米・山火事はドライサンダーストームが原因?
日本でも少しずつ映像が入ってきていますが、現在カリフォルニア州では21ヶ所の山火事が発生しており、非常事態宣言が発表されています。
その中で最も規模の大きい山火事が、州北部のレーク郡で起きています。山火事は先月29日(水)に始まりましたが、8月2日(日)までのたった5日の間に、約220平方キロメートルが焼失しました。これは毎日、東京ドーム約940個分の面積が燃えている計算になります。しかし、火の勢いは衰えることなく、3日(水)の朝の時点でまだ10%ほどしか消火できていないようです。
また、これらの山火事を鎮火するため、州全体で9300人もの消防士が活動を行っています。しかし、先月30日、州北部の森林で消火を行っていた38歳の消防士一人が、火災に巻き込まれ死亡するという、痛ましい出来事も起こってしまいました。
では一体、これらカリフォルニアの山火事の原因は何でしょうか。それは、ドライサンダーストームが一因だと言われています。
ドライサンダーストームの恐怖
「雷は雨を伴うもの」、多くの人がそう思っているのではないでしょうか。しかし非常に乾燥した場所では、雨は地面に落ちてくる前に蒸発してしまい、結局雷だけが発生することがあります。これを乾燥(ドライ)した雷雨(サンダーストーム)ということで、「ドライサンダーストーム」と呼びます。
カリフォルニア北部の内陸部では、空気が非常に乾燥しており、日中は湿度が数%台まで下がります。先週から低気圧が通過しているものの、雨が降ることなく、数千もの雷が発生しました。これにより、先週から山火事が一層広がったのです。
一般的には、山火事の原因は人為起源によるものが多いのですが、ことアメリカ西部の山火事に限って言えば、このドライサンダーストームが原因のトップだと言われています。
史上最悪規模の山火事
ところでカリフォルニアは、夏は乾季に当たり、毎年山火事が発生します。したがってこの時期に山火事が発生すること自体は珍しい事ではありません。しかし、今年の夏は、例年とは訳が違うようです。
州の消防局によると、過去5年間の1月から7月までに発生した山火事の平均数は約2500であるのに対し、今年は約3800と、例年より1300も多く火災が発生しています。
なぜ、今年はこれほどひどい山火事となっているのでしょう。それは、長引く干ばつが関係しています。
史上最悪の干ばつ
カリフォルニアでは、2011年からの4年間、少雨が続き、州のほぼ全土で干ばつが起きています。これはこれまで経験したことが無いようなレベルで、過去1200年の中で最も深刻だという研究者もいます。したがって現地では、この干ばつは「メガドラウト(メガ干ばつ)」とまで称されています。
今後の天気
山火事が鎮火するためには、なんとしても大量の雨が必要ですが、気圧配置からすると、少なくとも今後一週間、まとまった雨は予想されていません。さらに言えば、カリフォルニア州北部では、4日(火)もドライサンダーストームの危険性があり、新たな山火事の恐れもあるのです。
カリフォルニアの干ばつは山火事のみならず、すでに農作物の不作を引き起こしており、日本にも影響が広がっています。
ただ一つ朗報を探せば、今年はエルニーニョ(東部太平洋の海水温上昇)が始まっていることです。エルニーニョの年は、カリフォルニアは雨が多くなる傾向があり、実はすでにその兆候が出ています。所々で、春から記録的な大雨が発生しているのです。
また、アメリカ気象局は、今後3ヵ月間は、南部を中心に例年よりも雨が多いと予想しています。それがすなわち劇的な解決にはつながらないでしょうが、少なからず良い影響を与えていくものと期待されます。
※参考リンク※
カリフォルニア山火事の状況 <http://www.fire.ca.gov>
アメリカ天候の今後の見通し <http://www.cpc.ncep.noaa.gov>