「タブレット端末のブームはとっくに終わった」 iPadは大丈夫? 実に4年連続の前年割れ
米国の市場会社IDCによると、昨年(2018年)7〜9月期におけるタブレット端末の世界出荷台数は3640万台で、前年同期から8.6%減少した。
一向に回復しないタブレット市場
タブレット端末の2017年における年間出荷台数は1億6350万台で、前年から6.5%減少した。そして昨年1〜3月は同11.7%減、4〜6月は同13.5%減と、いずれも2桁減。7〜9月は2桁減にならなかったことが唯一の明るい材料だった。
しかし、タブレットの世界出荷台数は、2014年10〜12月から前年実績を下回っており、16四半期連続の前年割れを記録している。
ドイツのスタティスタはこの状況について、「タブレットのブームはとうに過ぎ去った」と表現している。
米アップルが「iPad」の初代機を発売したのは2010年4月。その後タブレットはブームとなり、当時は前年比4倍以上を記録するなど、急成長を遂げていた。
しかしその後は、マイナス成長に転じ、この4年間、前年割れが続いている(図1)。
- 図1 タブレット端末出荷台数の前年同期比伸び率推移(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
頼みの綱のデタッチャブル型も減少
IDCによると、この市場では、「スレート型」と呼ばれる従来型端末の出荷台数が今も減少している。
一方、iPad ProやSurface Proに代表される「デタッチャブル型」(着脱式キーボードが用意される製品)は、これまで増加傾向にあり、市場全体の減少幅を縮小させる役割があると期待されていた。
しかしデタッチャブルは昨年4〜6月に減少に転じ、その後7〜9月も13.1%減と大きく落ち込んだ。
タブレットは販売台数の減少に加え、利幅も縮小傾向にあるため、小規模メーカーが開発の優先順位を下げたり、市場から撤退したりしている。
これにより、上位5社への集約が進んでいるという。また、上位5社の中でも、トップ2社と3位以降の間には大きな差があるとIDCは指摘している。
昨年7〜9月のメーカー別出荷台数は1位から、アップル、韓国サムスン電子、米アマゾン・ドットコム、中国ファーウェイ(華為技術)、中国レノボ・グループ(聯想集団)の順。
このうち、首位のアップルは970万台を出荷し、シェアは26.6%。サムスンの出荷台数は530万台で、シェアは14.6%。アマゾンは、それぞれ440万台と12.0%。
これら3社の出荷台数は、いずれも前年同期から減少している。アップルは6.1%減、サムスンは11.4%減、アマゾンは0.4%減。タブレット市場が落ち込む中、アマゾンは7月に開催した大型セール「Prime Day」の販売が好調で、減少が小幅にとどまった。
iPadのプラス成長が止まる
首位のアップルの数値は、公表されている7〜9月期決算の販売台数と一致する。
iPadの販売台数は、2014年1〜3月から2017年1〜3月まで、13四半期連続で前年割れが続いた。その後、2017年4〜6月に3年半ぶりにプラスに転じ、それから昨年4〜6月まで5四半期連続でプラス成長が続いた。しかし、7〜9月は再びマイナスに転じた。
アップルは昨年11月に、デタッチャブル型である「iPad Pro」の新モデルを発売した。
米マイクロソフト、米グーグル、サムスンもこの時期に、それぞれ新モデルを市場投入している。このことから、IDCは「2018年10〜12月期以降、少なくとも当面の間、デタッチャブル型に回復が見られるのではないか」と予測している。
- (このコラムは「JBpress」2018年11月16日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)