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投手の打席ホントに見たい?メジャー両リーグDH制導入へ…日本のセ・リーグはどうするのか

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アメリカ・メジャーリーグで今季からナ・リーグでも指名打者(DH)制を導入することをオーナー側が承認したとの報道があった。選手会が同意し、新労使協定が締結されれば正式決定するそうだ。私は以前からメジャーも日本のセ・リーグでもDH制の導入に賛成の立場だった。この流れがセ・リーグに波及してくる可能性もあるかもしれない。私はセもDH制へかじ取りしていけばいいと思っている。

 理由はいくつかある。まずは以前のコラムにも書いたように、ファンが「ピッチャーの打席を見たいのか」というシンプルな疑問がある。もちろん、アマチュア時代に打撃も優れた選手の打席に一時的な注目は集まるだろう。しかし、二刀流を貫く大谷翔平選手を除けば、打撃への注目は年月とともに落ちていくのが自然だろう。投手は投手、打線は9人ともプロの打者のほうが見応えのある試合になるのではないだろうか。

 投手目線でも、春季キャンプでバント練習などに時間をかけず、投球に専念することができる。

 実際の試合ではどうか。9番が投手なら、8番との対戦を避けて逃げ切れるなどの計算が立つ。ただ、それが投手の成長を阻む要因にもなりうる。日本球界では、昨季はヤクルトが日本一になったが、交流戦も含めて「パ高セ低」の傾向があり、投手力の差は否定できない。DH制があれば、投手は打線の巡りで代打を送られる心配もなく、マウンドに集中できる。打席に立つ必要もなく、負担は軽減されるはずだ。

 日本球界では巨人が2020年12月、セ・リーグの理事会でコロナ禍に暫定的なDH導入を提案したが、見送られたという報道があった。巨人の原辰徳監督はそれ以前から導入に前向きな発言をしている。ナ・リーグも突然の決定ではなく、以前から導入の動きがあった。

 メジャーにならえ、ではなく、日本球界としても議論をしてもいいと思うがどうだろうか。

 ただ、アマチュア球界、とりわけ小中学、高校では従来通り、球児の可能性を広げる観点からも、投手が打席に立つルールで行ってほしい。投手としてプロ入りした選手が野手転向して成功するケースもある。早い段階から「投手」「野手」を区別せず、色々な可能性にチャレンジしてほしい。どちらかに専念するのはプロからという流れができればいいなと思っている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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