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【目黒区】都会でも野菜を育てる・収穫する楽しみを満喫、サポート付き貸し農園「シェア畑 大岡山」

Chikuwa地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)

都会暮らしをしていると、野菜を育てて、もぎたてを食卓で楽しむ機会は少ないものです。ベランダ菜園は経験がありますが、思うように実が生らない、味もイマイチ、などで結局は挫折。

せめてハーブでもと思いましたが、無農薬で育てていたら結局アゲハ蝶を育てる羽目になってしまいました。

すぐ家の近くに畑があって、プロのアドバイスがあったらいいな、と感じている方は少なくないはず。

シェア畑 大岡山
シェア畑 大岡山

今回は、畑や農作業に必要な農具などの貸し出し、野菜作りのアドバイスなども受けられる便利な貸し農園サービス「シェア畑」をご紹介しましょう。

「シェア畑」とは手ぶらで畑仕事の醍醐味が楽しめて、収穫したての野菜が味わえる至れり尽くせりのシステム

シェア畑 大岡山
シェア畑 大岡山

「シェア畑」は株式会社アグリメディアが運営している畑レンタルサービスのこと。野菜栽培の初心者でも気軽に家庭菜園に取り組めるので人気を集めています。

耕作放棄地や農地、遊休地を預かり、小さな区画に分けてレンタル。化学肥料は使わずに牛糞・鶏糞たい肥や油かすなどの有機質肥料を使い、無農薬で野菜を育てることができます。

よくある市民農園の場合は、畑のある市区町村に在住の方限定で費用が安い分、応募が殺到して抽選になることも。

また農家さんが貸し出している農園もありますが、水道やトイレなどがないことが多く初心者には少しハードルが高そうです。

その点、「シェア畑」は少しレンタル費用は高くなりましが、手ぶらで通える、経験豊富なアドバイザーがいるのがメリット。

季節ごとの野菜の種や苗、たい肥などもすべて畑に用意されいます。クワやスコップ、鎌、剪定ばさみなどの農具、野菜を支える長い支柱、虫の侵入を防ぐ防虫ネットなども常備。

農業について知識ゼロの初心者にとって、かなりありがたいサービスなのではないでしょうか。

また、「シェア畑」には水道や井戸、トイレ、休憩スペースも設置されているのでお子様連れでも安心。季節ごとに四季や旬を身近に感じられる楽しいイベントも開催しています。

「シェア畑」ですっかり農業にハマってしまい、ここを卒業して畑を農家から借り、本格的な家庭菜園に取り組むという方も少なくないようです。

全国約130ヶ所、目黒区内には5か所ある「シェア畑」

シェア畑 目黒本町(2021年撮影)
シェア畑 目黒本町(2021年撮影)

「シェア畑」は首都圏・関西合わせて全国約130ヶ所の農園があり、約6万4千人の方が利用しているとのこと(2023年1月末現在)。

目黒区内には「シェア畑 目黒本町」「シェア畑 碑文谷三丁目」「シェア畑 碑文谷一丁目」「シェア畑 目黒柿の木坂」「シェア畑 大岡山」の5か所あります。

今回取材でおじゃましてきたのは都立大学駅から徒歩約9分、大岡山駅から徒歩約12分の所にある「シェア畑 大岡山」です。

菜園アドバイザー・西川さん
菜園アドバイザー・西川さん

畑で野菜をつくる面白さ、大変さ、自然との付き合い方などを「シェア畑 碑文谷三丁目」菜園アドバイザーの西川さんに取材してきました。

公園や幼稚園、住宅街に隣接する「シェア畑 大岡山」

「シェア畑 大岡山」があるのは大岡山1丁目。目黒区立中根住区センターのお隣です。近くには中根公園や区立中根小学校、志のぶ幼稚園などもある住宅地の中。

比較的こじんまりとしたシェア畑ですが、日当たりもよく、夏野菜や果物がすくすくと育っていました。

皆さんがどのような作物を作っているのか西川さんにご案内いただきながら、「シェア畑」の魅力についてご紹介していきましょう。

もぎたてのおいしさは格別、無農薬・有機肥料で育てたトマトは味が濃い!

