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西山朋佳女流三冠、棋士の資格を得られるか? 9月10日、編入試験五番勝負第1局で高橋佑二郎四段と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月10日。東京・将棋会館において西山朋佳女流三冠(29歳)の棋士編入試験五番勝負第1局がおこなわれます。相手は高橋佑二郎四段(25歳)。先後は対局開始の前に振り駒で決められます。

 西山女流三冠は3勝した時点で合格。逆に3敗すると失格となります。

女性2人目の挑戦

 西山女流三冠は現在、白玲、女王、女流王将のタイトルを保持。福間香奈女流五冠(32歳、旧姓:里見)と並んで現女流棋界の「二強」と呼ばれています。

 両者には多くの共通点があります。ともに奨励会三段に在籍し、そのときには惜しくも棋士の資格を得られませんでした。しかし女流棋戦でタイトルホルダーとして活躍を続け、一般棋戦に女流棋士代表として多く参加。棋士と対戦し、好成績をあげています。

 2022年、福間現女流五冠は女性として初めて棋士編入試験の受験資格を得ました。五番勝負は残念ながら0勝3敗で敗退となりましたが、それでも大きな一歩を残しています。

 そして今年2024年、西山女流三冠が受験資格を獲得しました。

 棋士編入試験の受験資格を獲得した女性は、西山女流三冠で2人目となります。

相手は気鋭の新人

 棋士編入試験で対戦相手となるのは、直近で四段に昇段した新人棋士5人です。

 1局目の高橋佑二郎現四段は1999年7月9日生まれ。千葉県船橋市出身で、加瀬純一七段門下です。

 2023年度前期(第74回)三段リーグで14勝4敗の好成績をあげ、今年2024年4月、四段に昇段しています。

 高橋四段は棋士総会における新人のあいさつで、サザンオールスターズ「真夏の果実」をアカペラで歌い、その大物ぶりが話題となりました。

 高橋四段の現在までの公式戦成績は6勝4敗です。

 高橋四段の棋風は居飛車党。西山女流三冠は振り飛車党ですので、西山女流三冠がまずどこに飛車を振るのかが注目されます。

最近の西山女流三冠

 西山女流三冠は今年度、女流棋戦でも20勝2敗(勝率0.909)と圧倒的な成績をあげています。敗れたのは清麗戦挑決(対加藤桃子女流四段、5月31日)と倉敷藤花戦準決勝(対伊藤沙恵女流四段、9月4日)のみです。

 福間挑戦者を迎えての白玲戦七番勝負は8月31日に第1局がおこなわれ、西山白玲の勝ちでした。

 直近9月6日の女流王座戦挑決では香川愛生女流四段に勝って、福間女流王座への挑戦権を獲得しています。

 NHK杯では1回戦で木村一基九段に勝利。2回戦の対戦相手は藤井聡太七冠で、将棋史に残るカードが実現しました。

 こちらは9月15日に放映されます。

 藤井現七冠と西山現女流三冠は2016年度前期三段リーグ最終戦で対戦。藤井勝ちで、史上最年少(14歳2か月)の四段誕生が決まりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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