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井上尚弥のスパーリングパートナーをつとめたレイマート・ガバリョがWBCバンタム級暫定王座獲得

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo; Amanda Westcott/SHOWTIME

 現地時間19日に、コネチカット州モヒガンサン・アリーナで行われたWBCバンタム級暫定王座決定戦は、レイマート・ガバリョが2-1(116-112、115-113、110-118)の判定でエマニュエル・ロドリゲスを下し、勝者となった。

 今日、バンタム級と聞けば世界中のボクシングファンが思い浮かべるのが井上尚弥だ。今回のWBCバンタム級暫定王座決定戦は、かつて井上のスパーリングとして来日したフィリピン人と、2019年5月18日に井上にKO負けしたプエルトリカンの戦いでもあった。

Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME
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 ガバリョはひたすら前進し、手を出す。ロドリゲスはそれを躱し、捌くスタイル。決定打の無いままラウンドが続く。

 フィリピン人ファイターがバランスを崩すシーンも2度あったが、深いダメージを負った訳ではなく、体勢を整えたガバリョは手数で圧倒した。

Photo;Amanda Westcott/SHOWTIME
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 クリーンヒットにはいたらないが、ガバリョはロドリゲスの放ったパンチ数を148も上回った。当たらないまでも攻めようとする姿勢を買われ、ポイントを稼ぐ。

Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME
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 ロドリゲスは、1年7カ月前に井上にKOされた悪夢が蘇るのか、深追いはせずにディフェンシブな戦いに終始した。

 明暗を分けたのは<リングジェネラルシップ>である。

Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 同ファイトを中継したSHOWTIMEは放送中から「疑惑の判定」と唱えている。

 SHOWTIME独自の採点では118-110でロドリゲスの勝ちとし、同局のコメンテイターを務める元IBFスーパーウエルター級王者、ラウル・マルケスは「最悪の結果だ。ガバリョの勝利はあり得ない。私の目には、彼が優勢のラウンドなどない。3ポイントはロドリゲスがリードしていた筈」とコメントした。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 自身の戦績を24戦全勝20KOとしたガバリョは、「ベルトを巻き、この上ない幸せを感じます。常に動いて自分がペースを握りました。接戦をモノに出来ましたね。次の試合に向け、万全の準備をしていきます」と語った。

 19(12KO)2敗となったロドリゲスは、納得いかないといった表情で「いい試合だったと思う。でも俺が失ったのは2~3ラウンドだ。俺の勝利は間違いなかった。ヤツが勝つには、最終ラウンドで俺をノックアウトするしか無いと感じていたのに」と話した。

 判定を巡って、論争が湧き起こっている以上、再戦が濃厚だ。しかし、パーネル・ウィティカーvs.オスカー・デラホーヤ戦を記者席から見詰めた身としては、それほど違和感を覚える結果でもなかった。

 やはり、この階級の主役は井上尚弥だということだけを印象付けるファイトであった。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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