【泉佐野市】自販機で1缶1000円なぜ売れる?キャリア45年 “肉プロ”が生み出す『高級缶詰』を実食
以前からずっと気になっていた缶詰があります。
自販機なのに1缶1000円もする『高級缶詰』の存在。
ちょっと躊躇してしまいそうなお値段ですが、安定して売れているというから驚きです。
今回は、若宮町にある「菜’s(サイズ)」の缶詰『SIZZLE(シズル)』シリーズのご紹介です。
『SIZZLE』の名前の由来は、食べものなどの新鮮さ、みずみずしさ、焼きたての臨場感を表す言葉「シズル感」から。
早速、自販機がたくさん並ぶ本社を訪れました。
お店の前を通りがかる度に自販機の存在が気になっていたのですが、ここ最近 台数が増えたようです。その自販機がこちら。
ずらっと5台並んでいます。
「うま塩厚切り牛タン」や「絶品赤ワインソースのローストビーフ」「極上つまみいぶり牛タン」など。こちらは冷凍のお肉の自販機のようです。1000円~。
こちらは「Asian Deli」? 「ガッツリ野菜のピビンパ」や「無添加最高級キムチ」など。全商品1000円。
「ネギ塩牛タン弁当」や「伝説の爆盛り牛丼」「やわらぎとり西京焼弁当」など、美味しそうなお弁当(600円~)までありますよ!
そして今回注目するのがこちら。
缶詰の『SIZZLE』シリーズです。
こちらのシリーズは全商品1000円で自販機の缶詰にしてはそこそこなお値段。
でも…
「牛たんデミソース煮込み」や「特選ハラミすき焼き風味」、
「牛たんアヒージョ」や「極上豚中華スパイスうま煮」、「牛たんアヒージョ」は売り切れ? 人気のようです!
「牛たんチョップドバーグ」
「牛たんロールキャベツ」「極上豚の角煮」など、すごっ!
お上品なラベルとインパクト大なネーミングは、どこか “エンターテイメント性” を感じさせてくれる缶詰です。
自販機にはキャンプのワンシーンが描かれていて、なるほど「オトナの外遊び」にピッタリの缶詰というわけですね。
この缶詰を開発したのは、国内外の大手精肉店のコンサルティングやプロデュース等を手がけてきた「菜’s」オーナー 信田 憲孝(のぶた のりたか)さん。
そのキャリアは45年以上だといいます。
「肉を長年扱ってきたけれど、当時、コロッケやタレを販売する肉屋はあっても、肉の缶詰をつくっている肉屋を知らなかった。レトルトや缶詰にもチャレンジしてみたいと思ったんです。これでもかという程、肉を詰め込んだので ごろごろ出てくる肉にワッと驚いてほしい」と信田さん。
肉のすべてを知り尽くした “肉プロ” が生み出した缶詰とは一体どんな商品なのでしょうか。
和歌山のアウトドアショップや東京の缶詰専門店では、1300円程で販売されているという『SIZZLE』シリーズ。
工場直販だからお得に買えるそうですよ。
この中からおススメの3品を実食した様子をご紹介します。
「特選和牛ステーキ」
人気商品の「特選和牛ステーキ」。
一瞬、え? ステーキの缶詰ってどういうこと? と、ちょっと笑いが込み上げてきませんか? ステーキを缶詰にしちゃうあたりが関西の発想やなぁと感じます。
ですが、 “肉プロ”が開発した缶詰とあって中身はやはり本格派。
りんご果汁に漬け込んだ国産和牛をたっぷりの香辛料と共にぎゅうぎゅうに詰め込んだ一缶です。
プルトップ式の蓋を開けて15~20分湯煎にかけます。その間も香辛料やステーキソースのいい匂いが漂います。
*必ず蓋を開けて湯煎にかけてください。耐熱性の容器に中身を移し、電子レンジで3~4分加熱してお召し上がりいただくこともできます。直火での加熱はお止めください。
缶を傾けると… おー! ゴロンと出てくる肉に胸が高鳴ります。
なにより、簡単調理ですぐに食べられる缶詰は主婦には大助かり。
にんじんやエリンギも入っているからお皿に盛り付けるだけで立派なワンプレートになります。
肉の食感は柔らかくホロホロしていて、ステーキというよりじっくり煮込んだビーフシチューの牛肉といった感じ。
ご高齢の方でも食べやすい印象です。
