阪神・平田ファーム監督が3度目の就任。「寝込むぐらいまでやりたい」
きのう22日、阪神タイガース2019年度の監督、コーチ陣容が発表されました。新しい顔ぶれは清水1軍ヘッドコーチと、ファームでは日高育成兼分析コーチくらいで、他は1軍とファームがごっそり(という表現は変ですかね…)入れ替わった感じでしょうか。新聞等で『1軍の陣容は平均年齢が45歳』と出ていたので、ファームの平均年齢も計算してみたところ『48歳』でした。新井コーチや40代前半の人がいるので50には到達していませんね。
平田監督や香田コーチ、山田コーチ、中村コーチは以前もファーム担当でしたが、高代コーチは初めての阪神ファームですよね。若い選手たちにどんな効果があるか楽しみにしたいと思います。
<阪神タイガース2019年度の監督・コーチ陣容>
【1軍】
監督 88 矢野燿大 (49)
ヘッド 81 清水雅治 (54)
投手 85 福原 忍 (41)
投手 73 金村 曉 (42)
バッテリー 89 藤井彰人 (42)
打撃 79 濱中 治 (40)
打撃 76 平野恵一 (39)
内野守備走塁 71 久慈照嘉 (49)
内野守備走塁 74 藤本敦士 (41)
外野守備走塁 96 筒井 壮 (43)
トレーニング 91 伊藤敦規 (55)
【ファーム】
監督 78 平田勝男 (59)
チーフ 70 高代延博 (64)
投手 90 香田勲男 (53)
投手 72 高橋 建 (49)
バッテリー 82 山田勝彦 (49)
打撃 83 新井良太 (35)
守備走塁 87 中村 豊 (45)
育成 86 安藤優也 (40)
育成兼分析 84 日高 剛 (41)
“欠点”ではなく“伸びしろ”という認識
きのう22日の午後、ファームがフェニックス・リーグで滞在する宮崎に平田監督とコーチ陣が到着しました。平田監督は早速、選手やスタッフと会い、就任の挨拶。続いて選手全員と個別面談を行っています。時間にして2時間強、ひとりひとりと話をしたそうです。その後、我々の取材に対応。以前と変わらない"平田節"で爆笑させつつ、そして以前と変わらない情熱を語っていただきました。
「今、選手全員と話をして、このフェニックスに賭ける意気込みとか課題を聞いて、各選手たちの思いが痛感できたので、あすからが楽しみだよね」
個別面談については「ファーム、久しぶりだしね。ことし1軍を経験した選手もいれば、ファームでいろんな経験した選手がいる中で、ある程度の話を聞かないと。(ここまで12試合を終えた)成績だけじゃなくて、成績が出ていなくても何か課題を持ってやっているんだったらいいし。そういうとこで直に。グラウンドでちょこちょこは聞けないから」とのこと。
2度の2軍監督経験を経て、ファームのあり方というのはどう感じますか?「きょうもちょっと話をした。いいところは伸ばしてあげなくちゃいけないけど、苦手なところは“欠点”と言わずに“伸びしろ”だと。これは、伸びしろがあるんだってことをコーチの人にもお願いして。そのへんを欠点で片づけないで、伸ばしてあげてくださいとね。選手にも、伸びしろなんだってことを認識してほしい」
「みんなわかってるよ。高山や江越たちにも話を聞いたら、自分たちがどうしなきゃいけないってことはね」
早速、練習試合を追加!
