小野伸二は意外と体育会系? 元チームメートの河合竜二が語る「天才」の素顔
昨年をもって現役を引退したコンサドーレの河合竜二氏へのインタビュー連載コラム。最終回となる今回は、河合氏と10代からの付き合いとなる旧友、小野伸二について話を伺った(取材日:2019年3月9日)。
小野伸二の知られざるエピソード
アシシ:2014年に小野伸二選手がコンサドーレに加入しましたが、彼がコンサドーレを選んだのは河合さんの存在が大きかったと何かの記事で読みました。
河合:伸二がそう言ってくれているのは嬉しいですけど、札幌を選んだのには色んな要素があったと思いますよ。
アシシ:移籍する前に相談とかは受けたんですか?
河合:札幌のフロントがオファーを出した後に、伸二から電話がありました。僕はコンサドーレの現状を説明して、自分もまた一緒にプレーしたいけど、あとは伸二が決めなと伝えました。
アシシ:小野選手とはレッズ在籍時代からの仲ですか?
河合:そうです。僕が年齢でいうとひとつ上で、僕がプロ2年目の時に伸二が高校を卒業してレッズに入団してきました。だからもう20年以上の付き合いですね。
アシシ:入団当時から年齢が近かったから親しくなったと。
河合:そうですね。自分の誕生日にいつも連絡をくれるんですよ。海外にいる時も。
アシシ:すごくまめな性格なんですね。小野選手は河合さんのことを「兄貴」と呼んで慕ってますよね。
河合:サッカー選手の格としては桁違いなのに、伸二はやたらと先輩を立ててくれます。自分なんてレッズ時代、公式戦に出場するまで3年かかったのに、伸二は1年目からいきなりレギュラー取って18歳でワールドカップにも出場して。
アシシ:先輩と後輩の上下関係を重んじる性格なんでしょうか。
河合:僕も当初、伸二が鳴り物入りでレッズに加入してくる時、天狗になって入ってくるのかなと思ってたんですけど、実はすごく礼儀正しい奴で驚きました。伸二がプロ1年目の年、シーズン前の合宿で土田尚史さんというGKと同部屋だったんです。GKは練習終わるのがフィールドプレーヤーより遅いんですけど、伸二は先に部屋に帰ってもシャワー浴びずに待っていて、土田さんが帰ってきたら「どうぞお先に」と言ってシャワーを先に浴びるのを譲っていたそうです。
アシシ:天才肌の選手って性格も自由奔放なのかと思いきや、先輩を敬うタイプなんですね。
河合:逆に僕は若い頃、そういう気遣いの部分が全然できていなかったので、伸二から教わるところがたくさんありました。
「チームを締める役割」を引き継いだ選手
アシシ:そういう意味では河合さんも「ザ・体育会系」のキャラですよね。コンサドーレではベテラン選手として、アカデミー上がりの若手を時には叱る立場にあったと思います。
河合:そうですね。若い選手には結構怖がられてたと思います(笑)。
アシシ:1月24日にコンサドーレの公式ツイッターで河合さんの現役引退が発表された時、札幌ユース育ちで今は札幌を離れた堀米悠斗や神田夢実らが河合さんに感謝のツイートをしていました。
河合:そうなんですね。自分自身、ツイッターをやってないので、そういうコメントがあったのは知りませんでした。
アシシ:ゴメス(※堀米のニックネーム)なんて「今の僕があるのは竜二さんがいたから」とまで書いてましたよ。
河合:選手冥利に尽きますね。
アシシ:コンサドーレでの河合さんはチームがうまくいかない時、たるんでいる時に、チーム全体を締める役割を担ってきたと思います。サポーターとしては、河合さんが現役を引退した後に「チームを締める役割」を誰が担っていくのか不安ではあります。
河合:そうですね。僕もそこは不安です。
アシシ:その役目を誰かに引き継いだりはしたんですか? 例えばキャプテンの宮澤裕樹選手とか。
河合:裕樹はタイプが違うので、その部分は求めてませんね。やはりそこは伸二に期待したいです。僕がチームを去る時に、こういう役目もあるんだよというのは伝えてきました。チームの調子が落ち込んだ時に、最年長の選手として伸二にはチームを支えてほしいと思ってます。
フロントスタッフとしてやりたいこと
アシシ:では最後になりますが、今後のことについて聞かせてください。この春、コンサドーレのフロントスタッフとして、新たなセカンドキャリアをスタートしたわけですが、河合さんの今後の抱負を聞かせてください。
河合:自分の役割としては、元選手という立場を活用して、もっともっとコンサドーレをPRするために、全道をたくさん回りたいです。
アシシ:札幌近郊だけでなく、全道各地を回ると。
河合:極端ですが例えば礼文島。あまりコンサドーレと関わりがなさそうじゃないですか。でも北海道一丸と言っているんだから、そういう離島にも是非足を運びたいなと。
アシシ:それは営業に行くということですか?
河合:それだけに限らず、例えばコンサドーレのトレーニングウェアを着て、地元の子供相手にサッカー教室を開いたり、夜には地元の人と飲んで交流したり、何でもやりたいです。全道民にコンサドーレを身近に感じてもらえればいいなと。
アシシ:そうやってひとりでもコンサドーレ・ファミリーを増やしていきたいと。
河合:元選手がクラブについて熱く語れば、絶対に響くと思うんですよね。現役時代同様、フロントスタッフとしても何事にも全力で取り組んでいこうと思ってます。