと、わたしが本当はどういうべきだったかを書いていませんでした。当然ですが、主語を変えて、
He was promoting e-books, but it wasn’t successful.
です。参考にしてください。
イラスト 大橋啓子