チーム全体への話は?「やっぱり金を稼ぐ選手というか、クライマックスを見ていても、西武の浅村はシーズン中ちょっと調子が悪い時にDeNAの宮崎のタイミングの取り方を参考にしただとか。最後の巨人戦で阿部がタイムリーを打った時に、甲子園はホームランがあまり望めないので指1本バットを短く持って打ちましただとかね。やはり1軍で金を稼いでいる選手ってのは、シーズン中でもそういう微調整や修正をしたり、工夫をしたり、感じながらやっているんだよね」
「ファームの選手たちが感じない一日を過ごしてしまうということが、もったいないので。上の選手たちはそうやってお金を稼ぐ工夫をしているから。フェニックスの残り、1試合多く入れてもらったので(26日に練習試合が入った模様)残り7試合、何か来季に向けてのきっかけをつかんでほしい」
練習はどのように?「雨天中止になった時など、室内(の打撃練習)で、一番速いマシンに設定して打っているのは糸井なんだよ。板山らには言ったんだけど。自分たちでそういう課題に向かって練習していかないとね。人と同じことをしてもダメなんで、課題に合わせて各コーチの人たちと。高代さんという、いろんな経験をされたコーチがおられるんで、コミュニケーションを取っていい方向に進んでいけるようなフェニックス・リーグにしたいと思っている」
継続していく超積極的
ことし矢野監督が掲げた“超積極的”は継続?「もちろん、もちろん。超積極的っていうのは気持ち。ある選手に聞いたら『課題はボール球を振らないようにすること』と言っていたけど、そうじゃない。甘い球を打つんだ、という考え方でないと。全然違うんでね。ボールを振らないってのはネガティブな考え方だから。甘い球を絶対に一発で仕留めてやる!っていうのが積極的。1球目から何でもかんでも打つのが超積極的じゃないわけで、野球には流れがあって動いているんでね。そのへんは選手たちとおいおい。ちょっとした考え方の違いで差が出ることもあるので、あしたから楽しみにしているよという話はした」
「きょう矢野監督とも電話でちょっと話をして、ドラフトもあり新しい選手が入って競争相手も増えるわけだし、今ここに来ている選手たちは悔しい思いをしている選手ばかりだろうから、それを来年に向けて。11月の秋季キャンプで矢野監督にどうアピールしていくかっていうのは、2月の宜野座キャンプの切符がね。今、チケットって言うの?チケットと切符がわからんけどさ(笑)。そういう選考も踏まえて、11月ってのはアピールする場なのでね」
矢野監督と、1軍2軍共通した柱の部分はある?「とりあえず任せると言ってくれているので、我々は1軍の戦力になる選手を作っていくってことが一番の目的なので。1人でも2人でもそういう選手を作って層の厚いチームを作っていかないと。チーム内の競争とチーム力を高めていくこと。逆に5位で終わるより6位でよかったんじゃない?俺が言うのもなんだけど、中途半端になるより、よしやらなきゃっていうね。カネが、前監督が3年間やってきたことを僕らはよく見ていたんでね。それを若い選手たちもわかっているし、恩返ししないといけないと思う」
選手の顔を見るとファイトが湧く
面談は選手1人に何分くらい?「全部で2時間ちょっとなので、1人5~6分じゃない?あっという間だよ」。来る前から面談をしようと?「うん、思っていた。きょうみんなの顔を見て、どや?板山って話をしたり。マメ、小豆畑には5年前の話とかさ(笑)」
それから「選手の顔を見るとファイトが出てくるんだよ。ちょっと抑えなきゃダメだね~。やっぱり選手の顔を見ると、よしコイツらを何とか!っていうね、血が騒ぐよ。なんだろうね。これは。日に焼けた顔を見てさ。久しぶりに会うやん。そうするとやっぱり、コイツらを何とかっていう気になるよ」と平田監督。生き生きした表情は以前のままでした。
1度目、2度目とはまた違う?「新鮮だね、またね。新鮮。原監督は1軍3回目だけど、俺は2軍3回目。ギネスに載せようかと思うよ(笑)。ギネス認定なんてさ」。ひとしきり我々を笑わせてから「もう寝込むくらいまでやりたいよ。やっぱりそうさせるように、選手たちがギラギラしている。話をしていてもね」と、真剣な眼差し。
と思ったら、前回監督時にもいた選手は誰々かとの問いに「マメと荒木。荒木もよくドヤしたけど、いくつになった?って聞いたら『もう30です』って言ってた」と、また我々を笑わせます。初めてしゃべった選手はいますか?「いるよ。呂くんもそう。みんないい子。真面目ないい子」と平田監督。
最後に「楽しみだよ。若返るよ、俺も」という言葉。いえいえ、若返るまでもなく十分お若いです!
平田阪神ファーム、スタートです!
約20分間でしたが、こんなふうに宿舎で座って話を聞いていると初監督時代の4年目だった、2010年10月を思い出します。退任が決まってフェニックス・リーグの途中で帰阪することになり、その最後の日にチーム宿舎のカフェラウンジで茶話会をしていただいたんですよね。この時は普段あまり伺うことがなかった平田監督の思いを、約40分間も聞かせていただきました。それが前回、リーグ優勝した年です。
その後、吉竹監督の2年を経て2013年から再び指揮を執った平田監督。この時は2年間で、2015年は古屋監督、そして2016年と2017年は掛布監督、ことし2018年が矢野監督という変遷で、2019年度は平田監督となります。その前に、きょう23日のフェニックス・リーグが初采配でした。
生目の杜第二球場で行われた韓国・斗山ベアーズとの試合は、平田監督が名前を挙げていた江越選手と高山選手がアベックホームラン!3対3の同点で迎えた9回表に、長坂選手が勝ち越しタイムリーを放って4対3で勝ちました。詳しくは次の記事でご紹介しますので、お待ちください。
<掲載写真は筆者撮影>