iPhoneの新OS『iOS 9』は広告ブロック機能でページ表示速度が3.9倍に。通信量も53%削減
来月発売予定と噂の『iPhone 6s』にも搭載される新OS『iOS 9』の広告ブロック(非表示)機能『ContentBlocker』が、かなりの性能を秘めていることが分かりました。
iPhoneとiPadが広告ブロック機能を搭載予定。iOS9の次期Safariから(篠原修司) - 個人 - Yahoo!ニュース
ContentBlockerとして設定できる広告&追跡ブロックアプリ『Crystal』を開発している『Murphy Apps』が、8月25日に更新した最新のベンチマーク結果によると、Crystalを使ってウェブページの広告をブロックするとページ表示速度が3.9倍早くなり、通信量も53%削減できたとのことです。
Crystal Benchmarks - Murphy Apps
このテストは『iPhone 6 Plus』を用いて行われ、『ニューヨーク・タイムズ』や『Business Insider』、『Wired』など主要10サイトでの10ページ分のロード時間(読み込み時間)とページサイズが広告ブロックなし/ありで比較されました。
広告ブロックで70秒と35MBの節約に
まずページ表示速度ですが、読み込み時間は平均して74%削減されました。図の赤がCrystal未使用時、青がCrystal使用時のものです。
全てのサイトでロード時間が大幅に短くなっていることが分かります。
また、広告を読み込まないため通信量も53%と半分以上削減できることが分かりました。
Crystalを使ったことで、10ページ合計で70秒と35MBの節約ができたそうです。
実際に見た目でどれくらい表示速度が違うかは、以下のページにて比較のGIFアニメーションをチェックできます。
What mobile ad blocking looks like in the real world
広告ブロック機能を使うと、iPhone・iPadユーザーは今よりも素晴らしいウェブ体験ができます。もちろん、月額料金が安い代わりに通信制限の厳しいMVNOや、キャリアの通信制限を低く設定している人にとっても通信量の削減は朗報でしょう。
バナー広告が消え、広告のネイティブ化が進む?
ただ、一方で気になるのが広告で稼ぐビジネスモデルの無料ニュースサイトやウェブサービスの今後です。モバイルのPVが増えるなか、そのモバイルでは従来のバナー広告で稼げないとなると、広告のネイティブ化が進むと予想されます。
ネイティブ広告とは、記事などのコンテンツと同じ体裁で表示される記事型の広告やタイアップ広告のことです。
ネイティブ広告そのものは悪くないのですが、読者に広告であると明示しない(もしくは意図的に気づきにくいようにした)ネイティブ広告も多く、問題となっています。
サイバーエージェント子会社、「広告」表記なしのネイティブ広告販売を認める - ITmedia ニュース
記事にそっくり「ネイティブ広告」 定まらぬ線引き :日本経済新聞
広告と明示しないネイティブ広告が増え続ければ、読者のメディアへの信頼性は今よりもさらに低下してしまいます。
この問題に対して、一般社団法人インターネット広告推進協議会がネイティブ広告に関するガイドラインを策定するなどしてはいるものの、非会員社のメディアがそれに従う理由はなく、ガイドラインがどこまで浸透するかは未知数です。
とくに日本では『Android』よりもiPhoneの方がシェアが高いため、広告ブロック機能が多くのユーザーに使われ始めるにつれ広告のネイティブ化が急速に進むと考えられます。
追記(2015年8月25日23時21分)
いくつか誤解が発生しているようなので次の説明を別途追記します。
- 広告ブロック機能はiOS標準のWebブラウザ『Safari』にて適用されます。無料アプリのアプリ内広告は表示されると思われます(無料のWebブラウザアプリについては不明です)。
- iOS9は『iPhone 6』や『iPhone 5s』にもインストールできます。しかし、その場合においてContentBlockerを利用できるかはまだ明らかになっていません。今回のベンチマークテストではiPhone 6 Plusが使用されているので問題なく使えるとは思いますが……。