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自意識過剰な人はフェイスブックで時間を無駄にする

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:フェイスブック10歳に(日本経済新聞)

フェイスブックに登録したのは2年ほど前だった。仕事や学生時代に少しだけ知り合っただけの人が「もしかして知り合いでは?」とどんどんアップされ、そのうち多くと「友だち」になった。すごい時代だと興奮した。

でも、すぐに危機感と疲労感を覚えて3週間後に休止してしまった。削除はしていないのでアカウントは残っているはずだけど、今のところ再開するつもりはない。

周囲からは再開を強く勧められる。メールを送って2週間後ぐらいに返信が来た友人は、「ごめん。会社以外のメアドはたまにしかチェックしていない。プライベートの連絡の大半はFBなんだ」とのこと。同じくメールの返信が遅くなりがちな若手編集者からは「大宮さんはLINEをやらないんですか? 最近はライターさんとの連絡もLINEです」と切り返されてしまった。SNSをやらないと、友だちも仕事も減ってしまうのだろうか……。

僕がSNSをやらない理由はただ一つ。メッセージの有無や訪問者数、「いいね!」の数を気にして、時間をやたらに無駄にしてしまうからだ。

自意識が過剰な僕は、自分が周囲からどのように評価されているかをいちいち気にしてしまう。例えばこの「ヤフーニュース個人」。ツイートや「おすすめ」、コメント欄だけでなく、筆者だけが見られる詳細かつ見やすいPV分析ページがある。1日のうちに何度も開いてしまう。

ネット連載だけではない。自分のブログへのコメントや訪問者数をまめに確認してしまうし、メールが来ていないかも頻繁にチェックする。こうして原稿を書いている間にも、ちょっと気持ちが逸れるとすぐに「ネットでの人間関係」に逃げてしまう。明らかに集中力が削がれるし、時間を無駄にしていると思う。

今朝の日経新聞によれば、フェイスブックの信念は「情報が多いほど賢明な判断ができる」ことらしい。フェイスブックをそれこそ賢明に使い、感度の優れた知り合いが世界各地から発する情報を収集して意見交換できる人には当てはまる信念だろう。

しかし、他者より自分に関心が向いている僕のような人間には、フェイスブックは向いていない。「自分は他人からどう見られているか」という本来は気にしすぎないほうがいい性向を増大させてしまうのだ。

日経の記事は、「グーグル化する世界へのアンチテーゼとして人間関係こそ社会の基礎単位というザッカーバーグ氏の主張は貴重だ」とフェイスブックを持ち上げている。人間関係が基礎であることに反論はないけれど、「大事である」と「気にし過ぎる」は違うと僕は思う。

携帯電話1つあれば、海外にいる友だちともすぐに連絡が取れる時代だ。人間関係の距離感はかつてないほど近くなり、自分と向き合ってじっくりと一人で考える時間は少なくなっている気がする。SNSで「つながったり」したら、その時間はますます減ってしまう。

ある友人は、フェイスブックでは一切発信せず、情報収集のツールだと割り切っているらしい。もちろん、無意味な自慢画像を頻繁にアップするような「友だち」の情報は見えないように設定してある。それでも暇つぶしをしてしまう恐れがあるので、フェイスブックを見る時間帯を朝と夕方の1日2回に限定しているという。これぐらいの賢明さを持つ自信があれば、フェイスブックを再開してもいいなと思ったりする。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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