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内藤大助が語る井岡一翔の強さ「もっとも戦いたくない相手」その理由とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
全てスタッフ撮影

6/19(水)に千葉幕張メッセで、ボクシングの世界戦が行われる。井岡一翔(30)は日本人初の4階級制覇を目指し、2階級制覇王者の京口紘人(25)は初防衛に挑む。

この試合の解説を行う、元WBC世界フライ級王者の内藤大助氏に試合の見所を聞いた。

複数階級の凄さついて

井岡は、ミニマム級から階級を上げて、ライトフライ級、フライ級と3階級を制覇してきた。

内藤氏は、「2階級だけでも物凄い。はっきり言って、簡単にできることではない」と語った。

ボクシングは、階級制のスポーツで、一番下のミニマム級(47.6kg)から無差別級のヘビー級(90.7kg以上)まで、17の階級に分かれる。

井岡の現在の階級スーパフライ級は、52.1kgになるため、5キロ近くウエイトを上げてきた計算になる。

ボクシングは一つ階級が変わるだけで、相手の体格が一回り大きくなり、階級に合わせた戦い方が必要になる。

アジアでも4階級制覇したのは、マニー・パッキャオ、ノニト・ドネア、ドニー・ニエテスの3名しかいない。

井岡が今回の試合に勝つと、その偉大なチャンピオン達と肩を並べることになる。

内藤大助が語る井岡一翔の強さ

今回、内藤氏が、井岡の過去の試合を見ながら、彼の強さについて語ってくれた。

解説してもらった試合は、2016年の7月に行われた、WBA世界フライ級タイトルマッチの防衛戦となった、キービン・ララ(ニカラグア)戦。

2016年の12月に行われた、スタンプ・キャットニワット(タイ)戦。

そして、初めて世界戦に挑んだ、2011年2月に行われた、WBC世界ミニマム級タイトルマッチのオーレイドン・シスサマーチャイ(タイ)戦の3試合だ。

内藤氏は、井岡について「俺が、もっとも戦いたくない相手」と語った。

その理由を、「無理をしないで、着実にポイントを積み重ね、同じペースで戦い続ける。精密機械のようだ」と話していた。

井岡は、攻防のバランスに優れ、決して無理をしない。試合中になると、余計な感情を消し、人間らしさがなくなる。

疲れた時や攻撃を受けたときに表情に出てしまうものだが、それがないのだ。

相手にとって、表情が変わらないということは感情が読み取れないので、非常に戦いにくい。

セコンドからしたら、余計なパンチをもらわずに着実にポイントを重ねていくので、見ていて安心できる選手だ。

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井岡のボクシングスタイル

また井岡は、攻撃のバリエーションも多彩で、タイトルを獲ったオーレイドン戦では、ボディ一撃でKOに結びつけた。

井岡の戦績を見ると、25戦23勝 (13KO) 2敗とKO率は約60%と、体重が軽い軽量級にしてはKO率は高い。

パンチを当てるタイミングが非常にうまく、一撃でのダウンを奪うキレの良さも持ち合わせている。

また、決してパワーがあるタイプではないが、コツコツダメージを蓄積させて、KOに結びつける技術にも優れている。

内藤氏も「石橋を叩いて渡るタイプなので、隙がない」と話した。

「警戒心が強いので、不用意なパンチも貰わずに、崩すのが難しい」と自分が対戦するのを想定して話してくれた。

しかし、今回の試合については、「相手のパリクテが非常に攻撃的で強い選手なので、厳しい戦いになる」

「そう簡単に勝てる相手ではない。相手はアウェイなので、どんどん前に出てくるのでは」と予想した。

イメージでは長身で前に出てくるパリクテに対して、井岡がどう迎え撃つかが見所だ。

王者としての強さが見たい

また、京口戦の見所についても話を聞いた。今回の試合は京口の方がキャリアがあるため、京口が、「どうKOするか」に注目をしているようだ。

京口のボクシングについては、「ガードがうまく、上下への打ち分けが多彩で、フェイントから攻撃の繋ぎがうまい」

また、「アッパーも非常に優れているので、試合ではそのパンチがキーポイントになる」と話した。

京口が、相手にキャリアの違いを見せて、先日の井上尚弥のような、相手を圧倒する試合を期待したい。

会見でも話していたが、「必ず、KOで勝つ」と頼もしい声が聞けた。

ボクシング観戦も新しい時代へ

今回の試合のメインイベント、井岡一翔の試合は、夜9時からTBSで放送される。

また、セミファイナルの京口紘人、女子世界戦の吉田実代選手の試合は、動画配信サービスParavi(パラビ)で独占LIVE配信される。

内藤氏へのインタビューも、『井岡一翔戦』『京口紘人戦』をより楽しむためのコンテンツとして同番組で配信される。

「多くの方に試合をより楽しんでもらいたい」という思いから、今回の「内藤大助の世界戦観るならココに注目」企画を立ち上げたようだ。

今まで、会場に足を運ばないと観れなかった試合も、今ではスマホで、どこでも観戦できる時代になった。

家にいなくても、手軽に試合が観れるのはファンとしては嬉しい。特にスポーツは、テレビ放送に加え、動画配信サービスが多くなった。

ボクシングを知ってもらう取り組みとして、現代ならではの様々な配信方法や、新しい企画で、ボクシングが盛り上がっていくことに期待したい。

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元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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