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【野党再編】迷走続く国民民主党 立憲の軍門に下ってしまうのか

安積明子政治ジャーナリスト
10周年パーティーで支持者と握手する玉木氏

17名が合流を求めた背景

 年末恒例の「離合集散」か、それとも解散風を感じての保身なのか。野党が大きく揺れている。

 そのひとつが国民民主党の中堅・若手議員の動きだ。12月3日の代議士懇談会では、立憲民主党との合流に向けた動きを早めるよう、要望する声が出た。その前に早期合流に賛成の17名が集まり、意見を交換している。そのメンバーのほとんどが比例復活組で、次期衆議院選への焦燥感が見てとれる。

 実際に政党支持率を見ると、FNNの調査(11月16日と17日に実施)では自民党が36.2%に対し、立憲民主党は7.8%で国民民主党は0.8%に過ぎない。とりわけ国民民主党は3.2%の共産党、3%の日本維新の会に及ばない。それどころか、1.2%のNHKから国民を守る党や2.5%のれいわ新選組にすら負けている状態だ。これでは政党の比例区での獲得議席が期待できず、いくら惜敗率が高くとも、比例区復活できなくなる。

 実際に12月2日の讀賣新聞は、2017年の衆議院選で当選した立憲民主党の衆議院議員の惜敗率が低いのに対し、国民民主党(当時は希望の党)の衆議院議員はその7割が惜敗率80%以上であることを指摘。国民民主党の方が競争が激しいことを示した。

簡単とはいかない立憲と国民の合流

「大きな塊を作る」―。これは立憲民主党の枝野幸男代表や国民民主党の玉木雄一郎代表、無所属の会の岡田克也代表らが、何度も繰り返した言葉だ。その言葉の下に、国民民主党と自由党は合流し、衆議院の場合はこれに立憲民主党や「社会保障を立て直す会」などが加わって、共同会派を結成した。

 ただし参議院の場合、立憲民主党と国民民主党の関係が悪く、議員総会もバラバラに開かれている。元はともに民進党だったが、静岡や福岡など今年の参議院選で相戦った選挙区もあり、関係修復は難しそうだ。

 さらにいえば、立憲民主党も国民民主党も、執行部は政党の合流に前向きとは言えない。立憲民主党の枝野代表は「個人としての参加は懐深く考えるが、党やグループごとの合流はない」との姿勢は崩しておらず、国民民主党の玉木代表は11月26日に収録した動画番組で「ひとつになるより連立の時代」と党の合流に否定的。若手や中堅から合流の話が出た3日の代議士懇談会の後は、珍しく記者のぶら下がりにも応じず、立ち去っている。

 そもそも3日は、玉木氏の議員活動10周年記念と出版を祝うパーティーが開催されるという記念すべき日で、会場となった都内のホテルの宴会場では国民民主党のマスコットキャラクターのこくみんうさぎが来客に愛嬌を振りまいていたが、心なしか玉木代表の顔色は冴えなかった。

 玉木代表は12月4日の会見でも、「選挙の目的だけでやると、有権者はよく見ているので、なかなか国民の理解が得られない。合流するなら政策や理念をしっかりとすり合わせなくてはいけない」と述べ、政党の合流とは一線を画している。会期末の9日には両院議員総会が開かれ、この件についても俎上に上ることになるだろうが、果たして合流話は進むのだろうか。

「政策や理念があまりにも違いすぎる。たとえば原発政策については、国民民主党と考えと立憲民主党の考えは正反対ともいうべきものだ」

 ある立憲民主党の関係者はこう語った。そもそも国民民主党は「穏健な保守」を標ぼうしており、共同会派を結成したことについて、玉木代表は「立憲民主党を中道に引き戻すため」と述べたことがある。

 ならば立憲民主党の軍門に下ってしまっていいのか。そもそも結党から2年以上たつのに、いまだ代表選規定を持たない政党に参加できるのか。

国民民主党の“真価”とは

 臨時国会は12月9日に閉会する。与党は「桜を見る会」問題にあえぐ安倍晋三首相を隠しとおすつもりだ。次の通常国会は通例なら1月下旬に召集されるが、もし早まれば解散総選挙になるだろう。それで“禊”をすませるつもりだが、自民党内では次のように危惧する声がちらほら聞こえている。

「選挙になれば、自民党は議席数を減らす」

 もっとも「桜を見る会」問題が発覚する以前からその懸念はあり、今年4月に安倍晋三首相と石原慎太郎元東京知事、そして亀井静香元建設大臣が会食し、玉木代表を政権入りさせるという話が出たことがある。また参議院選後には自民党と国民民主党の大連立の話も持ち上がった。いずれも亀井氏が語ったものだが、玉木代表は否定していない。

 ならば議席数を減らした自民党に、国民民主党は自らを「高く」売れるはずだ。にもかかわらずいま逸って損切りするほど、玉木代表は愚かではないと思いたい。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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