気象災害による死者増加 明らかになる温暖化の全貌
21世紀前半、温暖化は一時止まったかのように言われた時代がありました。2000年以降、気温の上昇が10年で0.03℃と、ほぼ横ばいの状況が続いたからです。この気温の停滞状態は、ハイエイタスと呼ばれ、その科学的根拠は正確にはわからないままでした。
しかし、ここ最近、再び地球温暖化が声高に叫ばれるようになってきました。
来週からパリで開かれる、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)を前に、国連や気象機関などから、温暖化を裏づける様々な根拠が次々と発表されているのです。
温暖化で増える、気象災害の犠牲者
国連は月曜日(23日)、気象災害による全世界の死者数が20年で60万人を超えたとする報告書をまとめました。
地域別ではアジアの死者数が半数以上を占め、また、気象災害の中で洪水による犠牲者が最も多くなりました。2005年から2014年にかけては、年間で335件も気象災害が発生。この件数は、その前の10年間を14%上回っていて、気象災害が増加傾向にあることを示しています。
そして、火曜日(24日)には、国連児童基金(UNICEF)が、温暖化の影響で7億人近くの子供が洪水や干ばつの危機にさらされていると警告しました。さらに食糧不足による栄養失調、下痢やマラリアなどと言った病気が増えるとも指摘しています。
増える二酸化炭素
11月初め、国連気象機関(WMO)は、2014年の二酸化炭素濃度が397.7ppmと史上最高であったと報告しました。二酸化炭素の上昇は今後も進み、2016年には400ppmを超えるであろうとの予測もされています。負の連鎖は続くもので、二酸化炭素が増えて気温が上昇した分、大気中の水蒸気も増え、水蒸気の温室効果でさらに温暖化が進む事も懸念されています。
その二酸化炭素がどのように世界で排出され、地球を循環しているのか、NASAが興味深い動画を公表しています。季節や場所で二酸化炭素がどのように排出され、地球を循環するのかが一目で分かるのです。
日本水没の恐れも
米・気象研究機関のClimate Centralは、温暖化がこのまま進み、世界気温が産業革命前と比べて4度上昇すると、海水が8.9メートルも上昇する恐れがあると指摘しています。そして残念なことに、日本は世界で6番目に被害が出やすい国とされているのです。
海水面が上昇したら日本はどうなるでしょうか。それを可視化した動画も公表されています。
期待されるCOP21
以前、IPCC総会において、議長がこう発言したことがあります。
「温暖化対策の高速列車に、国際社会の全ての人を乗せ、今すぐ出発せねばならない」
地球温暖化は国境という垣根を超えて、世界がタグを組んで解決しなくてはならない問題です。温暖化を完全に防止することは難しいとしても、その進行を遅くすることはできるかもしれません。今月30日からのCOP21での合意が、気象災害軽減への一歩になるであろうと、期待が高まります。