4年ぶりの超大型台風23号 温帯低気圧に変わりつつ今夜北海道に最接近へ
超大型の台風は4年ぶりの発生
台風23号は発生時から巨大な強風域を持つ異質な台風として生まれましたが、昨夜(7日)21時の解析から強風域の直径がそれまでの1500キロから1850キロに広がり、超大型の台風(最も大きいクラス)となりました。
超大型の台風は、2011年7月に発生した台風6号以来、4年ぶりとなります。
気象衛星ひまわり8号の雲の様子をみると、台風中心の北側には大きく雲が広がっている一方で、台風の南~東側には雲のない領域がぐるっと巻き込んでいるのが分かります。
これは台風の西側にある上空の寒気(乾燥域)を台風が南側から巻き込んでいることを表しており、台風が温帯低気圧に変わりつつあること物語っています。
ですから、この台風は純粋に台風として超大型になったというよりは、温帯低気圧に変わる過程で強風域が広がったということになるでしょう。
一般に、台風よりも発達した温帯低気圧の方が広い強風域を持つことが多々あります。
台風の統計がある1977年以降、今回の台風で超大型の台風は43個目の発生となりますが、その多くは海水温の高い日本のずっと南海上で最も大きな強風域を持つ台風に発達しています。
しかし、なかには北上したあと、上空の寒気とぶつかり合って、温帯低気圧に変わる直前で超大型になることもあります。
その頻度はおおむね1割~2割程度といったところで、今回の台風23号もこの比較的珍しいパターンに含まれることになるでしょう。
台風23号は今夜までには温帯低気圧に変わり、北海道に接近へ
上記のように今回の台風23号はすでに上空の寒気とぶつかり合うことで温低化が進んでおり、気象庁の発表では今夜までには温帯低気圧に変わり、北海道の東部に最も接近する見込みです。
ただ、温帯低気圧に変わったとしても全く油断は出来ません。
通常、台風は一旦勢力が弱まってから再び温帯低気圧として発達することが多いものですが、今回の台風23号は台風として最盛期を迎えながら温帯低気圧に変わってきていますので、仮に温帯低気圧に変わったとしても、その危険度は全く変わりません。
特に北海道に近付くまでは速度が速いものの、遠ざかる段階ではスピードダウンするため、北海道は今夜を中心に、あすにかけて、大荒れの天気が続くでしょう。
北海道は外出が危険なほどの猛烈な風や猛烈な高波、大雨などに厳重な警戒が必要です。更に、今夜にかけて非常に心配されるのが、根室地方の顕著な高潮です。
根室地方は昨年12月17日の顕著な高潮に匹敵も
上図のように昨年12月17日、記録的な爆弾低気圧が北海道東部を通過し、これにより北海道の東部、根室湾で顕著な高潮が発生し、大きな浸水被害などが発生しました。
下図は、今夜午後9時の予想天気図です。昨年ほどではありませんが、台風23号から変わった低気圧が北海道の東部に最接近し、2つの天気図は非常によく似ていることが分かります。
高潮は低気圧や台風による海面の吸い上げ効果(1hPa低下で1センチ上昇)と風による吹き寄せ効果、これに満潮の時間やその海岸付近の地形などによって発生しますが、今夜、根室湾では根室南部で最高潮位、標高2.0メートルが予想されています。
これは昨年12月17日に発生した高潮と同等レベルです。
根室地方ではすでに高潮警報基準を上回る潮位が観測されています。
根室地方の潮位は今後更に上昇する見込みです。浸水被害が広がるおそれがありますので、厳重な警戒をお願いします。