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13連敗より心配なのは、トラウトの怪我。ホームランと二塁打で不振脱出の直後に…

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、M.トラウト、M.フロスタッド、P.ネビン Jun 7, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月7日、ロサンゼルス・エンジェルスは、5対6でボストン・レッドソックスに敗れた。5月25日からの連敗は13となり、1988~89年に記録した球団最長に並んだ。この日、エンジェルスはジョー・マッドン監督を解雇し、三塁コーチだったフィル・ネビンを監督代行として試合に臨んだが、数日前に同じことをしたフィラデルフィア・フィリーズのようにはいかなかった。

 6月3日に監督を解雇したフィリーズは、エンジェルスに3連勝したのに続き、オフを挟んで7日にミルウォーキー・ブルワーズを下した。1点ビハインドで9回表を迎えたが、史上最長に並ぶ40登板連続無失点を継続中のジョシュ・ヘイダーから、2本のホームランを打ち、逆転勝利を収めた。6月1日から数えて5連勝中だ。

 13連敗とはいえ、まだ、エンジェルスの借金は3に過ぎない。レギュラーシーズンは、3分の1が終わったところだ。あと105試合も残っている。

 ただ、懸念されるのは、マイク・トラウトの怪我だ。

 トラウトは、前日の試合でキャリア・ワーストの26打数連続ノーヒットに終止符を打ち、この日は、1打席目に先制の2ラン本塁打、2打席には二塁打を打った。ところが、次打者のジャレッド・ウォルシュがセンター・フライに倒れた直後、トラウトのところへ、監督代行のネビンとトレーナーのマイク・フロスタッドが駆けていった。そして、トラウトはジョー・アデルと交代し、歩いてダグアウトへ下がった。エンジェルスの発表によると、左股関節の張りだという。

 昨シーズン、トラウトは、5月半ばに右のふくらはぎを痛め、そのまま復帰することなくオフを迎えた。今回の怪我は違う箇所だが、故障者リスト入りとなれば、エンジェルスにとっては、あまりにも大きな痛手だ。

 現在、エンジェルスでは、3人の野手、アンソニー・レンドーンテイラー・ウォードデビッド・フレッチャーが故障者リストに入っている。それぞれの故障箇所は、右手首、右太腿裏、腰だ。いずれも、復帰目前というわけではない。スラップ・ヒッターのフレッチャーはともかく、レンドーンとウォードに続き、トラウトもいなくなると、ラインナップに右のスラッガーは不在という事態に陥る。ウォードの故障者リスト入りに伴い、6月5日に再昇格したジョー・アデルは、ポテンシャルこそ高いものの、ブレイクには至っていない。

 ちなみに、昨シーズンは57試合を終えた時点で、26勝31敗だった。今シーズンは、それよりも1勝多い――1敗少ない――だけだ。

 フィリーズの監督交代、ヘイダーの40登板連続無失点、エンジェルスの連敗記録、トラウトの不振、エンジェルスの監督交代については、それぞれ、こちらで書いた。

「低迷チームが「監督を解雇」後に○○○。この劇薬はエンジェルスにも効く!?」

「この投手が史上最長の「40登板連続無失点」に並んだその日、並ばれた投手は別の理由で怒り心頭」

「エンジェルスが球団史上9度目の10連敗。最も長い連敗まで、あといくつ!?」

「トラウトの連続無安打が26打数で止まる。さらに長かったMVP3度の選手は…。エンジェルスは12連敗」

「エンジェルスがマッドン監督を解雇する。代行は30年前のドラフト全体1位」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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