レジェンド健在! 羽生善治九段(54)叡王戦・九段戦2回戦で広瀬章人九段(37)に勝利
10月30日。東京・将棋会館において第10期叡王戦・段位別予選九段戦C組の対局がおこなわれました。
結果は以下の通りです。
【1回戦】10時~
渡辺 明九段(40歳)●-○広瀬章人九段(37歳)
【2回戦】14時~
羽生善治九段(54歳)●-○広瀬章人九段
羽生九段はベスト4に進出。次戦準決勝で行方尚史九段(50歳)と対戦します。
羽生九段、終盤で競り勝つ
10時に始まった1回戦▲渡辺-△広瀬戦は相掛かりに。互いに飛車を中段を置いた形で押し引きが始まります。広瀬九段は角桂交換の駒得を果たし、次第にリードを広げていきます。最後は渡辺九段が攻防ともに見込みなしと見て、投了。12時11分、94手で広瀬九段の勝ちとなりました。感想戦は十数分、駒を動かさずに口頭のやり取りでおこなわれました。
14時に始まった2回戦▲羽生-△広瀬戦は矢倉模様の立ち上がり。広瀬九段は急戦を含みとした現代調の陣立て。羽生九段が飛車先の歩を交換したあと横歩を取り、定跡形をはずれた力戦となりました。
駒がぶつかり、互角の中盤戦が続いたあと、81手目、羽生九段は広瀬陣に、飛車取りの角を打ち込みます。広瀬九段は飛車を縦か横か、どこに逃げるか。持ち時間1時間のうち、残りは羽生九段4分。広瀬九段は時間を使いきって、1手60秒未満で指す一分将棋に入っていました。
本棋戦の段位別予選は自動記録で、対局者自身がボタンを押して時間が計測されます。
「50秒、1、2、3、4、5、6、7、8」
文字通り、機械的な秒読みの声が響く中、広瀬九段は飛を一つ浮いて縦に逃げ、ボタンを押しました。羽生九段は香を取りながら馬を作り、その馬で飛をねらい続けていきます。評価値の上ではこのあたりから、羽生九段が優位に立ちました。
羽生九段は広瀬陣の駒を取りながら、広瀬玉に迫ります。対して羽生玉は逃げる空間が広く、すぐにはつかまらない形。最後は羽生九段がきれいな馬捨てで広瀬玉を詰ませ、16時27分、109手で羽生九段の勝ちとなりました。
羽生九段と広瀬九段の通算対戦成績は、羽生25勝、広瀬16勝。直近では羽生九段の4連勝となりました。
羽生九段、あと2勝で本戦
九段戦ベスト4に進んだ羽生九段は、あと2勝で本戦入りとなります。
本棋戦は、タイトル戦に昇格する以前は、トーナメントで優勝を争う形式でした。2016年の第2期では、羽生王位・王座・棋聖は準決勝まで進出。そこで佐藤天彦名人に敗れています。(保持タイトルはいずれも当時、棋戦上の表記は九段)
タイトル戦昇格後も、羽生九段はまだ叡王戦の番勝負へはまだ登場していません。今期シードの前叡王・藤井聡太七冠らとともに、羽生九段も本戦トーナメントに加わって、伊藤匠現叡王への挑戦権を争うことになれば、大変盛り上がることでしょう。
ハードスケジュールの羽生九段。休むまもなく、明日31日には、王将戦リーグで近藤誠也七段と対戦します。