なぜ?現在の回転すしのメニューでは、右脳の食欲を刺激されないのか?
KNNポール神田です。
テレビのCMを見ていて、『極上とろフェア』の『ふり塩熟成中とろ115円』に惹かれて『くら寿司』に久しぶりに行ってみた…。
メニューを『タブレット』で選ぶのも慣れてはきたが、『スマートフォン』からもオーダーができるようになったので、家族で『タブレット』ではなく、個別に好き勝手に自分の『スマートフォン』から個別注文ができた。
テーブルナンバーで会計されるので、個別オーダーでありながら、一括精算ができるのだ。このあたりの進化はすごいと感じる今日この頃。
■タブレットよりは使いやすい…しかし何かが足りない…スマホオーダー
スマートフォンでのメニューは、タブレットよりも小さく表示される。
そこに、多種多様なメニューを詰め込むのはいつくものジャンル別の『タブ』画面が必要であり、さらにその中で『次へ』が繰り返される。
どうも、『食欲』と『カテゴリー』の中から注文するという行為は脳内ではまったく逆のことをしているようで、カテゴリーの中からしっかりと欲しいものを選ぼうとすればするほど、『食欲』が遠のいていくのだ…。
『くら寿司』では、かろうじて、まだお寿司が『回転』しているので、回転している『現物』を見ながら、欲した『食欲』をスマートフォンのカテゴリーから選択し、目当ての寿司を選ぶ頃には、他の寿司をオーダーしてしまったりしている。
どうやら、インタフェースが『食欲』に直感的ではなく、『ジャンルカテゴリー』のタブから選び、『次ページ』という遷移のため、脳内では、『左脳』ががんばり、食欲を司るとされる『右脳』が抑制されているような気がしてならないのだ。
どうしても、スマートフォンのメニューの中で、『食欲』を刺激するのは難しい。
同業種の『はま寿司』でも同様のメニューだ。
■食欲を刺激するDXはどうするべきか?
そこで、スマートフォンを手にしながら、『右脳』の『食欲』を刺激するUXやUIを考えると、まずは、すべてのメニューを網羅する総合メニューとは違う、『AIおすすめメニュー』のような提案をできればと考えてみた。
まずは、最初は『広告』などで一押ししているメニューを一通り食べてもらい、そこからは、一旦、そのメニューは『半透明』にしてもう注文したので表示をしないようにする。もしくは表示しない。
満足度を3段階評価にしてもよい。すると、顧客の満足度は上がる。
そして、次の段階は、よく頼まれるメニューを縦長動画、(※店内WiFiは必須である)で全面に『TikTok風』に表示させる。気に入らなければ、次へとスワイプすると次のメニューなどが全面に表示されるようにする。
『回転すし』は回転しないが、スマートフォンのメニューの中は『回転』させることができる。
さらに、『くら寿司』などでは、お皿5枚ごとに『びっくらポン』という景品が当たるインセンティブがある。子供などは大好きだ。ついつい射幸心も煽られ、5枚単位のオーダーになることもある。
これに個別オーダーの場合は年齢・性別・職業・家族構成がわかり、簡単な外食頻度や他の飲食の利活用などのアンケートに答えると、『びっくらポン』の当選確率を上げるなどはかなり効果的なアンケートが集約できるだろう。よく利用する競合店などは、エリアごとの出店でFC募集する歳にも有力なデータとなるだろう。
■右脳を刺激するUX・UIが必要なフェイズへ
『DX化』が強く叫ばれるが、いくら『メニュー』をデジタル化しても、人件費の削減にはなれど、売上にはつながっていない気がする。
『はま寿司』などでは、横長ディスプレイを設置し、『回転メニュー』などを施しているのがその証拠と言えよう。タブレット端末でのメニュー画面よりも『右脳』を刺激し、『食欲』に直結しているからだろう。
ファミリーレストランのラミネートされたメニューが大型なのも、小さなメニューよりも、インパクトがあり右脳を刺激できるからだ。
スマートフォンで個別でオーダーができるようになったので、縦長動画で寿司のメニューが選べるようなUXやUIをぜひ採用してもらいたいと感じた。
単なるメニューが小さくなった、『スマホ化』だけの『DX』では、食欲をまったく刺激されないからだ。
しかし、せっかく家族で回転すしに食べにきても、各自が自分のスマホでオーダーしながらの食事という光景も想像すればするほどさびしい食卓の図になりそうだ。
基本的に食事の時くらいは、『スマートフォン』をふせとおくといういうくらいのマナー教育が必要だ。
すると、やはり、巨大なタッチディスプレイをテーブルに仕込むというような大胆な技が必要かもしれない。電子機器のコストはさらに安価になるので、むしろ、テーブルで回転すしが回っているのが一番理想のDXなのかもしれない。
もはや『回転すし』では、丼、麺類も対応してきているので、『寿司』にかかわらず、個別対応できるバラエティな飲食店という『カテゴリー』で考えたほうがよいのかもしれない。
そのうち『広告』 も家族構成にあわせてまわってきて、寿司屋でスマホのプラン変更や保険やクレジットカード作成なんてインセンティブがついてくるのかもしれない。AIで家族のそれぞれの『煩悩』を満たすという水平思考で考えるとまだまだ『回転すし』はブレイクする商材が潜んでいそうだ。