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前王将・渡辺明名人(38)今期リーグ初勝利! 永瀬拓矢王座(30)とのタイトルホルダー対決制す

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月20日。東京・将棋会館において第72期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ▲渡辺明(38歳)-△永瀬拓矢王座(30歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は18時56分に終局。結果は149手で渡辺名人の勝ちとなりました。

 リーグ成績はこれで渡辺1勝2敗、永瀬1勝1敗。前王将の渡辺名人は今期リーグで初白星をあげ、藤井聡太現王将へのリターンマッチに望みをつなぎました。

渡辺名人、攻めをつなげて勝利

 将棋界は現在、8つのタイトルを3人で分け合っています。

 今期リーグでのタイトルホルダー対決は、本局のみです。

 渡辺名人先手で戦型は角換わり早繰り銀。18手目、永瀬王座が早めに玉を上がった手が珍しく、渡辺名人は想定がはずれたようで、序盤から時間を使う進行となりました。

 渡辺名人が攻めの銀と守りの銀を交換したのに対して、永瀬王座は馬(成角)を作って対抗。バランスが取れた難しい中盤戦が続きました。

 渡辺名人の攻めが通るか、それとも永瀬王座がしのげるかという終盤。渡辺名人はなりふりかまわず、相手から入玉を目指される順を警戒していました。本譜は渡辺名人の攻めが次第につながっていきます。

 111手目、渡辺名人は永瀬陣に角を打ち込み、馬を作ります。以下は永瀬王座の粘りを振り切って、最後は即詰みに討ち取りました。

 今期リーグは羽生善治九段が走っています。しかし10月26日におこなわれる渡辺名人(1勝2敗)-羽生九段(3勝0敗)戦で渡辺名人が勝てば、にわかに混戦模様となりそうです。

 永瀬王座(1勝1敗)は25日、豊島将之九段(1勝0敗)と対戦します。

 渡辺名人と永瀬王座の通算対戦成績は渡辺20勝、永瀬7勝となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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