背水の「10番打者」リチャードが特大ソロ。イチロー、小久保も大事にした「習慣づけ」が覚醒のヒントか
先発ローテ候補の大関、藤井がともに2回0封
【2月14日(火)紅白戦第1戦 アイビースタジアム】
紅組 ‘00410 5
白組 ‘00000 0
※特別ルール
【投手リレー】
(紅)大関、椎野、松本裕
(白)藤井、泉、高橋純
【本塁打】
(紅)リチャード
【スタメン】
(紅)4三森 6野村勇 8牧原大 9柳田 7ホーキンス 5アストゥディーヨ 2甲斐 D谷川原 D増田 3リチャード
(白)4周東 7近藤 6今宮 5栗原 3中村晃 9正木 8柳町 D川瀬 D嶺井 2渡邉
【戦評】
今キャンプ初の紅白戦が5イニング制で行われた。
紅組打線がつながった。三回、9番・増田珠の左中間二塁打からチャンスが広がり無死満塁とすると、2番・野村勇の内野ゴロで併殺を完成させようとした白組捕手・渡邉陸が一塁へ悪送球してその間に紅組が先制。なおも走者が残り、3番・牧原大成、4番・柳田悠岐が連続タイムリーを放った。さらにアストゥディーヨは右翼へ大きな犠飛を放ち、この回に一挙4点を奪った。
そして四回、10番・リチャードが紅組2番手・泉の初球をセンター右へ大飛球を放ちソロ本塁打にした。
紅組投手陣は先発した大関友久が2回無安打無失点と好投。椎野新は2回1安打、松本裕樹は1回打者3人で抑えて計1安打の完封リレーを見せた。
白組は先発の藤井皓哉が2回無失点。2イニング目にホーキンス、アストゥディーヨの新助っ人コンビに連打されてピンチを作ったが、持ち味のフォークを武器に連続三振を奪って乗り切った。
3番手にはB組の高橋純平が登板。球が高く浮いたのが反省点だったが、最速152キロをマークして1回無失点に抑えた。
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リチャード、汚名返上の一発
リチャード内野手が汚名返上の一発だ。センターの右へ特大ソロ。「ちょっと差し込まれながら持っていった」という驚きのパワーを見せつけた。
しかし、表情も口調も大人しい。「風が運んでくれたかなと思います」と控えめだ。このキャンプはずっと低調だった。8日のチーム打撃メニューではエンドラン練習で本塁打を放ってしまい、首脳陣に苦言を呈された後に涙したと大きく報じられた。11日のシート打撃でも3三振を喫して、いいところがなかった。
欲が大きすぎた
この日は「10番打者」でのスタメン。背水の陣なのは明白だった。
「振り返ると、求めることが大きかった。打ちたい欲が大きすぎた。そこをどうにか押し殺していつも通りにやれば。今日はいいきっかけになると思います」
周囲は力まなくてもボールが勝手に飛んでいくパワーの持ち主と背中を押すが、本人はなぜか「そんな自信はない」という。結果を出したくて力む悪循環を脱するために、ここ最近はルーティン、いわゆる習慣づけを大切にしているという。
ベンチから打席に向かうまではもちろん、朝起きて球場に向かうまでのルーティンも意識しているという。毎朝欠かさずアーリーワークに参加するのもその一環だ。
ルーティンを大切に
結果に左右されないメンタルを養う意味では大切なこと。打席に向かうルーティンでいえばイチロー氏が有名だが、この日ソフトバンクのキャンプ中継で解説を行っていた多村仁志氏なども同様のことを話していた。また、小久保裕紀・現二軍監督も現役時代はルーティンを大切にしていた。当時のチームメイトがロッカールームでの様子を「まるでビデオ再生を見ているように毎日同じ」と話していた。
もう6年目。期待値だけで長生きできる世界でないことは本人が百も承知だ。もう結果でアピールを続けるしかない。
(※写真はすべて筆者撮影)