ノルウェー国会議員が若者に対して差別的な偽情報を拡散、ネット炎上に
右翼ポピュリスト政党「進歩党」といえば、難民、移民、少数民族などに差別的ともとれる投稿をして、ネット炎上しがちな党だ。
11日に国政選挙がおこなわれたノルウェーでは、保守党と進歩党による右派連立政権側が勝利。
この時、進歩党で再選したトール・アンドレ・ヨンセン国会議員は、自身のFacebookに一般公開でとある記事を投稿。
「24avisen」は、ノルウェーでは不真面目で差別的なニュースサイトとして知られており、フェイクニュース発信源のひとつともなっている。
同サイトは選挙の夜に「この労働党青年部のリーダーが国営放送局NRKにインタビューされているシーンを見た瞬間、ノルウェー人は喉にコーヒーを詰まらせた」という記事を出していた。
記事の冒頭写真には、マイクを持ったNRKの記者の隣に、髪の色が黒く、肌の色が茶色い青年の姿があった。
彼は青年部の一員ではあるが、リーダーではない。このシーンに人々がショックを受けたという事実はなく、フェイクニュースにあたる。
ヨンセン議員は、このサイトの記事を投稿し、「は?本気ですか?エイプリルフールでしょうか。それともこれが労働党が描く将来図ですか?」と記載。
結果、コメント欄にはこの若者に対し、「猿」、「黒いピエロ」などの言葉があふれた。
同議員の投稿はすぐに問題視され、労働党や同党の青年部がすぐに「謝罪するべきだ」と非難。現地メディアでもニュースとなった。
アーナ・ソールバルグ首相や、進歩党の党首であるシーヴ・イェンセン財務大臣、また進歩党の他党員からも、「これは受け入れられない」と議員は注意を受ける(NRK、DN紙、地方紙など)。
労働党は左派陣営を仕切る最大政党で、移民の受け入れに特に寛容というイメージがもたれている。
今回大きなニュースとなった理由には複数の理由がある。国の政治に必死に取り組もうとする10~20代が多い青年部を、大人の国会議員が茶化すという行為。
ノルウェー生まれでも、外国人風の顔立ちや名前をもっているだけで、差別的なコメントをネットで浴びやすい現状が続いている。結果、若者が議論に参加したがらない傾向に。
さらに、現地では不真面目なサイトとして認知されているにも関わらず、国会議員が記事を拡散させたことも炎上の原因となった。
フェイクニュースの拡散に政治家が関与することは、以前から疑問視されていた。
労働党の秘書が首相に対して回答を求めたところ、14日、ソールバルグ首相はツイッターで「もちろん、どうしようもない行為だと思っています」と回答した。
ヨンセン国会議員は当初は各メディアからの問い合わせに無言を貫いていたが、数日後にコメント。自分の行為がヘイトスピーチ増産につながったことを謝罪した。
同議員の投稿や、24avisenの元記事は現在は削除されている。
Text:Asaki Abumi