【泉佐野市】花屋の常識を覆す“あり得ない工夫”で人気店へ。お手頃価格でつくる「最高密度の花束」
人生ではじめて人でごった返すお花屋さんに出逢いました。
こんなにも人が交差するお花屋さんははじめて。人気の理由は、花屋の常識を覆す“あり得ない工夫”にあるようです。
「花が空気や白ごはんのように日常の中にごく当たり前にあってほしい」
そんなオーナーの想いが、ギュッと詰まった素敵なお花屋さんです。
「葉菜草(はなそう)」
「葉菜草」いこらも~る泉佐野店は、2005年にオープンした「葉菜草」いずみおおつCITY店の2号店。2023年6月から買い物客のひとときを癒してくれています。
一見ごく普通のお花屋さんですが、一歩足を踏み入れるとほかでは見られない花のセレクションに驚かされます。それは、まるで野山に自生する植物のようで、生き生きとした花姿にうっとり。
息をのむほど美しい「切り花コーナー」
息をのむほど美しい「切り花コーナー」。
まるで絵画のようです。
「自然の流れに添って移ろわせてゆく」という店長の高橋 正樹さんの言葉の通り、どの植物も今ここにあるべき姿で凛と姿勢を正しています。
年間を通して安定している花(バラなど)もあるけれど、季節感を大切にしているとのこと。同店では、国内の花だけでなく海外のめずらしい花にも出会えます。
たとえば、オージープランツの「カンガルーポー」。
オージープランツとは、オーストラリアやニュージーランドなどの南半球に自生する植物の総称で、丈夫で長持ちすることから日本でも人気があるのだそう。
深紅の口紅のような色合いが秋にぴったりですね。そして、このコーナーには、グリーンや動きのある花もいっぱい。
「コニファーブルーアイス」(左)はクリスマスの演出に。「モカラ」(右)は花束に躍動感を与えてくれそうです。
くすみカラーが可愛い大輪の花はとてもゴージャス。
どの花を主役にしても「絵になる花束」になりそうで、創作意欲が掻き立てられます。
フラワーベースや花に寄り添う雑貨も
店内では、ほかにもフラワーベースや花に寄り添う雑貨も多数販売しています。
花はオーナー、フラワーベースは高橋さんのセレクションによるもの。
どれもシンプルなもの(お手頃価格!) ばかりで、「花のある暮らし」を想像しながらぶらりと一周するだけでも楽しい。ぬくもりあふれる店内は、不思議と風の流れを感じます。
花屋の常識を覆す“あり得ない工夫”
取材中、手を伸ばして切り花の品定めをするお客さんに出会いました。
そんな自由に切り花に触れてもいいの? という疑問が湧いてきます。
それも、スタッフの方の目の届かないところで。
一般的なお花屋さんは、予算と用途をお伝えしてスタッフの方に花束をつくってもらうイメージですが、「葉菜草」では、気軽に切り花を手に取って選ぶことができます。(花器に入れてイメージをふくらませてもOK)
手に取れる花の種類の多さとリーズナブルさは、花屋の常識を覆すほど。
「花が傷んでしまう」という懸念から、ほとんどの花をショーケースで管理しているお花屋さんが多い中、これだけ多くの切り花を通路側の入り口近くで魅せる”ありえない工夫”に多くのお客さんが魅了されています。
「切り花は実際に手に取ってみたらイメージと違うなんてこともあると思うんです。フラワーベースもたくさんあるので、生けるようにあわせてみてくださいね」と高橋さん。
「このお店の植物は、とても丈夫で長持ちするのよ。こんなお花屋さんほかにはないわ」とお客さん。岸和田や泉大津からお越しの方もいらっしゃいました。
花への想いや長持ちの秘訣、安さの理由を高橋さんに尋ねてみました。
「質のいい花を安く提供するというのは、開業時からのオーナーの方針なんです。オーナーは週の半分は朝4時に起きて競り(せり)に出掛けます。市場と契約して決まった値段で販売している花屋もありますが、うちは相場をみて低価格で質のいい花を仕入れています。花が日常に寄り添うものであってほしい、何も買わないから入っちゃいけないお花屋さんにならないように気軽に立ち寄ってもらえるような店づくりを心掛けています」
長持ちすることについては、花屋界隈では下処理のセオリーが特になく、経験を積み重ねて学んできた結果なのだそう。
最高密度の花束
素敵なお話を聞いて、わたしも花束をつくってみたくなりました。
どこかクラシカルでくすみカラーの花たちは、どれもドストライクなものばかり。
でも、今回は高橋さんにつくってもらいたい。なぜなら、この方の「創らない花束」のセンスが素敵すぎるのです。
(「創らない花束」公式インスタグラム参照)
予算は2000円。テーマは「クリスマス」で。
希望もちょっとだけ伝えました。「カンガルーポーと実ものをいれてください」と。
カンガルーポーを手に取る高橋さん。「高橋くんが面白い!」とファンもいっぱい。
いつもニコニコしている高橋さんが、花と向き合う時は「花職人」の表情に変わります。手に取った薄ピンクのお花は「オンシジューム」といって、小さくても「蘭(らん)」の一種なのだそう。
もう既にスゴイ。まるで岩盤に根を張って自生する植物のようです。
高橋さんは、ある華道家の言葉に感銘を受けたそうです。
「直立不動の花などなく、太陽の方を向いていたり、他の植物を避けるように咲いていたりするのが自然の花姿」
高橋さんの手の中で生き生きと植物たちが踊りだします。
完成しました!
「クリスマス」をこんなふうに表現できるセンスが素晴らしすぎます。作為的でなく、自然のままの姿で凛としていて、花を愛する人の想いがギュッと詰まった「最高密度の花束」です。
創り込みすぎてしまいがちなアレンジブーケもここまで自然なら、日常に違和感なく溶け込んでくれそうです。
店内にはキラキラと輝く「クリスマス」もあるけれど、こんなオトナな「クリスマス」も素敵です。
植物は月初めに買い求める方が多く、”いつ来ても同じ”にならないよう、めずらしいものを手に取れる値段で提供することを心掛けているそう。
切り花の入荷は月曜と金曜。よって、火曜の朝と土曜の朝にお店をのぞくとたくさんの花たちに出会えます。鉢ものは、火曜の午後と土曜の午後(夕方頃)が充実しており、いこらも~る泉佐野主催の「木曜市」の日は、店前で大売出しも開催されます。
花は高価、日常に花束など贅沢。そんなイメージを払拭してくれる「葉菜草」。
取材中に出逢った ある女性の言葉が忘れられません。
「先日、主人が亡くなって 家の中は喪(も)の花ばかりでした。少しずつ自分好みの明るい花を増やしているの。このお花屋さんを知って生活が楽しくなったわ」。
【基本情報】
店名:「葉菜草」いこらも~る泉佐野店
公式インスタグラム(外部リンク)
住所:泉佐野市下瓦屋2丁目2-77 いこらも~る泉佐野1F
(Googleマップ参照)
Tel:072-468-8663
営業時間:10:00~20:00
取材協力 「葉菜草」いこらも~る泉佐野店 店長 高橋 正樹 様
*記事内容は取材当時のものです。
*記事中の金額はすべて税込表示です。
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