2号、スーパー台風の勢力でグアムを直撃か 史上3例目
このところ世界のあちこちで、おかしなことが起きています。東南アジアでは前代未聞の高温が襲い、カナダではかつてないほど多くの山火事が起き、アメリカでは記録的な数の竜巻が発生しました。
そしていま太平洋には、この時期としては珍しいスーパー台風が発生しています。
マーワーの行方
台風2号の国際名はマーワーといいます。インドネシア語でバラを意味します。きれいな花にはとげがあるように、危険な台風です。
気象庁の解析によれば、23日夜時点、2号の最大風速(10分平均)は50メートル、中心気圧は935hPaで、上から2番目に強い「非常に強い」勢力です。
また米軍の解析によれば、最大風速(1分平均)は69メートルで、上から2番目に強い「カテゴリー4」、これは「スーパー台風」の勢力です。
不安が高まるのが、その進路です。気象庁の予想でも、米軍の予想でも、2号はグアムに最接近、もしくはその中心がグアムを通過する可能性も出ています。NOAAのデータによれば、もし2号の中心がグアムを通過すれば、2018年のマリア以降初めてとなります。
さらにカテゴリー4以上の台風がグアムを通過するのは、1976年のパメラ以降初めて、1945年の統計開始以降で3例目です。
21年ぶりの勢力でグアムに影響か
グアムの歴史に残る、3つのスーパー台風があります。1900年の台風、1962年のカレン、そして2002年のポンソナです。これらは島を通過こそしなかったものの最接近して、大きな被害をもたらしていきました。
ポンソナは、その巨大な目がグアム島の真横を通過し、650ミリの大雨を降らせました。強風による飛散物などにより190人以上がケガ、1人が亡くなりました。ただグアムの厳しい建築基準と、人々の台風への意識と備えのおかげで、被害が最小限に抑えられたといわれています。
今グアムに向かっているマーワーは、この台風以来最強、つまり21年ぶりの勢力でグアムに影響する恐れが出ています。
グアムへの最接近は24日昼過ぎと見込まれています。もし直撃となれば、一度は台風の目の中に入って青空が広がるものの、瞬間的には80メートルという、巨大な竜巻が通過するほどの暴風が吹き荒れる可能性があります。車が空中に舞い上がるほどの強風が吹き、壊滅的な被害が出る恐れもあります。
海の熱波
気象庁は、今後、この2号の中心気圧が900hPaまで下がると予想しています。まだ海が温まり切っていないこの時期に、台風がこれほどまで発達することは稀です。
デジタル台風の記録を見てみると、5月のこの時期までに中心気圧が900hPa以下にまで下がった台風は、1971年のエイミーと、2021年のスリガエの2例しかありません。
異様な発達ぶりの背景には、高い海水温があります。フィリピン東部の海水温は約30度と、この時期としては1度ほど高くなっています。
今年4月、世界の平均海水温が観測史上最高を記録したと、NOAAが発表しています。世界的に海が温かく、これがアメリカの記録的な数の竜巻や、世界各地の記録的な高温の背景といわれています。
また先日はインド洋北部のサイクロンとしては観測史上1位タイの強さのモカが発生、ミャンマーやバングラデシュの難民キャンプなどに甚大な被害を出しました。
まもなく北半球は夏に突入するうえ、エルニーニョも近々発生する見込み、加えて太陽活動も活発になっているサイクルにあり、世界の天候への影響が心配されます。
**追記(5/25)**
マーワーは24日夜、グアムの北東を通過しました。上陸こそ免れましたが、最接近時の勢力はカテゴリー4で、2002年にグアムに接近したポンソナ以来の最強台風となりました。グアムで吹いた最大瞬間風速は76~83メートルと推定されますが、風速計が壊れたために正式な記録はないようです。