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長続きしない今年の冬型気圧配置

饒村曜気象予報士
地上天気図と気象衛星画像(平成30年12月15日21時)

冬日と真冬日

 冬の訪れが遅いと言われた平成30年(2018年)も、12月に入ると西高東低の冬型の気圧配置になって寒気が南下することが多くなっています。

 今日、12月16日(日)の最低気温が氷点下0度未満の日(冬日)の観測地点数は、気温を観測している全国の926地点の約60%の572地点に達し、今季最低気温は約30%の299地点に達しています(5時現在)。

 東京(千代田区)では最低気温が0.4度と、今冬一番の寒さで、あと少しで冬日でした。

 このため、初霜を観測しました。平年より4日早く、昨年、平成29年(2017年)より6日遅い観測でした。

 また、昨日、15日は最高気温が氷点下0度未満の日(真冬日)は140地点でした(図1)。

図1 全国の真冬日と冬日の観測地点数(平成30年(2018年)12月)
図1 全国の真冬日と冬日の観測地点数(平成30年(2018年)12月)

 今冬初の真冬日は、北海道の函館、室蘭、釧路で初雪が降り、北海道では気象庁職員が常駐する8か所の気象台・測候所のすべてで初雪を観測した11月21日のことです。

 北海道東部の内陸部の北見市留辺蘂など8地点で記録しました。

 その後、晩秋から初冬としては暖かい日が続いていたのですが、12月7日以降は真冬日の観測が100地点を越えています。

 しかし、これがほぼ平年並みの寒さで、まだ本格的な寒さではありません。

冬型の気圧配置

 12月14日以降、西高東低の冬型の気圧配置となって全国的に寒くなりましたが、この冬型の気圧配置はまだ長続きしません。

 大陸にある高気圧が移動性高気圧となって日本付近を通過し、その後、東シナ海に低気圧が発生する見込みです。

 タイトル画像にあるように、東シナ海にはほぼ東西に延びる帯状の雲がありますが、ここで低気圧が発生し、発達しながら本州の南岸を東進する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(12月16日21時の予想)
図2 予想天気図(12月16日21時の予想)

 このため、日本付近には暖気が流入し、九州は午前中から、中国・四国では昼過ぎから雨が降り、近畿・東海・北陸も夜には雨や雪となる見込みです。

 関東地方では、低気圧接近に先行して東海沖で発生した雲が流入しますので、低気圧接近より早く雲が広がり、所によりにわか雨があるでしょう(図3)。

図3 低気圧に先行して関東にかかる雨域の予想(12月16日15時)
図3 低気圧に先行して関東にかかる雨域の予想(12月16日15時)

 この低気圧が通過後の週明けは冬型の気圧配置となり、再び寒気が南下します。

 しかし、この冬型の気圧配置も長続きせず、移動性高気圧と低気圧が交互に通過し、初冬としては気温が高い1週間になりそうです(図4)。

図4 東京と大阪の週間天気予報
図4 東京と大阪の週間天気予報

タイトル画像、図3:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

図2、図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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