【河内長野市】映画鑑賞の後は楽しいトーク会。長野商店街で定期実施の「交流する"シネマ"の会」に潜入
河内長野や富田林に映画館が無くなって久しいですが、すばるホールやラブリーホールでの毎月の上映会のほか、有志の手でミニ映画会が行われることがあります。
有志による映画会の多くは、単に映像作品を上映するだけでなく、トーク会など付加価値をつけてひとつのイベントにすることが多いです。富田林の寺内町シネマプラスもひとつの例ですね。ネットで映像作品が簡単にみられる時代、一部のメジャーな人気映画を除くと映画ファン以外なかなか外で映画鑑賞の機会も薄いことから、このような試みが行われているようです。
そして河内長野でも、交流する"シネマの会"という団体によるミニ映画会を行なっています。次回10月15日は長野商店街のにぎわいプラ座で行われます。にぎわいプラ座はかつての映画館跡地!そこで映画上映です。このお話を聞いて、一時的にせよ河内長野で映画館復活かのように感じました。
交流する"シネマ"の会とは「ミニシアターで上映しているような文化的な映画を、地元でゆっくり観て語れる場所を創りたい!」という夢から立ち上がった団体で、主に上堂醤油蔵で2022年から活動を始めています。
では、実際にはどのようなイベントなのでしょう?つい最近行なわれたのは、9月21日に「坂田晶子(さかたまさこ)さんと、短編映画『根の国』を観る」というテーマでの上映会でした。
今回は特別に潜入取材させていただきました。
坂田さんは、河内長野では美加の台に隣接する里山わびすけさんや石見川の水の杜さんなどで、里山整備の指導をしている方で、次のような経歴持っている方です。
今回は、短編映画を見た後に坂田さんの講演やトーク会があるということです。
受付のようすです。
こちらが会場です。上堂本店醤油蔵といえばライブなども行われていますね。この日は映画上映と講演会、坂田さんの講演ということもあって、皆さんの関心が高く、満席でした。
余談ですが、上堂醤油蔵に来ると、どうしても歴史ある天井部分が気になります。
始まる前は、坂田さんの指導による里山わびすけさんの整備の様子が映し出されていました。
時間になりましたので、司会者の挨拶から始まりました。
最初は短編映画「根ノ国」の上映です。40年以上前の映像作品ということで、昭和レトロを感じるフィルム映像でした。
「根ノ国」と言えば日本神話に登場する異世界で、海の底にあるとされ、スサノオノミコトやオオクニヌシノミコトが登場する物語にも感じます。しかし、今回の映像作品はそれらとは全く違います。実際に根が生えている地中で起こっていることを、当時の最先端技術を使って紹介するものでした。
ストーリーは地中にはいろんな生物がいるという話で、肉眼でかろうじて見えるような虫から顕微鏡で見ないと確認できないような微生物まで、わずかな土の中で非常に多く生息し、それぞれが共存して生きているということを紹介しています。
そしてそれらの生命体が土の中に数多くいるのに、空中から安易に農薬をばらまいている行為に対して、警笛を鳴らしているというようなところで終わりました。
映画の後は坂田さんによるトーク会です。坂田さんには里山わびすけさんでもお話を聞いたことがあります。坂田さんは、人間が森などに安易に手を加えることに警笛を鳴らしながら、自然界とどう付き合うべきかをわかりやすく、時には笑いを交えながら語っていました。
森を形成する小さな生命体の重要性。例えば映像の冒頭と終盤に、ようやく歩けるようになった幼児が裸足で土を歩いているシーンがあったのですが、坂田さんによるとあの行為はとても大切で、自然に微生物が幼児の体内に入り、その結果、病気に強い免疫ができて子どもが丈夫に育つとのこと。
また、草を刈る年配の方に対しても異議を唱えます。熱中症で大変なのにあんなに必死に除草している行為に疑問に感じるとのこと。「あのような行為は本来の生態系を破壊し、鳥や虫、微生物が逃げてしまうので、控えるべきである」といいます。
人が通る道路沿いは通行の問題があり仕方がないが、人が入らない奥のほうまで刈ってはいけないとのこと。
河内長野は林業の町という側面がありますが、坂田さんは日本の林業にはいろいろと問題があると語ります。
「本来の杉の木は、屋久杉を見てもわかるようにとても丈夫で、本来簡単に倒木するものではありません。倒木しやすいのは、もともとのやり方に問題があるから」と坂田さんは熱く語ります。
坂田さんは水も取らずに長時間熱く語り、予定時間を超えるほどまで語られていました。そのあとは質疑応答の時間となり、質問というより坂田さんの考えに共感を持ちながら、むしろ今自分が抱えている問題について、坂田さんにアドバイスを求めているような人が多くいました。
坂田さんは的確にアドバイスを送りますが、中には手厳しいものもありました。坂田さんに共感を持った方が都会から田舎に移住したのですが、坂田さんのアドバイス通りにやろうとすると、近隣からクレームに近いものが言われることもあるとのこと。
坂田さんは「なぜ戦わない!」と叱咤します。世界ではオーガニック的な考えがスタンダードになりつつあると述べた後、「日本の高齢者の方はそれまでのやり方が正しいと思い込んでいるところがある。そこはとにかく反論して議論を重ね、自分の考えを折り曲げてはいけない」というアドバイスを送りました。
こちらの方は奈良県山辺郡山添村の野村栄作村長です。山添村は自治体としてオーガニックに積極的に取り組んでいることもあって、今回の坂田さんの講演会に出席されました。10月27日に山添村でGLFF(グリーンライフフードフェスタ)(外部リンク)が行われるとのこと。
ちなみにこちらが山添村の位置です。野村村長によれば、河内長野から車で1時間で行けるとのこと。
さて、坂田まさこさんに学ぶ生物多様性を次世代に繋ぐ里山整備ワークショップが、里山わびすけで開催が決まりましたのでご紹介します。坂田さんに学びたい方は里山わびすけさんに問い合わせましょう。
- 2024年12月19日(木曜日)
- 2024年12月20日(金曜日)
- 2025年3月24日(月曜日)
坂田さんとの質疑応答が終わると、この後は、交流する"シネマ"の会は交流会をおこないます。交流会は別料金がかかるそうですが、ドリンクとお菓子が付きます。
椅子も交流しやすいように輪にしていきます。
このような感じで、輪になってドリンクとお菓子を堪能しながら交流と語り合いのひと時を持つわけです。
リラックスした参加者の語り合いが始まったところで、私は後にしました。交流する"シネマ"の会の大まかな流れはこのようになっていて、現在は年に2回ほどのペースで様々な講師を招いて行っています。
それとは別に、2ヶ月に1度の割合で向かいのにぎわいプラ座にて上映会を行っています。次回は10月15日に民映研「稲ワラの恵み-飛騨国・白川郷」上映会ということで18:30からです。
参加費は1,200円で、56分間の映像作品です。映像作品を見た後、参加者といろいろな話が出来たらとのこと。興味のある方は交流する"シネマ"の会に問い合わせましょう。
上堂醤油蔵・交流する”シネマ”の会(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市本町12-22
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩3分
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