Yahoo!ニュース

スーパーの大根はどうして葉がないの?葉を切るのには大事な理由があった【大人の食育コラム】

racss食育インストラクター・調理師/菜園家

大根が美味しい季節です。スーパーにも大根が山積みされていますが、葉が無いか、すこししか付いていないものがほとんど。なぜなのでしょうか?大根の葉を切って売られているのには大事な理由がありました。

ダイコンの葉に水分を吸われないために切り落とす

どの野菜もそうですが、大根は収穫後も少しずつ成長を続けています。葉がついていると、葉は新たな葉を作るために根から水分と養分を吸収します。すると大根の根本体がどんどんしおれていってしまうのです。

大根は9割が水分。透き通るように煮える大根も、ジューシーな大根おろしも、水分が抜けてしまっては作れなくなってしまいます。できるだけ長い期間みずみずしい状態で店頭に並べるためには、大きな葉っぱを付けていてはいけません。

みずみずしい大根が食べられるのは、葉を切り落として売られているおかげ?!
みずみずしい大根が食べられるのは、葉を切り落として売られているおかげ?!

そこでスーパーなどへ出荷する大根は、収穫後すぐに葉が切り取られます。大根の葉を切り取ったほうが箱詰めもしやすいですし、運送時も楽です。販売店で葉をカットする場合もあります。
葉が切り落とされているおかげで、わたしたちはいつでも水分たっぷりの大根をお手頃価格で購入できるというわけですね。

葉つきで買った場合はどこで切る?

大根の葉は赤線の位置でカットすると良い
大根の葉は赤線の位置でカットすると良い

家庭菜園で収穫したり、直売所などで葉がついたまま手に入れた大根も、保存性を高めるためにはすぐに葉を切り落とす必要があります。どの位置で切るといいのでしょうか?

葉の成長点をすべて切り取るのがポイントになります。葉の途中ではなく、すべて切ります。葉の生えている根本を少しつけたまま切るようにしましょう。

葉が少し残っていたら活用しよう

大根の〝ヘタ〟は水につけておくと再生する
大根の〝ヘタ〟は水につけておくと再生する

スーパーから買ってきた大根に葉の一部(茎)が残っていたら?その場合も、大根本体の劣化を防ぐために早めに付け根から切り取りましょう。
そしてその部分は食べられますので活用してください。よく洗ったあときれいな部分をみじん切りにして炒め物や汁物に入れるとシャキシャキした食感を楽しめます。


または、大根の〝ヘタ〟を切り取ってから水に下側をつけておくと新たな葉が伸びてきます。少し育ててから活用してもいいですね。これが話題の「リボベジ」(再生野菜)。
日が当たるところに置くと結構伸びてくれて、数日後にはお味噌汁の彩りくらいには十分使えるようになります。折れた古い茎や枯れた葉はこまめに取り除き、水は腐らないよう毎日取り替えてください。

家庭菜園の大根のす入りを防ぐためにも葉切りは有効

植えたままの大根の葉を切ると「す入り」を防げる(赤線の位置で切る)
植えたままの大根の葉を切ると「す入り」を防げる(赤線の位置で切る)

家庭菜園では、冬の時期まで栽培して食べるぶんだけ畑から抜いてくることができます。しかし、成長しきった大根は採り遅れると「す」が入って食感が悪くなってしまいますね。
それは根の成長は止まって土から水分や養分を吸収することをやめているのに、葉はまだ成長を続けているからです。根に蓄えられた水分と養分を葉が吸い上げてしまうと、根の部分は次第にスカスカに・・・。
実はここでも「大根の葉を切る」技が有効!畑に植えたままの状態で葉を切り取ってしまえば大根には「す」が入らず、新鮮な状態のまま土の中で保存することができます。
土から大根を抜かず、葉を付け根から切りましょう。成長点を残さないよう大根の頭にかかる位置で切ります。その後、長く保存する予定なら大根の首元まで土をかけておきます。
この方法、栽培家さんの間では有名な技ですが、初めて聞いたという方がいましたらぜひお試しを。

葉つき大根が手に入ったら

葉がついたままの大根や、切り落とした大根の葉が手に入ったら、美味しいレシピがたくさんあります。でも大きく茂る大根の葉はチクチクしたり、固かったり苦く感じたりと好き嫌いが分かれるようです。大根の葉を美味しく食べるための下ごしらえについては次回の記事をお楽しみに。

****【大人の食育】****

「大根の葉がない理由」についてのこの記事、いかがだったでしょうか。食材の流通について知ったり、食材を育ててみる、食材を無駄なく使い切る工夫、栄養や美味しい組み合わせを知るといった取り組みは全て「食育」に含まれます。
調理師・食育インストラクターであるracssのコラムでは、健康的な食生活につながる「大人の食育」を意識したテーマで書いています。「へぇ~なるほど、やってみようかな」「子どもたちにも伝えてみようかな」と思っていただけたら幸いです。よかったらracssをフォローして他の記事もお読みくださいね!

食育インストラクター・調理師/菜園家

学生時代~ハンドメイド作家時代に癒やされる観葉植物の室内栽培にはまったのち、屋外の家庭菜園に魅了され早15年。宿根草とハーブや野菜、野草、山菜系野菜や小果樹を庭で栽培しています。自然を楽しみながら育て、味わい尽くす方法を、調理師・食育インストラクター(2級)の目線から発信していきます。 北海道での家庭菜園の様子はInstagramと公式サイト「racssblog」にて公開中。

racssの最近の記事