太陽の30倍熱い!10万度以上の超高温星8つを新発見
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「10万度を超える超高温星を8つ新発見」というテーマで動画をお送りしていきます。
●10万度以上の星を8つ新発見
2023年1月とつい先月、表面温度が10万度を超える星が新たに8つも発見されたと発表がありました。
その中で最も高温なものは、実に18万度もあるそうです。
私たちにとって最も身近な恒星である太陽は、表面温度が約5500度と言われています。
なので新発見の18万度の星は、なんと太陽の30倍以上も高温であることになります。
新発見の8つの星はいずれも白色矮星、もしくは白色矮星に進化する前段階の天体とのことです。
前段階の天体は、今から数千年以内と宇宙スケールではほんのすぐのうちに、白色矮星になると考えられています。
白色矮星は、太陽の8倍未満の質量を持つ恒星がその寿命を終え、進化した天体です。
そもそも恒星は非常に質量が大きい天体であり、その中心部では自身の重力で超高温・超高圧となっています。
そのような極限環境では核融合という反応が起きています。
核融合反応は水素などの軽い元素から始まり、どんどん元素同士が融合していくことで、理論上は最も安定な元素である「鉄」まで生成可能です。
ですが重い元素ほど核融合を起こすのにより高温・高圧な環境が必要となってくるため、ほとんどの恒星の場合は質量が足りず、鉄ができる前に途中で核融合が止まってしまいます。
このように鉄ができる前に核融合を起こす燃料が尽き、燃えカスとして残った恒星の残骸が、白色矮星です。
太陽も反応が鉄まで進むほど十分な質量を持っておらず、今から約70億年後に白色矮星に進化すると考えられています。
ちなみに太陽の8倍以上重い恒星だと、星内部で鉄まで生成されますが、その直後に超新星爆発が発生し、中性子星やブラックホールといった天体を残すという、よりダイナミックな最期を迎えます。
白色矮星は非常に高密度で、その質量の割に小さい天体です。
ものにはよりますが具体例として、有名な白色矮星「シリウスB」であれば、質量は地球の30万倍ありながら、大きさはほぼ地球と同程度しかありません。
一般的に白色矮星の表面は通常の恒星よりも高温であり、その名前の通り青白く輝いて見えるものが多いですが、非常に小さいため、太陽よりも暗いものが多いです。
ですが新発見の白色矮星についてはどれもあまりに高温であるため、いずれも太陽より100倍以上も明るく、白色矮星としては異例なんだそうです。
また、恒星が白色矮星になる直前の寿命の末期段階では、非常に強い勢いで周囲にガスを放出します。
そのガスは、中心星が高温の白色矮星に進化したのち、そこから放たれる紫外線によって照らされます。
このようにしてできる星雲が、「惑星状星雲」です。
新発見の8天体のうちの1つは、新発見の惑星状星雲の中心部に存在していることが判明しています。
●実はもっと高温な「恒星」も…
今回新たに発見された超高温な天体は、恒星の寿命が尽きて進化した「白色矮星」でしたが、実は新発見の白色矮星よりもさらに表面温度が高い「現役の恒星」が既に発見されています。
それは地球から天の川の方向に約9500光年彼方にある、「WR 102」と呼ばれる恒星です。
中心部で核融合が起きている現役の恒星でありながら、なんと表面温度は21万度もあると考えられています。
WR 102の「WR」とは、ウォルフ・ライエの略で、その名の通りこの恒星は「ウォルフ・ライエ星」という分類の恒星です。
この分類の星は、超大質量の星が寿命の末期段階にある姿であると考えられています。
恒星は大質量であるほど内部の核融合が激しくなり、激しい恒星風を放出します。
また星は一般的に寿命が近付くにつれて膨張しますが、膨張するにつれて表面重力が弱まるため、より一層恒星風が強まります。
そのため超大質量星が寿命に近付いて膨張すると、あまりに強力な恒星風によって自身の外層ごと剥ぎ取られ、内部の高温の層がむき出しになることがあります。
この状態の星が、ウォルフ・ライエ星と呼ばれるものです。
ウォルフ・ライエ星はそのような特徴から、一般の恒星と比べて表面温度が極めて高いものが多いです。
例えば地球から約16万光年彼方にある、お隣の銀河である大マゼラン雲の中にある、観測史上最も質量が大きい星の候補として有名な「R136a1」の表面温度は4.5万度を超えますが、これもウォルフ・ライエ星に分類されます。
話をWR 102に戻すと、この星は質量が太陽の16倍もある大質量星で、かつ今から1500年以内に超新星爆発を起こすと言われるほど、寿命の超末期段階にあると考えられています。
そして半径は太陽の半分程度しかないにもかかわらず、太陽の38万倍も明るいと考えられています。
そして恒星風が尋常ではなく強く、太陽の数億倍という異次元のペースでガスを喪失中であるそうです。
ということで今回は、新発見の超高温白色矮星と、それをさらに超えるWR 102という名前のウォルフ・ライエ星について紹介させていただきました。