北京を襲った「過去10年で最悪」の砂嵐 モンゴルでは死者も
15日(月)北京は「過去10年で最悪」ともいわれる砂嵐に見舞われ、大気汚染レベルが悪化しました。
中国内陸部やモンゴルに位置するゴビ砂漠などから運ばれてくる黄砂が、北京やその周辺を覆ったのです。以前から続いていたスモッグの影響も加わって、町は一面オレンジ色に染まり、「世界の終りのよう」と表現した人もいたほどでした。
アルジャジーラによると、ゴーグルを装着したり、ヘアネットを被ったりして外を歩く人もいたようです。当局は学校の屋外活動を全面中止させ、呼吸器疾患のある人たちに室内にいるよう勧告しました。
ガーディアンによると、大気汚染度指数(AQI)は999と、最悪のレベルである「危機的(Hazardous)」状況に達したといいます。一方で同じ時刻の東京のAQIは42だったそうです。
また肺の中まで入り込むほど微細な大気汚染微粒子であるPM2.5の値は600となり、国連保健機関(WHO)が安全だとする25を大きく上回りました。
モンゴルでは6人死亡
黄砂の源に近いモンゴルではさらに深刻な事態が起きました。下の動画がその様子です。砂嵐は週末に発生し、6人が死亡、80人以上が行方不明になっているほか、停電も起きたとCGTNが伝えています。
黄砂は日本へ
中国を覆った黄砂の一部は、16日(火)にも東北や北陸、山陰地方など日本海側の一部に到達する予想が出ています。深刻な状況を起こすほどではないものの、空の色が霞んで、せっかく咲いた桜も青空とのセットでは見られないかもしれません。
春は黄砂の季節
その昔、俳人・高浜年尾が『花曇り/らしくも見えて/霾れり(つちふれり)』と詠んだように、霾(つちふる)は春の季語として度々句に登場します。
春が黄砂のシーズンなのは、砂漠に積もった雪が解け、次々と発生する低気圧の風によって飛ばされるからです。黄砂の発生源の一つであるゴビ砂漠は「黄色いドラゴン」と呼ばれ、春になると砂を口から吐き散らす迷惑な存在でもあります。
黄砂と闘う中国
このゴビ砂漠は世界でもっとも拡大している砂漠とも言われています。神奈川県に匹敵する2,500平方キロメートルもの面積が毎年拡大しているという報告もあるほどです。このため、中国の黄砂による経済損失は年々拡大を続けています。
勢力を増す「黄色いドラゴン」に、中国は大規模な植林活動で対抗しています。完成すれば、ゴビ砂漠に隣接した地域に長さ4,800キロ、幅1,500キロの植林地帯ができるようです。
この計画は、万里の長城ならぬ「緑の長城(Green Great Wall)」と名付けられています。