りんごの甘みと香辛料のきいたステーキソースがたっぷり入っているので、余すことなく肉に絡めていただくと美味しい。
2年~3年は保存できるという肉の缶詰がこのクオリティーなら、普段使いやキャンプシーンだけでなく いざという時のために買い揃えておきたいと思いました。
「牛たんアヒージョ」
こちらは、ちょっとこじゃれた「牛たんアヒージョ」。
アヒージョは、オリーブオイルとニンニクで食材を煮込んだスペイン料理で、カリッと焼いたバケットに乗せたり、お酒のおつまみにしたりと色々楽しめる一缶。
こちらもモリモリと中から具が出てきましたよ!(写真は湯煎後です)
オリーブオイルにニンニクと鷹の爪を入れて白ワインで煮込んだ具材は、牛たん、しいたけ、ドライトマト、じゃがいも、ひよこ豆、ケッパー、ソーセージと種類が豊富。
とにかくバラエティに富んだ1缶は様々な場面で活躍すること間違いなしです。
牛たんは、一見かたいかなぁと思いましたが、とても柔らかくてほろほろと口の中で崩れるほど。
わたしはまずは梅酒と一緒にそのまま、次に “クルミとレーズンのバケット”の上に乗せていただきましたが、お酒と好相性なのはもちろん、おやつ感覚で食べても美味しい。
「缶詰のおいしい召上り方」という説明書にも書いてありましたが、味付けは薄め(特に「牛たんアヒージョ」は)のため、お好みに応じて塩、スパイス、その他調味料を加えて食べるのもおススメです。
わたしは、そのまま食べた後にハーブソルトやブラックペッパーをプラスして味変も楽しみました。
「牛たんチョップドバーグ」
次は、今だけ大特価(1000円→500円)の「牛たんチョップドバーグ」。
極あらびきの牛たんミンチを混ぜ合わせ、包丁で叩いて仕上げたかのような食感を再現した一缶。
湯煎後、お皿に向かって勢いよく缶を傾けると、タワーのように連なった肉の塊がゴロンと出てきます。
その正体は3個の「牛たんチョップドバーグ」。
小ぶりながらもごつごつとした肉感で食べ応え抜群。「炭火焼レストランさわやか」の“げんこつハンバーグ”のようです。
そして、箸でほぐれるほど柔らかい。濃くのある本格派デミグラスソースがたっぷり入っていて、これでもかという程 絡めてもソースが残るため、あまりの美味しさにウィンナーに絡めて翌日のお弁当に入れちゃいました(これもまた美味しい…) 。
と、ここまでは缶詰の『SIZZLE』シリーズのご紹介でしたが、営業企画室 室長 丹後 喜博(たんご よしひろ)さん(オーナーの信田さんとは同級生の間柄) から「他にも自慢の商品があるんですよ。間違いなく美味しいから食べてみてほしい」とご紹介された商品がこちら。
ふるさと納税の返礼品として、なんと2年で21万個のオーダーを達成した「牛たん暴れ盛り」シリーズ。
こちらは「牛たん」の中でも希少部位(1本を800gとすると200gあるかないか)の「たん元」だけを詰め合わせたパックなのだそう。「これは極上ですよ」と“肉プロ”お墨付きの商品です。
写真からも伝わるように優に7mmを超える厚みの牛たんは、焼肉屋でもなかなかお目にかかれない代物。
プリプリの牛たんをどんどん焼いていきます。
肉のプロが世界中の牛たんを食べ尽くして厳選した “絶品の牛たん「たん元」”。
封を切った瞬間から、上質なものとわかるため“美味しくないわけはない”と確信できます。1枚ずつ手でスライスされた牛たんは、美味しさが最大限に引き立つ厚みとなっていて、その牛たんを更に美味しく柔らかくするために米麹、塩などで独自調合させた秘伝の「玉ねぎ塩麴」に4日間漬け込んでいます。
味つけの必要もなく、焼くだけで極上の牛たんを食べられる幸せ。
もちろん、ビールの準備もバッチリです。
(未成年の飲酒は法律で禁じられています。~お酒は二十歳になってから~)
あまり肉をいじらない、焼き過ぎないという信田さんの教えの通り焼いてみました。
サッと両面を炙り、余熱で火を通すくらいが一番美味しいとのこと。
牛たんと言えばやはりレモン。王道の食べ方でいただきます!
