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なぜ今季の米女子ゴルフツアー開幕戦に韓国人選手は一人も出場しないのか?

金明昱スポーツライター
手首のケガで米女子ツアー開幕戦の欠場を表明したコ・ジンヨン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 米女子ゴルフツアーの開幕戦「ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」(19~22日)に世界ランキング5位のコ・ジンヨンが出場辞退を表明した。

 同大会は2年間の優勝者だけが出場できる大会で、海外の有名セレブリティら50人とプロ30人がプロアマ形式で行われる大会。同大会に韓国人選手のなかではコ・ジンヨンだけがエントリーをしていたのだが、マネジメント会社の代表が「手首のケガが完治しておらず、試合に出られるほどの練習量も不足しており、出場申請を撤回した」と説明。

 ケガによる欠場は仕方がないが、今回の辞退でコ・ジンヨンに罰金が課されることになった。米女子ツアーには同じ大会に「4年に1回の出場義務」があるが、これはスポンサーを保護するための規定だという。コ・ジンヨンが出場を辞退するのはこれで4回目ということで、2万5000ドルの罰金が決まった。

 そもそも、コ・ジンヨンのほかにも出場資格がある韓国選手は存在する。キム・ヒョージュ、チョン・インジ、チ・ウンヒ、パク・インビに出場資格があったが、いずれもエントリーしていない。同大会に韓国人選手は誰一人として出場しないのだ。一方、日本勢では畑岡奈紗、古江彩佳、笹生優花が出場する。

韓国へ帰国後の米ツアー日程が原因?

 しかし、なぜ韓国の選手たちは、同大会を欠場する傾向にあるのか。韓国紙「国際新聞」はその理由について、こう説明している。

「韓国選手たちがシーズン開幕戦の出場を渋る理由は、ツアー日程が原因だ。韓国の選手たちは昨年12月のシーズン終了後、帰国してオフに入っているが、今月初めから新シーズンの準備のため練習をスタートさせている。ほとんどの選手が、タイやベトナムなどで合宿しており、開幕戦に出場するには長時間のフライトで米国に入らなければならない。試合に出場するには最低でも2週間が必要だが、開幕戦の代わりに練習に専念したあと、翌月の23日からタイで開催される『ホンダLPGAタイランド』に備える意図が見える」

 米ツアーを主戦場にしている韓国選手は、母国に帰国後にオフを過ごし、すぐに米国には戻らず、東南アジアなどで練習をしているケースが多いという。そうなれば、たった1試合のために米国に戻るよりも、アジアを拠点にしながら2月開催のタイでの米ツアーに備えるほうがいいという判断なのだろう。

 とはいえ、世界ランキングでは上位にいる韓国選手が、米女子ツアーの開幕戦に一人もいないのも、寂しいかぎりである。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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