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【京都市下京区】日本で一番古い花街・島原に現存する唯一の置屋

くまライター(京都市)

元禄年間(1688〜1704)年に創業し、置屋兼お茶屋として京都・島原で唯一、現在も営業を続ける「輪違屋」。通常は一般非公開ですが、今年(2023年)第48回目を迎えた「京の夏の旅」の文化財特別公開で中を見学することができます。

日本最古の花街・島原で 今も現役の置屋兼お茶屋

「島原」は京都市下京区に位置する日本で一番古い花街。実は正式名称は「西新屋敷」といい、「島原」は正式名称ではありません。
1641年に現在の位置に移転する際の騒動が「島原の乱」のようだったことから「島原」と呼ばれるようになりました。
昭和に入ってからお茶屋組合が解散して住宅街となり、現在は「島原大門」「角屋」「輪違屋」だけが当時の面影を残しています。

「輪違屋」は1688年、太夫や芸妓を抱える置屋として創業。当時の名前は「養花楼」で、明治以降にお茶屋を兼業するようになり、その際に「輪違屋」と名乗るようになりました。
現在の建物は1857年に再建されたもので、1871年(明治4年)にほぼ現在の姿となりました。1984年(昭和59年)に京都市指定有形文化財(建造物)に指定されています。

島原は明治になると寂れ始め、昭和に入るとお茶屋や芸妓の数が減り、戦後にお茶屋組合が解散してしまいます。以降は通常の住宅地となってしまうのですが、驚くべきことに輪違屋は現在も太夫を抱え、営業を続けています。
普段は表に「観覧謝絶」の札がありますが、これはいかにも京都らしい「一見さんお断り」というやつです。

建物内にはあちこちに輪違屋のトレードマークである「2つの重なる輪」と当主が高橋さんであることから「高」の文字が見られます。デザイン的にもとても可愛らしく、探すのも楽しい。歴史の重みも感じます。

道中傘を張り込んだ襖が印象的な、輪違屋を象徴する「傘の間」も見学できますが、残念ながら写真はNGでした。

芸妓・太夫とは
「芸妓(げいこ、げいぎ)」とは、歌や三味線、踊りなどで宴席に興を添えることを生業とする女性のこと。「太夫」はその最高位。

置屋とは
芸妓や太夫を抱え、求めに応じて茶屋や料亭などに差し向けることを生業とする店。

お茶屋とは
花街で、芸妓を呼んで客に飲食をさせる店。

「第48回 京の夏の旅」で特別公開中

京都では、夏になると通常は非公開の文化財を公開する「京の夏の旅」が開催されます。第48回となる今回は、新選組が結成から160年となるのを記念して「新選組結成160年 & 世界遺産」として文化財特別公開を行っています。

輪違屋も、新選組も足繁く通った島原に現存する唯一の置屋として「京の夏の旅」としては5年ぶりに内部を公開。「傘の間」や「紅葉の間」、新選組局長の近藤勇の書を屏風に仕立てた「近藤勇墨跡屏風」、桂小五郎(木戸孝允)が書いた掛け軸などを見学できます。

吉野太夫の掛軸
吉野太夫の掛軸

近藤勇墨跡屏風
近藤勇墨跡屏風

現在も現役であることを象徴する主の間の畳。蝋燭のロウが垂れた跡だそうです。
現在も現役であることを象徴する主の間の畳。蝋燭のロウが垂れた跡だそうです。

「第48回 京の夏の旅」は2023年9月30日(土)まで開催。輪違屋の公開は9月24日(日)までです。

輪違屋
住所/京都市下京区西新屋敷中之町114
電話/075-351-0261

ライター(京都市)

大阪生まれの大阪育ち、京都在住のライター・DTPデザイナー・イラストレーターです。京都の情報誌を経てフリーランスになりました。よろしゅうおたのもうします。

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