一口で食べたいところですが、柔らかさを確かめるために あえて二口で食べてみます。
さっくり嚙みちぎれるほどの柔らかさです。正直、この世の食べ物とは思えないほど美味しい。噛んだ勢いと同じくらいの反発で押し戻されるような弾力とサラッとした良質な脂が口いっぱいに広がります。
もちろん なんの臭みもなく、「玉ねぎ塩麴」に漬け込んでいるからか味に深みもあり、噛めば噛むほど凝縮された肉の旨味が染み出てきます。
食感はぷりんぷりん。缶詰で味わう食感とはまったく別モノといった感じです。
缶詰を紹介してくれるのも嬉しいけれど、ぜひこれも…と丹後さんが仰っていた意味が食べてみてわかりました。
こんな美味しい牛たんは、そうない。泉州発の牛たんが、全国で大暴れしているのも納得です。
もちろん地域の方がお買い求めいただける商品もありますのでご興味のある方は「株式会社 菜’s」公式ホームページ(外部リンク)をチェックしてみてください。
そして、なんと自販機でも同じクオリティーの牛タンを購入できますよ!
工場に設置されている自販機だから、新鮮なお肉を いつでも“安心・安全”にお買いものができるのも魅力です。
「南米生まれちゃうで~」とからかう丹後さんのそばで笑う信田さん。
彫りの深いお顔立ちから一瞬「え? 違うんですか?」となったわたし(失礼)。
実は信田さんは、生まれも育ちも泉佐野。生粋の「さのっこ」というから驚きです。
幼少期はご苦労もあって、「いつか高級車に乗りたい」と夢見ていたそう。
青年実業家(肉屋)のカバン持ちからはじめ、精肉業にどっぷり浸かり45年。
仙台、サービスエリア、デパート、お寿司屋さんなどに牛たんを卸していた話や、20年前に南米のレストランで指導していた頃の話などで盛り上がり、笑顔で当時の写真も見せてくださいました。
「牛たんを1カ月に30トンは切っている」と信田さん。
これだけ切っていれば肉の良し悪しは感覚的にわかる、と話します。
「『SIZZLE』シリーズの開発にあたっては、『肉の缶詰』の難しさを思い知らされましたね。殺菌することによって旨味が逃げてしまったり、熱で硬くなったりするので 部位のチョイスに工夫が必要でした。脂をのこしつつ、でも脂がありすぎるのもダメ。その辺りの調整に苦労しました」。
それでも、「肉を切っていて嫌になったことなど一度もない。趣味みたいなもの」と話す信田さん。
素材の選定から加工、発送にいたるまで すべて自社工場で行っていることからも“安全に美味しいものを食べていただきたい”という想いが伝わります。
『SIZZLE』シリーズ(缶詰)の魅力は、まず「缶詰」に、肉が入っていること自体が珍しかったり、缶を開けると、まんま「ステーキ」や「すき焼き風味のハラミ」「ハンバーグ」がゴロンと出てくる面白さだったり、プレゼントにもびっくりされそうで重宝したりと、色々な付加価値がプラスされているところです。
「缶詰」というモノが完全にブランド化され、それが総じて「ウケ」に繋がり、1缶1000円であっても魅力的なのだと感じます。
可愛らしいラッピングを開けると すました「特選和牛ステーキ」の缶詰がドンっと出てきた! なんて面白いと思いませんか?
そして 牛たんは、間違いなく“極上” なので必食の価値ありです。
夜のひと時が楽しい暖かい季節がやってきます。
みなさまの食卓にワクワクするような逸品をぜひ。
【基本情報】
会社名:株式会社 菜’s
公式ホームページ(外部リンク)
住所:泉佐野市長滝3327-2(Googleマップ参照)
Tel:072-493-8806
営業時間:9:00~17:00
定休日:土曜・日曜・祝日
駐車場:あり(15台)*搬入時トラックの駐車あり
取材協力 株式会社 菜’s 代表取締役社長 信田 憲孝 様、営業企画室 室長
丹後 喜博 様
*株式会社 菜’s 様のご協力により、撮影商品を無償でご用意いただきました。この場をお借りして心より御礼申し上げます。
*記事内容は取材当時のものです。詳細は公式HPをご確認ください。
*現在「SIZZLEラボ」(泉佐野市若宮町4-2)は、お弁当の自販機のみ稼働しています。