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マイアミ・オープン:錦織、手首の痛みで本来の力発揮できず。重なる上位勢のケガと敗退は偶然か…?

内田暁フリーランスライター
(写真:Splash/アフロ)

●錦織圭 4-6, 2-6 F・フォニーニ○

優勝を目指した錦織のマイアミ・オープンの戦いは、準々決勝で幕を引くことになりました。

初戦(1回戦免除の2回戦)ではビッグサーバーの難敵ケビン・アンダーソンに快勝し、その後は3回戦のベルダスコと4回戦のデルボニス戦でいずれもフルセットにもつれ込むも、最後は地力の差を示すように突き放してきた錦織。勝負強さを発揮しながらの勝ち上がりは、厳しさを増す終盤戦を勝ちぬくうえで、むしろ好材料かと思われました。

しかし準々決勝での彼は、明らかに本来のプレーではありません。前日まで120マイル(約193km)以上を計測したサービスは110マイル(約177km)前後しかスピードが上がらず、セカンドサービスはさらに威力が落ちています。またフォアハンドはカウンターが主体で、自らスピンを掛けて強打する場面はほとんどなし。

彼を苦しめていた要因は、前日の試合中に治療を受けていた膝ではなく、右手首でした。

「そこまで大ごとではなかったので、試合をやってみて判断する形にしました。それほど悪化しなかったので最後までやりましたが、なかなかサービスとフォアが打てなかったので、この相手に勝つのは難しかったです」

試合後に彼は、落胆を隠せぬ声色で打ち明けます。痛みが出たのは、4回戦。手首は過去にも幾度か痛みを訴えてきた個所であり、今回も「いつもと同じ」であることを認めました。

今回のマイアミは、世界1と2位のA・マリー及びN・ジョコビッチがいずれも肘の故障で欠場し、5位のM・ラオニッチもエントリーはしたものの、慢性的に抱えている太股の痛みが引かずに試合直前に棄権を発表しました。3位のS・ワウリンカも全豪以降膝に痛みがあったことを明かすなど、錦織を含めトップ5全員が、どこかしらに痛みを抱えているのが今の男子テニスの現状。もっとも錦織は、「今年はここまで身体の痛みも無かった。急に(手首の痛みが)出てきたので正直びっくりはしています」と言いますが、11位のG・モンフィスや22位のR・ガスケも含め、これだけの上位選手のケガおよび欠場が重なったのは偶然ではないでしょう。

第1シードのワウリンカは、昨日(3月28日)、誕生日の一戦で新鋭A・ズベレフに破れ姿を消しました。

今季ここまで行われたATPツアー20大会のうち、第1シードが優勝したのはドバイのマリーのみという状況は、依然、継続しています。

※テニス専門誌『スマッシュ』のfacebookより転載。

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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