デオンテイ・ワイルダーよ、これ以上醜態を晒すな
これほど見苦しい敗者も珍しい。
派手な衣装に身を包んでリングに上がったのは、己の判断であろう。「40パウンド(18.14kg)もあったコスチュームが重過ぎて、足が動かなくなった」などと、よくも言えたものである。
マイク・タイソン、レノックス・ルイス、あるいはモハメド・アリ、ジョー・フレジャー、ジョージ・フォアマンがあんな格好でリングインしたであろうか? 自分の技量の無さを、入場時の演出で誤魔化して来たのがデオンテイ・ワイルダーという男だ。
仮の話となってしまうが、先に挙げたチャンピオンと同時代に生きていたら、ワイルダーは世界王者にはなれていなかったレベルである。
22日にWBCヘビー級タイトルを失ったワイルダーは3月末までアフリカで休養し、その後、タイソン・フューリーとの三度目の対戦を希望するとアナウンスした。
また、タオルを投入したトレーナー、マーク・ブリーランドに対する怒りを示し、今後2度と共に仕事をしないとも語った。ワイルダー陣営のジェイ・ディアストレーナーも、試合直後からブリーランドのタオルに不満を述べている。
しかし、ワイルダーが危険な状態に陥っていたことは、試合を目にした誰もが分かっている。
3回と5回にダウンを喫したことに加え、何度となくスリップダウンを繰り返していたワイルダー。左耳を2cmカットして出血しながらも「パンチによるダメージは無かった。まだ俺は戦えた」と発言。
伝説のファイターで、元統一ミドル級チャンピオンの"マーベラス"・マービン・ハグラーは「タイソン・フューリーはフィジカルもメンタルも100%磨き上げ、完璧なコンディションに仕上げて、素晴らしい戦いを見せた。おめでとう!」という言葉を勝者に贈ったが、ボクシング界の殆どが同じ思いだろう。
最重量級のチャンピオンが、ここまで醜態を晒すのか。ワイルダーもジェイ・ディアスも冷静に映像を見直し、ハグラーの言葉を受け止めるべきだ。身体だけでなく、脳も壊れてしまったのか。
タイソン・フューリーは、もうワイルダーなど眼中に無いだろう。当然のことながら、彼の視線はWBA/IBF/WBO同級王者のアンソニー・ジョシュアに向けられている筈だ。統一ヘビー級タイトルマッチの年内実現を期待する。