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西山朋佳女流三冠(29)11月8日、棋士編入試験第3局で強敵中の強敵・上野裕寿四段(21)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月8日。大阪・関西将棋会館において棋士編入試験五番勝負第3局▲上野裕寿四段(21歳)-△西山朋佳女流三冠(29歳)戦がおこなわれます。


 西山女流三冠は第1局で高橋佑二郎四段に勝ち、第2局で山川泰熙四段に敗れて、ここまで1勝1敗です。

 第3局の相手は新鋭中でも屈指の実力者、上野四段です。

強敵中の強敵、上野四段

 上野四段は2003年5月5日生で、現在は21歳。兵庫県加古川市出身で、井上慶太九段門下です。早くから将来を嘱望されていた逸材で、15歳で三段に昇段。2023年10月、20歳のときに四段に昇段しました。

 上野現四段は三段のときに新人王戦を勝ち進み、決勝三番勝負に進出。四段昇段直後、同門の俊英・藤本渚四段(現五段)を2勝1敗で降して優勝という快挙も達成しています。


 今年2024年のABEMAトーナメントでは兄弟子・稲葉陽八段からのドラフト指名を受けて、藤本四段とともにチーム稲葉「井上一門」に参加。上野四段も格上の棋士に何度も勝って、チームは優勝を遂げています。


 今年2024年の加古川青流戦でも、上野四段は優勝を果たしています。

 すでに棋戦優勝2回の上野四段。西山女流三冠にとっては、強敵中の強敵といってもよさそうです。

 上野四段と西山女流三冠は2019年度後期三段リーグで対戦しています。

 このときは西山三段(当時)が勝利。西山三段はこの期、14勝4敗という好成績をあげながら、順位の差で次点となり、四段昇段には届きませんでした。


西山女流三冠、ハードスケジュールの中でのチャレンジ


 西山女流三冠は福間香奈女流五冠と並んで、女性としては「2強」と呼ばれる存在。女流公式戦で多くの対局がつく一方、女流棋士の代表として一般公式戦にも多く出場しています。そうした中で7月4日、朝日杯一次予選で阿部光瑠七段に勝ち、棋士編入試験の受験資格を得ました。


 今年度はここまで不戦勝5局までカウントすると、公式戦で52局をこなしています。それに加えて、棋士編入試験はこれで3局目。9月には新型コロナウイルスに感染してしまうというアクシデントもありました。依然、厳しい日程の中でのチャレンジが続きます。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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