夏野菜といえばやっぱりトマト。「シェア畑 大岡山」ではいろいろな種類のトマトが栽培されていました。

ミニトマトはベランダでプランター栽培もできる手頃な野菜のイメージ。しかし、西川さんにお話をうかがったところ、露地栽培するトマトについては注意点があるそうです。

天気がよく乾燥が続いた後、雨がたくさん降るとトマトが一気に水分を吸収。実がはじけてしまうことがあるとのこと。

実がなってからの水やりは少なめがいいのですが、何日も好天が続くようなら、陽が落ちた時間に水をたっぷりとあげておくといいそうです。

収穫時期を逃すとあっという間に巨大化するきゅうり

夏野菜の定番、体を冷やしてくれるきゅうりは、もぎたてを氷水で冷やしてそのままかぶりつくと本当においしいですよね。

しかしきゅうりは、あっという間に大きくなってしまうので目が離せません。花が咲いてから1週間程度で収穫できるそうですが、天気が良いと1日で3センチメートル前後も大きくなってしまうとか。

巨大化してしまったきゅうり
巨大化してしまったきゅうり

朝見てまだまだだなと思ってたら、翌日には巨大化しているということがよくあるそうです。

ネットで大切に保護、そろそろ食べ頃を迎えるスイカ

夏といえばやっぱりスイカです。暑い日に冷やしたスイカにかぶりつくのは夏の醍醐味ですよね。

畑ではスイカを育てている方もいらっしゃいました。網でスイカの実をゆりかごのように支えているのは、重さで苗が倒れてしまったり、つるが切れて落ちてしまわないようにするため。

こちらのスイカはそろそろ食べ頃になっているとのことでした。

実がどのようなプロセスでできるのか、初めて知った「落花生」

落花生
落花生

今回一番感動したのが「落花生」です。食べたことはあっても、畑で生っているところを実際に見たことはありません。

土の中で実が育つのは知っていたのですが、花が落ちて、花の基部から子房が伸びて地中に潜り、実をつけるというのを初めて知りました。

落花生の花が落ちて子房が伸びているところ
落花生の花が落ちて子房が伸びているところ

上写真は落ちた花から子房が伸びているところです。この子房が土中にもぐり、その先に実がなるのだそう。

花が落ちて実が生るから「落花生」という名前なのでした。

子どもたちに植物の育ち方や実の付け方などを紹介すると目を輝かせて楽しんでくれるのが嬉しいと西川さん。

都会生活をしている大人でも、野菜がどのように育つのかを目の当たりにする機会が少ないので、私自身今回とても楽しめました。

全国の「シェア畑」では「ひまわりプロジェクト」に協力中

(画像提供:株式会社アグリメディア)
(画像提供:株式会社アグリメディア)

現在「シェア畑」では、福島県で障がい者支援を行っているNPO法人シャロームが2012年からスタートさせている福祉プロジェクト「ひまわりプロジェクト」に協力しています。

「ひまわりプロジェクト」の仕組みはこうです。

食用ひまわりの種を全国の栽培協力者へ送り、育ててもらう。実った種を福島の障がい者施設に送り返してもらい、「ひまわり油 みんなの手」を製造して販売。

販売から得た収益は、障がい者の支援や福島の子どもたちの社会活動の資金として活用。約1キログラムの種から1本のひまわり油が製品化されるそうですよ。

原発事故により、「ひまわりを育てて種から油をつくる」という計画がとん挫してしまったNPO法人シャロームの現状を知り、県外の支援者たちが声を上げてスタートしたプロジェクト。

「シェア畑」でも2023年の夏、全国62ヶ所の農園で、約1,500本のひまわりを育てて協力しています。今回取材した「シェア畑 大岡山」もその一つです。

「シェア畑 大岡山」のひまわり
「シェア畑 大岡山」のひまわり

この他、目黒区内では「シェア畑 目黒本町」「シェア畑 碑文谷1丁目」が参加中。しかし、このひまわりの種、おいしいらしく鳥が食べに来てしまうそうです・・・。

特に「シェア畑 碑文谷1丁目」では苦戦中とのこと。自然の営みの中で作物を育てるというのは一筋縄ではいかないというのを痛感するエピソードでした。

「家庭菜園に興味がある」「学校や幼稚園などで農業体験をやってみたい」「お店で出す野菜やハーブなどを育ててみたい」という方。ぜひお近くの「シェア畑」を見学するところから始めてみては?

「シェア畑」なら農業はもちろん、家庭菜園もまったく初めてという方でも気軽にスタートできそうですね。

■取材協力

サポート付き貸し農園「シェア畑」

【シェア畑 大岡山概要】
シェア畑 大岡山
住所:東京都目黒区大岡山1丁目37 中根地区センターの南隣
※現在空きあり

地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)

コピーライターからWebライターへ転身。アロマセラピスト・整体師としても時々活動しています。趣味はカンフー(八卦掌・長拳)と古代史(関裕二先生のファン)。目黒区の魅力やおもしろいところを発信していきます。取り上げて欲しい目黒の穴場や情報もぜひお寄せください!

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