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【英会話】industry is growing up って言ったら、からかわれた なんで?

英語雑学エッセイスト 徳田孝一郎英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

 20年ほど仕事で英語を話していますが、ちょっと興奮したりすると、頭に浮かんだ日本語を直訳して失敗することがまだまだあります。

 そんな私の失敗英語や、今も私の周りで起こっている失敗英語を多少脚色も加えて、ご披露したいと思います。今回は読むと自然な英語を得られるお得なエッセイです。

宇宙産業はすごい勢いで成長してるからね。

 ちょっと前のことになりますが、H3ロケット3号機が7月1日に打ち上げられました。23年3月の1号機が打ち上げに失敗して、今年2月の2号機が試験機として打ち上げ成功。いよいよ実用機として3号機が地球観測衛星「だいち4号」を搭載して、宇宙(そら)に駆け上がった。
 前日からそわそわしちゃう。Native English Speakerと話していると、やっぱり宇宙産業というのは急成長している産業で、人類を月に送り込んで月の資源開発を目指すアルテミス計画しかり、衛星からの地球観測で新たな資源を見つける地球観測衛星しかり、これはちょっと先のことになるでしょうけど、宇宙太陽光発電による電源開発(宇宙で発電して、マイクロウェーヴで電力を地上に送る夢の発電所です。エネルギー問題が解決しちゃうかも!)しかりで、新たな産業革命と言ってもいいぐらい勢いのある産業なんです。でも、その流れに乗るためには、自前のロケット、しかも国際競争力のあるロケットが必要。H3ロケットが成功するってことはその第一歩で、絶対成功してほしかった。まぁ、もちろん、わたしがSF者だってこともあるんでしょうけど、とにかくそわそわする。

 今はいい時代でして、H3ロケット3号機の打ち上げはYou Tube で見ることができました。ちょうどEnglish man のRichとミーティング中だったんですが、中断して、モニターのこっちと向こうで固唾を飲んで見守る。
 離床は無事にすんで、H3は宇宙に向かって行ったんですが、高度420キロあたりでH3の速度が落ちた。おお、大丈夫かと、やきもき、どきどきしましたが、その後持ち直して、軌道に「だいち4号」を投入してくれました。思わずこぶしを突き上げちゃう。自分のことでもないのに。

 まぁ、RichはH3ロケットの打ち上げも面白かったようですが、わたしの反応も面白かったようで、あきれ顔。それを見て私もちょっと冷静になって、言い訳する。

The space industry is growing up rapidly. (宇宙産業はすごい勢いで成長してるからね)

 これで、乗り遅れずに済むよと煙幕を張ったんですが、Rich、にやりと笑って、本心はロケットが飛んで行くのが愉しいだけだろと言い当てる。そりゃそうです。人の叡智の結晶じゃないですか、それが未知のものを既知のものにしていくなんて、こんなに愉しいことはない。まぁねぇ と返したんですが、そのあとに、Richがこう言って来た。
 産業は大人にはならないけどね、徳さんと同じように。
ですって。Richがなぜこんなことを言ったのか、みなさんお判りになるでしょうか? 

 問題はもちろん、わたしの英語にあります。私、興奮して、grow up って言ってるんです。成長してる って日本語が頭に浮かんで性急に英語にしてしまったものだから、失敗した。
 Cambridge Dictionary などで調べると判りますが、grow up ってgradually become an adult って意味で、モノには使わないんですね(特殊な場合は都市には使います)。だから、ここはサイズが大きくなったり、発展したりするという意味のgrow を単独で使わないといけない。grow とgrow up のイメージの違いは知っていたのに、H3ロケットの打ち上げ成功に興奮してやられました。反省です。

 と、こんな感じで、Native English Speakerたちとの英語やカルチャーギャップのお話をご披露したいと思っております。 お気に召しましたら是非ともごひいき(フォロー)くださいますようお願い申し上げます。

 あっと、わたしが本当はどういうべきだったかを書いてませんでした。

The space industry is growing rapidly.

です。up をとるだけですから、簡単ですね。

 ちなみに、単独のgrow は、大きくなるという意味では、人にも使えます。

She's grown five centimetres this year.

というような文です。参考にしてください。

 そういえば、H3ロケット4号機が10/26の3:44P.M.~5:30P.M.(情報更新 延期されていた打ち上げですが、11/4の3:48P.Mに再設定という発表が11/2にJAXAからありました) に打ち上げられるそうです。みなさんもYou Tube で観るのいかがですか? 私は仕事を含め万難を排して観ますよ~。Richの言う通りわたしはgrow up できてないようです。

イラスト 大橋啓子

英語・英会話研修スクール「英語・直観力」代表

英語嫌いだったが、仕事で必要に迫られ英文法をマスターし、学芸大附属・ICU高校・早稲田高等学院・慶応高校・渋谷幕張・早稲田大学・慶応大学など有名高校・大学に多くの生徒を合格させる。その実績を買われ、英会話習得カリキュラムを作成するために英会話スクールに転職。担当した1600名の受講生のVERSANTのスコアの平均伸長点は5.3を超え、3か月の最高伸長点は21を記録する。この時期に英文法をネタにした小説「英語の国の兵衛門」も上梓。その後Vice-presidentに就任し、受講生の英会話力向上に尽力し、業績を伸ばす。現在は独立し、英語・英会話研修スクール「英語・直観力」を経営している。

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