【緊急調査:能登半島豪雨災害】珠洲市・輪島市で線状降水帯による1000年規模超の被害!
能登半島地震で大きなダメージを受けたところに、今度は大雨が襲いました。
21日には能登半島に線状降水帯が発生し、石川県に大雨特別警報が発表。大雨による被害は甚大であり、輪島市と珠洲市では合わせて12の河川が氾濫したと国土交通省が発表しています。
氾濫した河川数が多いと感じハザードマップで調査すると、1000年に一度の大雨被害を超える、想定外な事態が起きていました。
そこで今回は、その調査結果をお伝えします。
洪水ハザードマップは1000年に一度の「想定最大規模」で作成されている
現在の洪水ハザードマップは、2015年の水防法の改定によって「想定最大規模」で作成されています。これは、1000年に1回程度発生する周期的な降雨ではなく、1年の間に発生する確率が 1/1000(0.1%)以下の降雨です。
これによって、これまでの10~100年に一度の浸水想定は「計画規模」とされ、洪水ハザードマップに採用しない自治体も増えています。
基本的に洪水ハザードマップでは1000年に一度の「最大想定規模」を採用しており「計画規模」と併用している自治体もあります。
珠洲市では7河川が氾濫!浸水が想定されていたのは1河川のみ
珠洲市では21日時点で7河川が氾濫していますが、浸水が想定される洪水ハザードマップが作成されていたのは、上記の「若山川」の1河川のみです。
そこで、珠洲市内における氾濫した河川の位置を調査してみました。
▼21日時点で氾濫した7河川
- 若山川⇒ハザードマップあり
- 折戸川⇒ハザードマップなし
- 紀の川⇒ハザードマップなし
- 鵜飼川⇒ハザードマップなし
- 岡田川⇒ハザードマップなし
- 磐若川⇒ハザードマップなし
- 竹中川⇒ハザードマップなし
珠洲市全体の氾濫河川状況
これは珠洲市内で氾濫した、7河川の場所を特定した地図です。珠洲市では若山川のハザードマップは作成され、氾濫した際の浸水想定が分かります。
しかし、そのほかの6河川は氾濫の危険性がないと判断され、ハザードマップは作成されていません。
ハザードマップの浸水想定区域は、複雑な工程を経て作成されます。その中の条件の1つに、それぞれの地域において過去に観測された、最大の降雨量も考慮されています。
つまり、今回は1000年に一度の想定を上回る大雨が降ったことが原因で、想定外の浸水被害になったといえるでしょう。
前述した各河川地域の拡大マップは、以下のとおりです。
折戸川地域拡大マップ
岡田川地域拡大マップ
紀の川地域拡大マップ
鵜飼・磐若・竹中川拡大マップ
輪島市では氾濫した5河川の内、3河川は氾濫しないと想定!
国土交通省が21日に発表した、輪島市にて氾濫した河川は5河川。その内、洪水ハザードマップが作成されていたのは2河川で、残りの3河川は氾濫しないとされていました。
洪水ハザードマップが作成されていた町野川では、幸いにも氾濫に至っていません。
▼21日時点で氾濫した5河川
仁行川は地図上でも拡大しないと表示されない「比較的小さな河川」であり、地図から氾濫した各河川の位置を確認すると、特定の地域に強い雨が降り続いていたことが分かります。
輪島市内の氾濫した河川の位置図と浸水状況|その1
鳳至川は河原田川に合流する河川で、合流する地域には浸水被害が予想されています。しかし、浸水被害の原因は河原田川の氾濫によるもので、鳳至川のハザードマップは未作成です。
塚田川地域拡大マップ
上記の塚田川は川幅が約5~7mほどの河川ですが、氾濫したことで住宅2棟と車1台流され、中学3年生の女子生徒ら新たに4人が行方不明となっています。
輪島市内の氾濫した河川の位置図と浸水状況|その2
輪島市西部に位置する八ヶ川も今回氾濫しており、洪水ハザードマップにて浸水が想定されています。
しかし、海に直接流れ込まない仁行川は、能越自動車道「のと三井IC」の北にある山間部の小さな川です。
そのため、仁行川の氾濫による洪水ハザードマップは作成されていません。
仁行川地域拡大マップ
このように仁行川は、地図で見ると山間部に流れるどこにでも存在する川です。
この川が氾濫した理由は、この地域に局地的な大雨が降ったからに他なりません。
tenki.jpの雨雲レーダーで、21日の線状降水帯が分かる
これは、tenki.jpが報じている21日10時時点での雨雲レーダーの実況画面で、線状降水帯が発生している状況です。
分かりやすいように能登半島地方を拡大していますが、輪島市や珠洲市に80mm以上の雨雲がかかっているのが分かります。
この後12時に気象庁が、石川県に大雨特別警報発表を発表しました。
新たな防災課題!全国どこで予想外の自然現象が起きても不思議ではない
地震と津波で大きな被害を受けた能登半島に、今度は大雨による浸水被害や土砂災害が起きています。
大雨になった原因は線状降水帯であり、この現象はいつどこで起きてもおかしくありません。また、地震による地盤の緩みや災害個所が復旧していないことも、最悪の条件を作り出した要因とされています。
台風や大雨は地震と違い、予想できるため対策を講じやすいとされてきました。しかし、今回のように、1000年に一度の想定さえも超える大雨に見舞われると、どうすることもできませんね。
国が公開しているハザードマップにさえ、氾濫した9河川は想定されていなかったのですから・・安全な地域と予測されていたのに、突然浸水被害に襲われているのが現実です。
特に洪水ハザードマップ策定に不備があった訳ではなく、これまでの経験や予測では対応しきれない時代になったことが、重大な要因といえるでしょう。
そのため、個々による備蓄や逃げ場所の確保は、既に全国どの地域でも必要になりました。
さらに、毎年のように自然災害による大きな被害が出ている現状を踏まえると、被害家庭への助成金を含め、災害対応に多くの予算を計上する必要があると、個人的には思っています。
自然災害でこれ以上、能登の人々が苦しまないことを祈るばかりです!