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1300試合以上に出場しながら「ポストシーズンと無縁」だったベテランが、ようやくたどり着いた舞台で…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジーン・セグーラ(フィラデルフィア・フィリーズ)Oct 7, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨オフ、選手生活にピリオドを打ったカイル・シーガーは、11シーズンにわたってメジャーリーグでプレーし、ポストシーズンに出場することはできなかった。メジャーデビューの前も含め、シーガーが在籍したのはシアトル・マリナーズだけだ。マリナーズは、2002年から2021年まで、20年続けてポストシーズンに進めなかった。シーガーの通算出場1480試合は、昨シーズンを終えた時点では、ポストシーズンに出場していない現役選手の最多だった。

 シーガーの引退により、「ポストシーズンに最も縁がない現役選手」の称号は、今シーズンがメジャーリーグ11年目のジーン・セグーラ(フィラデルフィア・フィリーズ)に受け継がれた。

 2012年にデビューしたセグーラは、ロサンゼルス・エンジェルス、ミルウォーキー・ブルワーズ、アリゾナ・ダイヤモンドバックス、マリナーズ、フィリーズでプレーしてきた。マリナーズ時代の2017~18年は、三塁手のシーガーと三遊間コンビを形成した。昨シーズンまでの通算出場は1230試合。今シーズンの98試合を含め、レギュラーシーズンの1328試合を経て、この秋、ようやくポストシーズンにたどり着いた。

 フィリーズは、ワイルドカードの3番手に位置した。昨年までのように、ワイルドカードが1リーグにつき2チームであれば、セグーラのストリークは、さらに続いていたかもしれない。

 ワイルドカード・シリーズの第1戦に、セグーラは「7番・二塁」として出場した。3打席続けて討ち取られた後、9回表、一死満塁の場面でヒットを打ち(上の写真)、2者を生還させた。セグーラの2打点により、スコアは1対2から3対2に。フィリーズは、6対3で勝利を収めた。

 セグーラが打ったのは、外角低目のボール球だ。打球は右方向へ転がり、最初の2打席と同じく、二塁ゴロになってもおかしくなかった。だが、ボールはダイブした二塁手のグラブを弾き、ライトへ転がった。打席から走り出したセグーラは、一塁までの中間地点で打球の行方を見定め、走りながら両腕を広げてジャンプした。

 セグーラ(や他の選手)がポストシーズン初出場を果たしたことで、今シーズン、メジャーリーグでプレーした選手のうち、ポストシーズンの試合に出場したことがなく、通算出場が最も多いのは、マイケル・フランコとなった。8月下旬にワシントン・ナショナルズから解雇されるまでに、フランコは通算923試合に出場している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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