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パソコンは6年連続の前年割れ、ついに10年前の水準に

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
2010年10月20日 Steve Jobsが当時の最新OSとノートPCを発表(写真:ロイター/アフロ)

 米国の市場調査会社ガートナーの市場レポートによると、昨年(2017年)1年間に、世界で出荷されたパソコンの台数は、2億6300万台となり、前年実績から2.8%減少した。

出荷台数の落ち込みが止まらない

 パソコンの世界出荷台数は、2011年まで右肩上がりで伸び続けた。しかし、この年の3億6500万台をピークに減少に転じ、昨年で6年連続の前年割れとなった。

 昨年の出荷台数を、2011年のそれと比較すると、実に約30%減少しているという状況だ。

 こうしたガートナーの統計データをドイツの調査会社スタティスタがインフォグラフィクス(図1)で表現しているが、これを見ると興味深い。

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 昨年の出荷台数である2億6300万台とは、つまり、2007年の出荷台数と同水準であることを意味する。

 2007年と言えば、米アップルが「iPhone」の初代機を市場投入した年。iPhoneはその後、販売台数を伸ばし、年間(2016年10月〜2017年9月)、2億1700万台を販売するまでに成長した。

 また、iPhoneを含むスマートフォンの年間販売台数は、15億台に達しており、パソコンのほぼ6倍。

 「これまでパソコンで行われてきたことは、スマートフォンで代替されるようになっている。パソコン市場の落ち込みの背景に、スマートフォンの普及があることは、間違いない」と、スタティスタは指摘している。

アジア太平洋や日本は好調も、米国は減少

 ただし、ガートナーによると、パソコン市場には、いくらか明るい兆しがあるという。

 例えば、昨年10〜12月期の地域別データを見ると、アジア太平洋地域(日本を除く)、日本、中南米は、いずれも出荷台数が増加している。また、EMEA地域(欧州、中東、アフリカ)では、減少が小幅にとどまった。

 一方で、米国市場は前年同期比8%減と、大きく落ち込んだ。

 ガートナーの北川美佳子主席アナリストによると、米国における昨年10〜12月の消費者マインドは、上向きだった。しかし、その影響はパソコンには及ばなかった。

 年末商戦では、AI(人工知能)スピーカーや、スマートフォンの最新モデルなどが、注目を集めたという。

上位メーカーへの集約進む

 昨年1年間におけるパソコンメーカー各社の出荷台数シェアは、1位から米HP、中国レノボ・グループ(聯想集団)、米デル、米アップル、台湾エイスース(華碩電脳)、台湾エイサー(宏碁)の順。

 具体的な数値は、HPとレノボが、それぞれ約21%、デルが15.2%、アップルが7.4%、エイスースが6.8%、エイサーが6.5%。

 このうち、HP、デル、アップルの米3社は1年前から伸びたが、それ以外の中国・台湾3社は、いずれも減少した。

 ガートナーによると、パソコン市場は、上位メーカーへの集約が進んでいる。例えば、2011年時点で、上位4社の合計シェアは45%だった。これが昨年は64%に拡大した。

(このコラムは「JBpress」2018年1月19日号に掲載した記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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